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元禄無責任鼠――屋根裏忠臣蔵

作者: 水色ペンキ

携帯では読みにくいかもしれません。またちょっと長めなのでご注意ください。

 エー、ときは元禄十四年、ところは江戸城松の廊下、お名前は浅野内匠頭、お年は数えで三十四、お相手は吉良上野介、御罪状は刃傷、御処分は切腹――ごほん、ごほごほ。

 なんの話かって? ちいっとお待ちくださいな。こほん。お茶。喉に来るね。わしももう年だからね。

 さて、人の世に忠臣蔵というものがございます。ご存じ赤穂のお殿様、浅野内匠頭長矩ながのりが勅使饗応指南役、吉良上野介義央よしひさの指導怠惰を不服としまして、抜刀禁止の江戸城本丸、大名小名おん旗本らのゆきかう松の廊下にて、いきなり白刃これを振るい、アッ、何をする、殿中でござるッ、内匠頭ご乱心、出合エーッ、アーッ、ギャーッ……なんでしたっけ、そう、刃傷沙汰に及びまして、内匠頭切腹、赤穂藩お取潰し、上野介お咎めなし、と御処分が下されたのが十有余年前のこと。この事件、いちじは巷間の噂を独り占めしたものでしたが、そこは大江戸、人の心も移ろいやすく、入間川の流木、はた大川の土左衛門か、ひと雨過ぎてぷっかぷか、どこぞへ流されてしまいますれば、誰もそのあったことを覚えておらぬといった次第で、半年もすれば人の口に上ることも絶えてなくなっておりました。しかし赤穂の浪人どもはこれを怨として許さず、ひそかに復讐を志して各地に潜み、果たして翌年の暮れ、雪の師走の本所松坂、元藩士四十七名による吉良邸討ち入りと相成ったのはご存じの通り。浪士首尾よく上野を討ち取りまして、即刻出頭、年開けて如月の梅花の下に、ことごとく腹を捌いて泉岳寺に葬られた、ということになっておりますな。

 しかしそれは人間の話。実はわたくし僭越ながら齢二十の化け鼠でございます。この呪わしい身となってのち、わたくしなん十人という方々とお話しする機会がございました。あなたもそのお一人でございます。そのうちに、ひょんなことから浪士事件のあらましを伺いまして、あれっ、知ってるな、身に覚えがあるぞ、これは人の事件でなく鼠の事件じゃあるまいか、なんてね、思い至ったわけなんでございますよ。そもそもわたくし、それまでこの身が妖怪となった理由すらまともに考えたことがございませんでした。それがこの話を聞きましてね、ああそういうことか、それならわかる、と初めて合点がいった次第です。それこそ蛤を合わせるように、ぴったりと、ね。その話をいたしましょう。

 こほん。

 人いうところの元禄じゅうし、わたくしは物心もなく江戸城の天井裏に棲みついておりました。それもあの松の廊下、浅野内匠頭が乱心めされたあの廊下の天井裏に、でございます。

 わたくし当時はまだほんの若鼠でして、日々溌剌と天井板の上を駆け回っておったのでございます。ところが出物腫れ物ところ構わずとはよく言ったもの、たとい少食の鼠といえども、あの催しを逃れることはできんのですな。そこでまあ何といいますか、ふと催してはちょいと出す、まあ鼠ですから、そんな気楽さをよいことに、あのときも天井板の隙間からこうね、ぴゅっと、やったわけなんですよ。あんまりお上品な話じゃございませんが。

 それが廊下で話をしていた吉良、梶川の真ん中に落ちた。上野介ちらと天井をみましたが、わかったもので、「ああ、鼠の小便」とひと言だけ仰られた。しかし巡り合わせが悪いとはこのこと、そのときちょうど吉良に話しかけようと浅野内匠が脇に控えておったのです。のちのち聞けばこのふたり、たいへん仲が悪かったそうでございますな。さて内匠頭、自分のことをいったと勘違いしたのか、これをきいてとたんに激昂いたしまして、やにわに刀を抜いて上野介に斬りつけたのでございます。一場騒然、上へ下への大騒ぎ。わたくし流石にしまったなァと思いましたが、珍しげなる人間どもの大立ち回り、折角だからと面白おかしく眺めておったわけなのですが、ふと気がつけば、鼠が発端と吉良梶川にはばれておる。こいつは猫が増えるわいと、その日のうちにわたくし江戸城を出奔いたしました。中天懸かるはまだうら細い三夜の月、暗いお堀の水面には撒いたように星芒のかげが映って、たまに息を継ぐ鯉の大口だけがトプンとそれをかき乱しておりました。実にじつに静かな晩。わたくしあの夜に感じた寂寥の念は、もう二度と――、しみったれた話はやめましょう。で、石垣の合わいに沿ってトトトと走りまして、北桔梗門へゆくと橋が上がっている。やあ魚に食われるのも勘弁と、こうべを返して平川橋まで参りまして、そこを渡って江戸城を下向いたした次第でございます。

 その後の暮らしは危ういものでございました。江戸の町は猫が多うございます。それはもうあの軒下、この縁側、横丁に土塀に瓦の屋根まで、猫の影をみないところはもうないといってよろしい。ほかに犬もおります。鴉もおります。いや実際わたくしもね、あの江戸城の暮らしがすぐに恋しくなったものです。少々猫が増えたところで、この憎げな禽獣どもの跋扈する瓦の上下よりはどんなにか安逸であったことか。世の中甘くみておった。しかし颯爽と飛び出した手前、そう易々と国に帰るわけには参りません。そこはあなた雄の意地。わかるでしょ。そして実に半年になんなんとする放浪ののちに、あるお屋敷に軒を借りることと相成りました。それがどうした因縁か、あの吉良上野介の住処だったのでございます。

 吉良屋敷は快適でございました。広すぎず狭すぎず、蔵も豊かで食うには困りません。またあの家には大きな猫がおりましてね、鼠ならぬおかたには判らないかもしれませんが、強い猫は鼠の友なのです。いや友というのは言い過ぎですが。というのも、そういう猫は広い縄張りをひとりで見て回ります。いきおい監視に隙ができる。二匹三匹の猫がおるより、昂然とした一匹の阿呆のほうが御しやすいのですな。それと吉良の屋敷には当然ながら、すでに鼠の住人がおりました。江戸城の鼠らとちがってちょっと細面のね、姓は知りませんが、というか姓なんどございませんが、要するに吉良邸根生いの一族でございます。この鼠どもがちょっと変わっておった。

 鼠は家々を渡るものでございます。むろん棲み家も持ちますが、勝手都合に気分次第、三年と同じ所に留まるものではございません。しかるにどこの屋根裏でも出入りのはげしいのを常としますが、この吉良の家、不思議なことに、もう五年ばかり一族郎党で家のくらやみを守っておった。居心地がよかったのでしょうな。珍客はこの者らに追われるか食われるものと決まっておったのです。ところがある晩現れた一匹の伊達鼠、姿凛々しく背筋が伸びて、長い尻尾は稲のよう、将軍家お膝元の江戸城で幼時身を養っておった高邁不抜のますらおを見たのだから堪らない。わたくしのことですよ。さすがは彼ら高家の鼠、礼儀や格式といったことにはことのほか煩い。よくぞいらっしったと迎え入れて、まったき客人待遇でございました。ただわたくしが此処に住みたいと申しますと、さすがに彼らも渋りました。客人、それはチュッとばかり難しい、云々。

 やあここも所詮は仮の宿かと観念いたしておったところ、拾う神ありとはこのこと、一族の長老某が割って入って、わたくし含めて一座の者にこう仰いました。

「ものどもわしから提案がある。わしらがここに棲みついてよりはや二十余代、病いには弱くなり、智慧膂力においても芳しからざる者が多くなった。かつてわしの爺さんの爺さんの爺さんの爺さんの爺さんがここに尻尾を下ろしたとき、縄張りを守るために血族の結束を固めたのは結構じゃったが、もはやその血も濃くなりすぎた。ここらで外から新しい種を入れ、枯れ木のごとくなったわれらの力に、新しい芽を継いでみてはどうかと思うが、いかが」

 これはあなたね、分かるでしょう。雄にとってこれほどの冥利はございません。なにせ、その、ねえ、血を改めるにはいろいろと……また、ひと番いだけでも仕様もなく……、いえすいません。なんにせよ、わたくしパッと顔が明るくなりましたね。そこにおった雌鼠どももそうでございます。そりゃあ相手がこのわたくしでございますもの。逆に雄らは一様に暗い顔をいたしました。まあ天井裏なんぞ元から暗いんですが、黒い顔をますます黒くしましてね。気持ちはわかりますよ。気持ちだけは、ねえ。

 さてそののち雄鼠だけの評定と相成りました。若い雄らはもう長老に噛みつかんばかりで、いえものの例えじゃありませんよ、実際鼻の辺りに喰らいついたのもおったのですが、折角の雌をなぜ余所者と分けにゃあならん、あの娘はどうなる、この娘はどうなると、侃々諤々、いつ果てるとも知れぬ紛議。その幕を引いたのは、ある一匹の提案だったのでございます。いわく、

「このお城者が本当に我々より優れているか知らん。よしそうでないならば、いかでこの者の血を入れる必要がありましょうや。ここはひとつ、この者の力をとくと吟味したうえで、我らの新しい代を拓くに値するかどうか、じっくり判ずるのが至当ではございませぬか」

 長老列席うんうんと頷く。弁者は続けて、

「そこで提案にござる。この家には猫が一匹居り申す。あやつめを謀って、首の鈴をちょいと掠めてくるというのはいかがであろう」

 天井裏がどよめきました。そりゃあそうです。猫から鈴を奪うなんて、並の鼠にゃとんと無理、これは畢竟わたくしに死ねと仰せになったわけだ。

 長老驚いて口を開きかけたが、一座盛り上がってそれが善いそれが善いと、もう抑えられるものではございません。ややあって静まって、ようやく長老の声が通った頃には、もう論の大勢は決しておりました。しかしわたくしも知恵にかけては一廉のもの、それなりの自負がございます。ひと言釘を刺しましたよ。

「一族迎え入れの儀おん取り決め、この尻尾にかけて心より感謝いたし申す。ときに猫鈴の件、無論早々に手に入れて御覧にいれますが、このままでは簡単につきいささかお手前方に申し訳ない。ここは少々やり方を変えて、鈴取りの競争としてはいかがであろう。すなわちわたくしが先に鈴を取ればわたくしのしおおせ、お手前がたのいずれかが先に鈴を取ればわたくしの負け。すぐとこの家を去りましょう。なにご心配なく、お手前がたもわたくしも、よもや猫に獲られることなどありますまいからな」

 からからと笑って見せましたが、天井裏にわかに静まりかえり、雄鼠衆も長老も、気でも違ったかというふうにわたくしを見詰めました。してやったりというものです。

 さてそれからはわたくしも、吉良邸屋根裏の立派な半人前と相成りまして、さほど不自由ない暮らしを始めることとなりました。なにせお互い本気で猫に挑もうなどとは考えません。やあ猫があっちにおった、ほおそちらへは近づかぬがいいね、一事が万事この調子。いずれ首輪の付け替え時に、代えの鈴でも奪ったろうかなんて他愛のないことを考えて、ただ平穏なる日々を送っていたわけでございます。ああ半人前といいますのは、さすがに約束も果たさぬままに、勝手に一族の雌と交わることはさすがに憚られたので。そこはわたくしきっちり律しておりましたよ。

 ところが世の中難しいもので、くらあい暗い柱の影なんかに居りますと、暇な雌が寄ってくるんですな。向こうからです。断じて私からではございません。ねえ城鼠さん、ちょっとココんとこをコウしてくださいませんか、あいよ、コウね、ソウソウ……。わたくしも群れの中に居りますから、いろいろと付き合いというものもあったのです。むげにはできない。結局あっちでチョイチョイチョイ、こっちで隠れてチョイチョイチョイと、秋が過ぎて冬を迎えるころには、わたくしの毛並みを受け継いだ可愛らしい仔鼠達がタタタ、トトトと天井裏を走り回るようになっておりました。雄鼠からの不興を買いましたね、さすがにね。

「約束が違うぞ。鈴を取らねば群れに入れることは出来ぬと申したではないか。それがこの有様、なんとしてくれる、城鼠」

 冬の評定で激昂したのは、わたくしにあの条件を突きつけた雄でございました。

「まあ落ち着くのだ。群れに混じってながく暮らせば、避け得ぬ始末なのはわかっておろう。もともと無理な仕事を命じたのがわるい。お主らの中で、お城さんより先に鈴を取ったものもなかったではないか。試みたものすらないと聞く。ここはいっそ水に流そう。見ておれ。あと三月もすれば、城鼠の子らも立派な雄雌となる。各々そやつらからあたらしい相手を見つければよいではないか」

 長老はそう仰いましたが、大見得を切って引き受けた身といたしまして、わたくしやはりこのような仕儀は不本意でございました。しかし弁ずる手だてがございません。結局チュウチュウ文句をいう雄鼠らを抑えきれぬまま、その日の集会は解散となったのでございます。あとにはわたくしと長老の二匹だけが残りました。長老の仰るに、

「なあ城鼠さんよ、このようなことになったのは残念至極、しかしわしはあんたさんに感謝しておりますぞ。あんたさんの血が入って、われらにも元気な子らが産まれるようになった。これであと何代かはわしらも安泰じゃろう。もう半年も我慢なされば、あんたさんの曾孫くらいまで活力が広がりましょうし、そうなれば文句をいうものもきっと、きっとなくなるはず」

 とのこと。しかし見通しが甘かった。あくる朝から雄鼠ども、わたくしを見かけると噛みついてくるようになったのですな。彼我の溝はとことん深く、溢れる怨嗟は隠しようもありません。とても半年待つなんて、とてもとても、とても。

 そんななか、あの事件が起こったのです。どんな事件かって? ええ長老がですな、不甲斐ない雄らに代わって、自分が鈴を取ってくると言い出したのでございます。むろん皆々止めましたよ。わけてもわたくし、このわたくしの為に長老の身に危険が及ぶのは我慢がなりません。しかし長老耳を貸さない。よいかあんたさんは今はかたき、あんたさんと鈴を争うこのうえは、口を挟むことまかりならん、とこうぴしゃり。吉良屋敷屋根裏一族の長として、今般の争いにきっぱりとした決着をみせようというのです。ひとことで言えば死ににいった。鈴を奪うのは到底無理、それを皆に自ら示して、かつ命を失うことですべて手打ちにしようとしたのですな。りっぱ、ご立派でございます、いえわたくしが先にゆく手もあったのですが、折角のお申し出、ここは遠慮するのが礼というもの。

 止めるな、どうせ長くない、ええい離せ。叫んで暴れる鼠の声に感づいて、猫も最初から気を張っておった気色。抑える皆の足を振り切って、老鼠とは思えぬ力強さでだあんと床を蹴りますと、長老待ち構える猫に向かって疾風のように飛びかかってゆきました。

 ぽん。

 猫め、跳んだ長老の躰をなんなく前足ではたきました。みじかい四肢がむなしく伸びて、木の字になってくるくると宙を回転するさま、もう糸の切れた凧のように自由が利かぬ様子。ぽかんと開けた長老の口が、事ここに窮まった老鼠の遺憾を遠目にもよく表しておりました。南無三。

 ひっくり返って落ちるところ、猫めまっ赤な口をおおきく広げて、その首の辺りにぱくりと喰らいついた。こりっ。いやあな音がしましたね。猫は長老を咥えて得意げにわれらのほうを窺いました。首に巻いた赤い紐に白銀の鈴がぶら下がって、たおやかにチリチリと揺れておりましてね、目だけで笑った猫めの顔が、ほんとうに憎らしかった。

 ああなぜこのような不仕合わせが起こるのでしょう。実に鼠が貪欲だからでございます。自制が不足しているからでございます。それに比べて長老のあの高潔さ、この群れを統べるに足る唯一といってよいほどの人物、いや鼠物でしたのに、いまその長老ははしなくも一塊の肉となって、猫の舌を潤しておるのでございます。慚愧に堪えぬとはこのこと、わたくしも雄鼠らも一様に自らを恥じ、その場を退きました。

 この出来事を機に、わたくしと家鼠らは和解いたしました。ともに長老の遺志を無駄にするまいと思いかわして、あたらしい血族の一員としてこの屋敷に棲むことを得たのです。しかしわたくしいつまでも、長老への恩とその無念を忘れられません。あの猫めを陥れて鈴を奪うなどという無茶を、いつしか本気で考えるようになっておったのでございます。

 わたくしと同じ執念に囚われた鼠はほかにもおりました。どだい無理とは思いつつも、もしや、いや、あるいは、いや。智慧を集めちゃそれじゃあいけない、猫を眺めちゃどうしたものかと、日夜そのことばかり考えて、屋根裏お蔵に縁の下と、ありとある場で相談するようになりました。その数わたくしを除いて実に四十六匹。次第に策は固まりまして、あとは実行するばかりと相成り、それが元禄十五年のあの日、師走十三日のことでございました。

 その策とはこうです。どのみち力じゃ敵わぬ相手、数で押すしかございません。四十七匹で奇襲を掛けて、あわよくば鈴を奪えたらよいなあ、と。

 そんなものでは策とは言えぬ? あなた所詮は鼠の智慧、これを思いついただけでも立派なものです。それに相手も所詮は畜生、ひとが相手じゃございません。ええ、申し忘れましたが、献策はとうぜんこのわたくし。

 そこでわれわれ文字どおり一丸となって物陰に隠れまして、縁側の猫に飛び掛かる機会を窺ったわけでございます。しかしこの一丸というのがいけなかった。四十七匹の鼠玉、チュウチュウチュッチュととにかく煩い。黙っておるということができません。とうぜん猫に感づかれて、奇襲どころの話ではなくなってしまいました。やっこさん、いつでも来たれとせせら笑って、悠々と毛繕いしてござっしゃる。ほんとうに憎い奴。結局ひるまは機会を得ずに、戦いは月の下へと持ち越しとなったのでございます。

 日が落ちて家人が寝静まりますと、師走の夜ははげしく冷えこみました。それもそのはず、この晩天から白いものが降って、はっぴゃく屋町の瓦の上を、一夜にしてまっしろに染め抜いたのでございますから。さて猫めはどうしたか。このけものは寒さをたいへん嫌います。畢竟ゆくところは決まっておって、まあ家人の布団のうえ、あるいは中、だれかの使う火鉢の脇に、かまどに蓋した鉄のうえと、要するに暖のあるところに限られてくるわけでございます。わたくし以前から猫のあしどりを子細に調べておりまして、この夜はきっと吉良上野の息子義周よしちか、このときすでに当主となっておりましたが、その布団に潜りこむものに相違ないと当たりをつけておりました。

 伝令に残した若い雄と二匹、天井裏で待つこと数刻。夜半を過ぎて、場所を誤ったかと諦めはじめた頃に、果たして猫はやってまいりました。隙間から覗くとやっこさん、じぶんで障子をすすすと引いて、開いた僅かな隙間から、するりと蛇のように座敷に入った。そして当主の布団にどっかと座ると、そのまま丸くなって寝てしまったのでございます。しめしめ。

 すぐに伝令を遣わして、吉良屋敷生え抜きの四十五士を呼び寄せました。しかしいざ大敵と戦うとなると、さすがに皆も気後れするのか、ぜんいんこ汚い灰色の顔をしております。わたくし僅かなれどもこの場の士気を盛り立てんと思いまして、皆を前に慣れない口上など述べたものです。

「ここに集う勇士四十七名、これより猫に喰われたる長老の無念を救い、鈴を奪ってわれらが不徳の忌むべき呪いを雪がんといたす。これはわれわれの名誉の問題でござる。各位よろしいか」

 チュウ。

「なん鼠も無駄に命を捨てることまかりならん。では、ゆくぞ――」

 どん。どどん。どどどん。

 そのときです。にわかに屋敷のどこかから、聞き慣れぬ低い大音がおこりました。あとで聞けば太鼓というものであったそうです。一同驚いて鼻をつき合わせ、動揺は火のようにわれらの間を走りました。これはよからぬ気配です。

 下でもばたばた音がしました。見れば当主がはね起きて、布団を蹴立てて座敷をでるところ。畳の上に猫がころがる。一体これは何事じゃ、しんぱち、やしち、起きておるか……、当主たいへんな剣幕で、鼠の身にも尋常ならざることが起こったのはじゅうぶんに知れました。しかしわれらに大事なのはあくまでも鈴のこと、人の世間は人に任せておけばよろしい。猫も騒ぎに驚いて、耳を立てて慎重に外の音を窺っている様子。いまだッ、いましかないッ。

 わたくし天井板をずらしますと、チュウと鳴いて勢いよく猫の背に向かって飛び降りました。残りの者も慌てたように、一斉にあとに続きます。ぼたぼたぼた。猫の奴さすがに驚いたか、にゃあと鳴いて飛び退りましたが、わたくしとあともう二匹、間髪をおかずにその左右から躍りかかった。ああ、その素早いことといったら! 失礼。誰か一匹が鈴に喰いつき、それを千切ればわれらの勝ちです。のけぞった猫が鮮やかに腕を振るって、途端に一匹の背が血を吹きました。それを囮にわたくしが懐に飛び込む。ところが恐るべき猫の俊敏、見上げる間もなく毛の屋根が跳ねて、一瞬にして元の木阿弥、その口には早べつの一匹が咥えられておりました。見回せばいつの間にやられたものか、既に傷ついたもの三四匹。ああ何という豪傑か。多勢をもってかかればどうにでもなるという目論見、どうやら甘かったようでございます。並の猫ならば逃げ出してもおかしくない状況だのに、この本所の猛虎、そも十人並みの猫でないことをぽっかり忘れておりました。

 猫めが咥えた鼠を投げ捨てると、ぼとりと無情な音がいたしました。からだじゅうの毛が逆立って、高い唸りも凄いよう。飛び掛かる鼠の群れを両の腕で巧みに捌き、そのたびに一匹また一匹と毛皮を切り裂かれて、勇ましい同士らが畳のうえに倒れ伏す。さしものわれらも怯みました。殺戮の酸鼻なこと、攻めるに敵わず、退くにも退けず。猫の眼光にねめつけられると、若い鼠は躰がもう思うようには動かない。さあどうする。

 この危難を救ったのは、なんと吉良の当主でした。ばたばたばたと凄まじい足音がおこって、薙刀を振り回す吉良義周が後じさりに座敷に入ってまいったのでございます。追うのは揃いの火事装束に襷がけの賊ふたり、白刃を閃かせて土足で踏み込んでまいります。はげしく畳を踏む勢いに、われらの躰もぽんぽんと跳ねて、こうなってはもう猫や鼠の争いどころではございません。みな一様に驚いて、畳の上を豆を落としたように八方に散りました。しかしその刹那、わたくしは見たのでございます。横ッ跳びにすっと伸ばした猫の首、そこに首輪がない、とうぜん鈴も下がっておらぬのを。思えば確かにあらそいの間、鈴の鳴るのを聞きませんでした。これは、迂闊。

 それでは鈴はどこなのか。誰かがすでに取ったのか。しかし首輪ごと取るなどという芸当、鼠にできようはずもございません。では元から巻いておらなんだか。とすると此処で斃れた者どもら、まったくの犬死に、いや鼠死にであったのか。

 いやそのようなことを思い悩んでいるときではございません。猫は庭のくらやみに消え、ここには用がなくなった。家じゅう人が叫びたて、長居は危険を増すばかり。すぐに近くの一匹を捕まえ、会う鼠会う鼠に天井裏へ戻るよう伝えろと命じました。そしてわたくし鈴を探して、いっぴき人間の足を縫って狂乱の吉良屋敷を走り出したのでございます。

 縁側に出て驚きました。そこここで屋敷のものが賊と切り結んでおります。斬り伏せられて倒れるもの、畳の上でうめくもの、なんとまあ美味そうな血よ肉よ。いやそれはよい。駆けて回って猫の好みそうなところを探しますが、上野の寝所に鈴はございません。台所のあたりにもございません。玄関先にも厠にも、池の脇にもそれらしきものはなかった。はて困った。こりゃあ埒があかない。ちょいと一休みしてやりかたを考えようにも、気を緩めれば途端に踏みつぶされんばかりの大騒ぎ、あぶなっかしくて足を止められません。わたくし息を落ち着けようと、騒々しくない一隅を求めて、ある一室の障子紙を破りました。

 三畳の小部屋でございました。月明かりに障子が青い。廊下を駆ける何者かの影が、ぶきみに揺れつつはげしい喧噪を伴って、ときおりその上をとおり過ぎてゆきます。うら若い女中がふたり、布団のうえでがくがくぶるぶると震えておりました。お気の毒です。

 わたくしそーっとその脇を通りぬけまして、食えるものはないかとまず部屋のなかを嗅ぎ回りました。これは鼠の性でございます。するとどうだ、壁ぎわの長持のうえあたり、、とろんとした甘い臭いがする。飴でもあるかとそのうえに飛びのりますと、いかにも安物の鏡架の脇に蛤を合わせた膏薬入れがありまして、妙な臭いはそれから漏れておりました。そしてそのむこうに――あった、あったのです、うすい光にちらりと輝く丸いもの、まさしくあの鈴、猫の鈴。奴め、首の皮に腫れ物でもできたのでしょう。女中のだれかが首輪をといて、そのままここに置きはなしたものらしい。

 しめた。女中どもは気づいておらぬ。

 わたくしそおっと鈴を検分いたしました。かねの丸みに一筋の切りこみがはいって、その逆がわに小さな輪がひとつついております。そこに凧糸を通して首輪にまわし、なんどか巻いてぶら下げるしくみ。人間ども、かようにむつかしいものをよう作るなと感服いたしましたな。ただ問題はそれをどう屋根裏までもって帰るかということ。首輪から鈴を切り離さぬと、鼠が運ぶにはいささか大きい。糸、切るべし。

 さっそく囓ろうといたしましたが、鈴のあたまと首輪のあいだ、この糸じつにみじかく巻いてございまして、口がその間にうまく入りません。よっ、だめか、やっ、だめか、鈴と紐とに両手をかけて、ぐいと押し分け頭を突っ込もうかとしたときです。鈴がちりりと鳴りました。鼠の鳴き声よりもっと小さな音でしたが、それをきいて、怯えておった女中らが文字通り飛び上がったのでございます。ぴょん。

 女ども、おたがいの後ろに隠れんともみ合いまして、まぬけな面してともども倒れたところ、もの音に感づいた賊がひとり、襖を蹴倒し躍りこんできたのでございます。とたんに悲鳴があがりました。つづく怒号、誰何のこえ。あまりの騒ぎにわたくしも仰天いたしまして、首輪の端を口に挟んでとにかくその場を逃げ出しました。

 鈴つきの首輪はたいへん重うございました。咥えてみればこの紐ただの紐でなく、こよりか針がねでも縒りこんだものか、なかなか固うございます。そして悪いことには鈴は鈴、わたくしが走りますと紐の中途で盛んに跳ねて、ころころころとけたたましい音をたてる。これには辟易いたしました。

 天井裏への登りくちはあまたございます。軒の端などはもとより、押し入れのなか、あまり使わぬ廊下の暗がり、天井の高さの変わり目の角など、目立たぬところに鼠穴を穿って、人の見ぬ隙にそろり、そろりと出入りしているのがわたくしどもの常。ところがこう大荷物を抱えていては、柱をまっすぐに駈けのぼって入るような穴はつかえません。さてどこから上がったものか。あそこは駄目だ、そこもむつかしい、そう考えながら走り回っておるところ、思ってもみなかった困難がわきおこってまいりました。

 賊どもでございます。まがまがしい争いもいつしか下火になって、ふすま障子を蹴倒しながら家捜しをしておる様子、鍔ぜりあいに擲たれた大きな提灯が垣根のそば、池の脇などでちろちろと燃えあがってはおりますが、屋敷の中にはこれといった明かりはございません。くらやみに伏兵がいつ飛び出すかと戦々恐々としておるところ、かげもなく鈴の音ばかりが疾風のようにおそいかかって、足の間を抜けてまたたくまに飛び去るのだから無理もない。驚きうごめく味方のかげを、すわ敵かとお互い飛び退り抜き身をかまえ、誰ぞ、名乗れと呼び掛け合って、吉良かッ、違うッ、上杉ッ、違うッ、山ッ、川ッと、おうッ、おうッと、まったく人間とはじつに愚か愚かしいものでございますなあ。

 ところがそう面白がってもおられません。ちんちんちりりと鈴をころがし、あちらの座敷、こちらの廊下と走り回るうちに、さすがに賊らも追っ手をかけた。万が一にも人間に捉まるへまなどいたしませんが、こちらも逃げ道をさがしておる最中、邪魔をされるのは面倒だ。そこで人のあまり入らぬようなところ、台所ちかくに炭小屋というのがございます、ふだんはまっ黒い木の棒など詰め込んでおる他愛もない部屋でございますが、そこへ逃げ込もうかと思いたった。

 炭小屋の戸は閉まっておりました。しかしもともと建て付けがわるく、角のあたりには少々隙間がございます。そこに鼻を突っ込みまして、中の様子を窺いますと、あれっ、おかしなことに人とくろがねの臭いがする。だれかおるなと思った矢先、埃っぽい戸板がすーっと動いて、ちょうど一寸ほど開いたのでございます。

――誰か、きたか。いいえ。

 囁きが聞こえました。するとわたくしを迎えるために戸を開けたわけではなかったのですな。しかし感づかれておらぬならそれに越したことはない。追っ手の熱がさめるまで、うしろのほうに隠れどころを借りようと思いまして、人の足元をするっと掠めて中に入らせていただきました。いたのは三人、くらくて顔かたちまではわかりませぬ。

――おい、なんか足に触ったぞ。

 失礼、紐の端でもあたりましたかな。

――向こう随分と騒がしいな。

 そうでございましょうなあ。

――来る、こちらへ来るぞ。

 はて、鼻のいいのがおりますかな。

 どたどたと騒がしい足音が近づいてまいりまして、賊めら、この炭小屋のまえで止まったようでございました。

――ちゅうざえもん、この中は調べたか。いいや、まだだ。

 外から太い男の声が聞こえました。ああ面倒な。鼠がこのように餌のない場所に逃げ込む道理がありますか。あっちへいってくださいな、しっしっ――。

 ちりん。

 小さな鈴の音が、せまい小屋の中に透き通るような音色を奏でました。中の三名がびくりとした。小さくおい、ふざけるなというその声が、慌てたように震えております。こんな大きな図体をして、たかが鈴の音におどろくとは、まったく人とは臆病な生きものでございます。しかもその声、どうやら外の賊どもに聞こえたようで、かたびらの鳴るじゃらじゃらという音が近づいたかと思うと、ついにこのささやかなる隠れ家は暴露されてしまったのでございます。ああ、なんたる迷惑。

 月の光に打たれた刹那、腹に響くおうという掛け声とともに、内の二人が刀を振るってとび出しました。閃く刃が宙に躍って、がっきと打つたびに黄色い火花が弾けます。凄まじい剣戟、見るからにあぶない遊び。しかし賊らもさるもの、しばらく防御に徹したのちに、突然だだんと踏み込んで攻勢に出ると、またたくまにふたりを斬り伏せてしまいました。

――まだ誰かおるか。

 肩で息する賊の一人が呼びかけましたが、明かりなくば向こうからこちらは見えぬようでございます。わたくしこれ幸いと奥に入って、息を潜める最後のひとりのそのまたうしろに隠れました。

 ちりん。

――おい、おるなら名乗れ。見苦しいぞ。

 鼠に名乗りは無用でございます。そもそも名がない。

 ちりん。

――じゅうじろう、ひとつ槍で突いてみよ。はっ。

 これを聞いて、わたくし入り口に向き直りました。誤って刺されては面白くありません。人の仕草は鈍うございますから、突き出すところを見ておれば、切っ先をかわすのはそうむつかしいことではございません。少なくとも、いつものわたくしであれば。

 しかしここに不運がございました。わたくしの前に間抜けがおったのです。青じろい庭を背にして槍を構えた賊の姿が、ゆらりとたち上がったまっ黒い男のかげに、急にかき消されてしまったのでございます。ちょっと、困りますよ、ねえ。

 槍が見えねば避けられぬ。わたくし慌てて男のかげから逃れようとしました。そのときずぶり、肉をうがつ生々しい音が聞こえまして、折角たちあがった人かげが、早くもぐらりとよろめいた。ほら、いわんこっちゃない。

――貴様ら、あさのの、

 しぼり出すような上野介の声がいたしました。なんとこのお隠れ入道、吉良上野介その人であったのでございます。

――主君に似て、本当に、おろかな、

――刺せッ、こうずけやもしれぬ、

――この、いなかざむらい、

――まだ手向かうかッ、

――ただでは死なん、吉良上野介義央とは、わしの、こと、

 脇差しの鞘がわたくしの目の前に落ちまして、かんらからからと吃驚するような音をたてました。この期に及んでひと戦のつもりとは、上野介も元気なものです。面白いみものが始まるかとは思いましたが、ふと思えばわたくしも重い荷物をかかえる身。この場が人間どうしの争いとなったのは僥倖と、ひとつお先に退散させていただくことにした――はず、だったのでございます、が。

 わたくしが上野介の足元を抜けようとしたそのとき、この老人きゅうに足を踏み換えて、首輪の端を踏んでしまったのでございます。咥えた紐がぴーんと張って、わたくし釣られてのけぞった。あっ、ちょっと、のいて――

 ずぶり。上野介に二の槍が入りました。老人のからだがよろめいた。よろめきましたが律儀なもので、紐の上で踏ん張った足はあげぬのです。わたくし必死で首輪を引っ張りました。しかし人の重さにはかないませぬ、どうしても取れない。引いても捻っても鈴がちゃらちゃら騒ぐだけ。

 困ったぞ――と思った刹那、上野の足が奇妙な感じに浮きました。とたんに紐が抜けまして、わたくし後ろに転がりました。ところがしめた――と思う間もなく、まっくろいかげが急にわたくしに覆いかぶさって、鈴や首輪もろともわたくしを押し潰したのです。ぎゅう。そして間髪をおかずに繰り出された三の槍――わたくしはみておりませんので、たぶん――が、上野介とわたくしとを、ともども串刺しにしてしまったのでございます。こほん。

 そうしてふと気がつきますと、わたくしこの化けものの姿になっておったのでございます。ただわたくし畜生ではございましたが、それほどこの世に未練があったわけではございません。はて、なぜ妖怪などになったかな、なにかこの世に怨みでもあったかな、あるいは恨みを買うことあったかな、と考えましたが、とんと心当たりがございません。長らく不思議に思っておったのが、おいおい人と話していろいろと事情を知るようになりまして、ああこれは上野介の呪いじゃ、赤穂一派の暴挙を恨む上野介の恨みつらみが、ぐうぜん共に死んだわたくしに乗り移って、わたくしをこのような妖怪にしたのだと思い至った次第でございます。とことん迷惑なはなしですな。しかしまるでご縁のない居候であったわたくし、そんなわたくしをこれほど頼っていただけるとは、なかなか悪い気はいたしません。

 いまではわたくし上野介の供養をかねて、たびたび人を喰らうのが習わしとなっておるのですよ。とくに噂話がお好きなかたがた、わけても赤穂の敵討ち、これを喜ぶ人の肉など、実に甘露のように美味でございます。こうして吉良義央の無念を雪いでゆけば、いずれわたくしも真っ当に成仏できる日を得ることでしょう。なかなか心たのしい余生ではございませんか。

 え? 極楽往生はむり? この無償のはたらきをもってしても? ご冗談を。え、吉良上野の怨念をわかっとらんと? いえいえ、そんな。ご安心くだされ、みなさま土壇場ではわけのわからぬ事をおっしゃるものでございます。ええ、いままで人間の方々はみなそうでございましたから。さて、あなたもちょっとばかり痛いのを我慢してくださいまし。さすればいずれはわたくしの血肉となって、ともに浄土の花を足下に踏みしだくこともできましょう。

 ああ、喰われついでに、お茶をもう一杯いただけませんか――。

 あとで口をすすぎますので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 水色ペンキ先生、こんにちは。 時代小説も書かれるんですね。 といっても、鼠が主人公の一風変わった作品で、ホラー要素も含まれていて面白いです。 しかし、1万4千文字を一気に読ませてしまう手腕は…
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