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このサイト、悪役令嬢モノの小説が多くない?

作者: もなもか

 最近、このサイトは異世界転生ものの小説で溢れている。その中でも流行りになっているのは、悪役令嬢ものだろうか。検索すれば大量に出てくる。中にも面白いものもあるが、……ごく少数だ。鬱っぽくなると携帯小説や紙小説を読みあさる私だが、たくさん見てきた中で気に入った悪役令嬢の小説は一つしかない。

 正直、悪役令嬢ものは嫌いだ。悪役令嬢そのものは好きだったが、悪役令嬢を題材とした小説はほぼ好まない。好き嫌いで語ってしまえば主観的感想となるが、この「嫌い」には原因がある。

 そもそも悪役令嬢を好きだった理由というのが、私が『ヴィラン(villain)』(『悪役』、『悪人』、『曲者』という意味を持つ英語である。ハロウィンの時期になるとディ●ニーのCMから耳にする言葉だと思う)のことが好きだったから。まあ、ヴィランにも種類はある。私が好きなのは悪を突き進むヴィラン。悪とわかっていて闇へと突き進む者は格好いい。その物語の中での悪を正義だと思い込むヴィランも、人それぞれの「正義」を感じさせられて非常にディープだ。何かしらの悲しい理由があって悪となったヴィランは切なくてもっと好きだ。ヴィラン好きだからこその感想だが、主人公同等にヴィランとは憎めない存在である。


 問題の悪役令嬢モノの小説だが、私はその存在を知ったとき思った。

「ならば敵はどこにいる?」

 テーマが恋愛、ファンタジー、戦記、ホラー(以下略)であろうと、主人公の反対である悪役がいてこそ物語は面白くなる。純文学や友情など人間の心や俗世の流れをテーマにしたものであれば、悪役なんて必要ないだろう。他にも、悪役を必要としない物語は多々ある。ただし、そのようなストーリーを描くには作者の表現力が高くなければならない。でなければ、残念ながらその物語は何を言いたいのかわからない、駄作となってしまう可能性が大きくなるだろう。

 悪役令嬢を主人公とした物語を興味本位に一つだけ読んでみた。喜ばしいことに、一つ目に読んだそれは「当たり」だった。詳しい内容は言えないが、主人公がいい性格をしていた。天然なところはあるが、現実的で余計なプライドは持たず、しかし誇りは高い、そして少女らしく心も揺れる、実に人間らしいキャラクターだった。気になったら私のブックマーク欄から探し出すといい。


 しかし、二つ目、三つ目……と読んでみて、「悪役令嬢への転生」をテーマとした小説が嫌いになってしまった。

 悪役令嬢へ転生したヒロインも、そして敵役となったヒロイン役の人も、また攻略対象のヒーローも、そしてストーリーも全て胸くそにも程がある。文章力がそこそこあれば読めたが、まあ、読むのが面倒くさい。色んなパターンの小説はあるし、面白いものは面白い。が、読んでも読んでもつまらないものばかり。

 悪役令嬢の王道パターンは、悪役令嬢役に転生してしまった。このままじゃまずい。死ぬことを回避せねば。なのだろうか?まあいい。それはそれで物語りは面白い。だが敵役はヒロインとなるのだろうか。正直最近は悪役令嬢ものは読まないので確証はないが、決まってる訳でもないのでこれはほんの一例として。

 大半はヒロイン役がヒーロー達を攻略したいがために、主人公となる悪役令嬢役の女の子を「ゲーム通り」に貶めるのが多かった。欲望に忠実で実に興味深い(ライバル)役だ。

 ここまではいい。私が許せないのはその先だ。前にも記述した通りパターンはたくさんある。そのなかで最も「ありえない」と感じた話を紹介させてもらおう。


 攻略対象達が悪役令嬢役の主人公を助けるため、ヒロインの悪事を裁いた話だ。

 このラストの面白いところは、ゲームのシナリオでは悪役令嬢が裁かれるが、ヒロインが裁かれてしまった、という喜劇だろうか。これが面白いから読む人もいるだろう。だが私は苛々せずにいられなかった。

 なら別に、悪役令嬢に転生させなくとも良かった。結局この終わり方なら、それじゃなくても良かった。悪役令嬢役に転生させた良さがわからなくなった。

「悪役令嬢だからこその面白さがあるだろ!」

 悪役令嬢だからこその面白さを、このラストが潰したんだよ。悪役令嬢役に転生させたのはそれなりに理由があるんだろう?悪役令嬢役という悪の象徴を主人公にさせたのは理由があるんだろう?これで書いたら面白そうだとか、そういった理由が。

 しかもこの場合は、主人公が手を下すのではなく、ヒーロー達が主人公を守るために活躍しラストを飾った。

 もし、死から逃れる為に色々画策して人心を自ら掴み取り、そして最後攻略しようとしたヒーロー達から断罪されるヒロイン役を見てほくそ笑む悪役令嬢役だとしたら。書き方によっては非常に面白いし読み応えもあるだろう。……でもそうでないなら主人公は悪役令嬢役の彼女ではなくて、ヒーローで良い。

 天然を重ねに重ね運良くヒーローらの心を掴んではいチャンチャン♪

 それはただの主人公の恋人(ヒロイン)だ。もう一度いうが、「わざわざ悪役令嬢役に転生させる必要は無い」。

 ただの主人公の恋人(ヒロイン)と言わせてもらったのは、運を重ねただけの優しい聖女のような天然な悪役令嬢役主人公は、女主人公と言えないから。主人公はお前じゃなくて、お前のために頑張ったヒーローズ。何もしない主人公というのも最近多いが、言わせてもらえば、そいつは主人公ではない。ただ三人称が書けないからモブ視点にさせて一人称にしただけ。他視点なら小説に上手に食い込まさせてくれ。勘違いしていた人は一度主人公とグーグル先生に尋ねてみればいい。面倒なら、この下の文を読んでくれ。

 主人公とは、劇や小説、アニメ、様々な物語の『中心人物』であり、言わば物語のリーダーである。

 物事には様々な例外があるように、勿論この定義にも例外はある。

 例えば、『語り手』。こいつは非常に厄介だが、よっぽどの天才もしくは秀才でなければ、『語り手』を使うのならば主人公と『語り手』を別に。たまに巨匠が奇抜なことをしてくれるが、それは彼らだからこそ許されるものである。何故巨匠だから許されるかと言えば、彼らは独特の価値観をこれもまた独特な素晴らしい表現で魅せてくれるからだ。

 特に主人公をわかりもせず「モブ視点にしてみた!」にするのは、悪いが愚かと言わざるを得ない。文章は自由だと豪語する前にまずは勉強してくれ。その台詞はよく勉強したかもしくは類稀なる天才のみが言える言葉である。

 そして、ラストのヒロイン役悪女の台詞を読むのも非常に腹が立った。ざまぁ展開というのをやりたかったのだろうか。詳しくは書けないが、まあ酷かった。ヴィランを何だと思ってる。

「悪役だって人間だ。心がある」

 これはヴィラン好きの贔屓目のせいだが。心の無い壊れた悪役もいるが、このライバルはそれに値しない。あなたは「攻略対象達を侍りたい」という強い欲望もしくは恋情によって動いていただろうが。

 ……主にここに苛ついてその物語りを嫌悪してしまったかもしれい。

 


 そういえば前に、これは論外だと思った話を読んだ。

 悪役令嬢に転生したのに、何故か婚約破棄されるはずの攻略対象に愛され、しかも色んな人からも愛された話。

 たくさんありそうな話だ。散々言ったが、また言わせて欲しい。

「だから、ならばヒロイン役に転生させておけよ……」

 この話を面白く書いてくれれば、少しは印象も変わったかもしれない。残念ながら文章力・表現力・ストーリー構成は全部1。携帯小説にありがちなものだった。一度読み始めた所見ストーリーなので最後まで読んだが、1。

 流行りに乗るのは良いがよくそのキャラクターの利点を考えてくれ。「悪役令嬢に転生してしまうのは必ずしも悪役のような人間ではない?」私が言いたいのはそこじゃないよ。あなた、ただ逆ハーレム書きたかっただけでしょ?ヒロイン役に転生しても何ら変わらない逆ハーレムにするのなら、わざわざ悪役令嬢にしなくてもいいだろう。

 

 このようなものばかりが沢山あるのは、このようなものを好む方々がたくさんいらっしゃるからだろうか。他人の好みをとやかく言う気もないし、実際にそれでサイト内で名が売れるのなら結構。

 しかし紙小説が好きな人達が携帯小説を嫌う理由を作ってしまうのが、そこだと私は考える。

 小説とは文学の一つである。そしてキャラクターは皆生きている。物語りの中で息をしているのだ。

 著名な純文学小説でも読んでみるといい。自分の作品が恥ずかしくなることだろう。

 人は何も考えずに流行に乗ろうとすることがあるが、まずはよく考えてみて欲しい。一体、悪役令嬢役に転生した主人公のどこが面白い点なのか。

 これは矛盾した意見だが、物語りは確かに自由だ。型なんぞくそくらえ。

 しかし、誰かに読まれるということは、誰かに伝えるということ。何か伝えたいことがあるということ。これは、文を書く基本の精神ではないのか。

 何もないなら妄想の域に思い留まるべきだ。意見とは多様なもので、この感想を批判する人もいるだろうが、まさかこの基本の精神を批判する人はいないだろう。面白さを伝える。自分のおもいを伝える。これはとっても大切なことだ。そのために、どのように書けば伝わるのか、と読者のことを考えるのだろう。それも一切わからないようならば「おとといきやがれ」。

 一読者として、悪役令嬢役を主人公とした点の面白いところを、是非とも伝えて欲しいと思っている。悪役令嬢役に転生したからこそ出来るストーリーの運び、ラスト、心情を、よく伝えて欲しい。読む力も必要になる。だが、とある小論文の一文を借りれば、「読者は客」なのである。

 書き手としての私は非常に未熟だ。改めて自分の作品を一から読むと三行でブラウザバックする。だが、小説の楽な点は書き直すことが可能なところ。この私の文を読んで思った所がある人は、是非とも書き直してみてはくれないか。その物語りを書けるのはあなただけなのだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 異世界転生ももう少し趣向の練られた、せめて王道な冒険物語とかで作られた作品が増えていくことを切に願っております。 せっかくファンタジーという題材をモチーフにしているのに現代の価値観をそのま…
[一言] 要するに、 「タイトルに「悪役令嬢」って書くなら主人公を悪人にするべき。ただの「令嬢」が主人公ならそれはもう「悪役」じゃない」 ってことですかね。
2016/10/05 00:51 退会済み
管理
[一言] まあ言いたいことはわかりますよ。でもそれを言ってもなんにもならないんですよね。 私も『悪役令嬢もの』を書いているので、偉そうなことは言えませんが。 テンプレを書いてもつまらないので、テンプ…
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