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戸塚の夜   作者: 新庄知慧
9/10

透き通るような・・・

彼女の透き通るような凄まじい表情。携帯を手にしたままツムラ氏は凍りついた。


「でもそれはさがしていたからなんよ。あなたを。みつかったからよかった。わかったから、よかった。でも、残念な結果でした・・・それで、もうおしまい」


「何をいってるんだ!おしまいじゃない!」


ツムラ氏は百十九番をプッシュし、携帯を耳にあてた。


と、急に彼女はツムラ氏の体をはねのけた。予想外の事態、ツムラ氏は腰をぬかしてそこに座り込んだ。そして彼女を見上げた。彼女は身をかがめて腹部を手でおさえ、苦痛に顔を歪め、


「ごめんなさい・・・本当のこと・・・教えるわ」


 本当のこと?


「マイよ。私は西田舞」


 彼女はつづける、


「25年前の世界からやってきたのよ・・・信じられる?ツムラさん・・・学生のときと・・・あまり変わってないわ。・・・ツムラさんこそ、これからよ。きっと、すてきな人と、結婚できるわ・・・じゃあね・・・」


 最後は少し元気に手を振って、でもお腹をおさえながら、よろよろと、彼女は闇の中へ去ろうとした。


「無茶をするもんじゃない!」


ツムラ氏は彼女の後を追おうとした。そのとき、また銃声がした。


「!」


 肩口に激痛。ツムラ氏はそこに倒れた。倒れる直前、ツムラ氏の視界のなかで、ナナは二級河川「柏尾川」の川辺の荒んだプロムナードの闇の方へとみるみる消えていった。まるで本当に、闇の中に、かき消されてしまうかのように。


 ツムラ氏の意識はとぎれた。


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