第二十三話 やわらかドラゴンと虹色の玉
それから約2週間、何事もなく平和な旅を続けていた。
「そういえば、ミラに慣れてきたようだな、フォース」
「フォスス」
「もう触っても大丈夫ですね。それにしてもさわり心地の良い毛ですね」
「フォッスッスー」
「ははは、あまりハマリ過ぎないようにね」
「は、はい」
モフラー先輩として後輩にはしっかりと指導をしないとな。懐かしいぜ、初期の頃エマがドン引きするくらいモフっていたあの頃が。
「節度あるモフりが重要だ」
「おや、なにか飛んでいますね」
ミラが指差す方向を見る。遠くで小さなドラゴンのようなものが飛んでいる。
「あれは聖獣のポケットドラゴンね。ああ見えて破獣くらいの強さがあるのよ」
「へぇー」
ポケットドラゴンを見ているとこちらに近づいてきた。
「キュイィッ!」
一声鳴きエマの肩に止まった。エマのほっぺたにスリスリと体を擦り付けている。
「ははは、くすぐったい」
精悍なドラゴンと言う見た目ではなく、全体的にぷっくりとした体。愛嬌ある顔。
「やはり聖獣になつかれるんだな」
そーっとポケットドラゴンに手を伸ばす。
「キュゥ」
頭を撫でることに成功。やはり俺にも聖獣がなつくのか!?
「かわいいですね」
ミラもそ~っと手をのばす。問題なく頭を撫でられた。
「あれ? 大丈夫ですね」
フォースの時は警戒されてたな。んー、なんでだろう。
まあいっか!
エマに体をしばらく擦り付けた後、ポケットドラゴンは飛び立っていった。
「行っちゃったね」
その後しばらく歩くとまたポケットドラゴンが。
「デュイ!」
「あれ、また来たのか。ん、口の中にいっぱい何か入っているな」
変な鳴き声だなと思ったら口の中になにか入れて来ていた。
ソレを荷車の上に吐き出した。
「ポケットドラゴンはきれいな宝石を収集する習性があるの。だから巣の中は宝石だらけ。と言うことはもしかして」
「キュッ!」
軽く会釈するポケットドラゴン。カワイイ。
「一緒に旅にってことかな?」
今度はフォースの方へ。
「キュキュキュー?」
「フォフォースフォース」
「キュウ!」
何やら会話している風に聞こえる。会話できるの!?
「ズボッ」
フォースの背中に乗るポケットドラゴン。体が沈んで顔だけ出ている状態だ。少々猟奇的絵面、そして猟奇的可愛さだ。カワイイ。
「もう一緒に旅する気ですね」
「いいかな、連れて行こう」
「はい!」
「名前はどうしようかな」
「宝石が好きなんですよね? 宝石という意味で「ジェム」はどうですか」
「それでいこう」
「よーし、今日からお前はジェムだ。よろしくな」
「キュッ!」
話が通じているかのようにこちらに鳴き声を返すジェム。カワイイ。
それから二日後。
「なんだろあれ? 七色に輝くこぶし大の玉が地面に落ちてる」
「ポォゥ!」
「ワッ! 鳴いたぞ」
「その子も聖獣ね。聖獣レインボーグローブ。スライム系らしいけど常に球体。ちなみにこの子も破獣くらいの強さがあるわ」
「ここいらは多いのかな?」
「この地域に来たことないからわからないわね」
「ポー!」
ゴム球のようにバウンドしたり、普通に転がったり。かわった生物だ。そもそもどこから声を出しているのだろう。
「カシャン」
眺めていたらジェムの宝石のところに。
「ポポー!」
「キュイ? キュイ」
「ポポ」
ジェムと会話してる。
「ポー‥‥ポー‥‥」
寝息のようなものをたてている。寝ているのかな。
「もしかしてこの子もついてくる気かしら」
「うーん、寝てるようだしそのまま連れて行くのもな。まあそろそろ夕方だからこのへんでキャンプをするか」
「そうね」
キャンプの準備をする。
「キュイ!」
ジェムは虫なんかを食べているようだな。さっき草も食べていたし雑食かな。
「ポー」
コロコロとエマの足元へ。
「仲間になりたいの?」
エマがレインボーグローブを持ち上げて話しかけた。
「ポゥ!」
「ついていきたいようだな」
「そうね」
ぴょんぴょん跳ね回る。うれしいのだろうか。
「名前は」
「ポウポウ言ってるからポウで」
「OK」
「ガィアー!」
熊に似た魔獣が森の中から姿を表した。
「結構強そうな魔獣だな」
四足でこちらに向かって走ってくる。刀を構える俺。
「ポォ!」
突然ポウが魔獣に向かって突っ込んでいった。
「ドバーン」
「ガュァーー!」
「バタン」
魔獣の心臓のあたりにポッカリと穴が空いた。破獣くらいの強さってのは伊達じゃなさそうだ。
「強いな」
「ポー!」




