プロローグ
2016.10.04
ルンバの使用を取りやめる関係で、内容を大幅に変更。
昼熊さんの「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」に影響を受けまくった作品ですが、温かく見守ってくれると幸いです。
自宅のドアを開けると、初夏のまばゆい日差しが地面を明るく照らす。
昨日からほとんど雲のない晴れが続いており、庭に置いてあったプランターの土は乾ききっていた。
せっかくなので、ホースを使って軽く水を与える。
水をやり終えたら、バーベキューの炭を扱う用の長い火ばさみに、市で指定された可燃ごみ袋、不燃ごみ袋、市の指定ではない20Lゴミ袋を持って、自宅前の門から外へ出ていった。
「今日はゴミ拾い日和だな」
雨はここしばらく降っておらず、ゴミが水を吸い込んで重くなるなんてこともない。
明日はちょうど燃えるごみの回収日なので、拾ったごみを保管するのも最小限で済む。
まずは家の近くの側溝にペットボトルが落ちていたので、火ばさみで拾い上げて20Lゴミ袋の中に放り入れた。
以前、休日には家の掃除をしていたのだが、最近ではゴミ拾いをするのが趣味になりつつある。
というのもこの前、俺の母親が電器店のガラガラで1等のロボット掃除機を当てた。
自動で部屋の中を走り回って、ゴミを吸い取ってくれる掃除機。テレビコマーシャルでよく出てくる「ポルカ」という名前のロボット掃除機だ。
まあせっかく当たったんだしという軽い気持ちで使い始めたのだが、これがなかなか便利で、しかもやたらと可愛い動きが母親の心をつかみ、部屋に掃除機をかけるのはポルカの仕事になってしまった。
別に掃除機かける以外にも、掃除でやることってあるんだけどさ、その作業を取られると、しなければいけない作業量はぐっと減るんだよね。
そんなわけで空き時間が生じたため、最近ではゴミ拾いに向かうことにした。
ゴミ拾いは昔から好きだった。掃除と同じように、自分の手で生活領域をきれいにするって行為は楽しいと思う。
ゲームの世界を走りまわってモンスターを集めるよりも、現実の世界を走り回ってゴミを集める方が、自分の性分に合っていたのだ。
考えてみると、ゴミを片付けるために走り回るポルカに、親近感を覚えないこともないな。
かわいい動きに心をつかまれた母親もだが、その存在意義にシンパシーを感じる俺も大概おかしいのかもしれない。まあ、そんなことよりゴミを拾うとするか。
……よし、正午も近づいて来たので、今日の午前のゴミ拾いはこれで終了しよう。
拾ったごみは……吸い殻30本、アイス等の袋13枚、ペットボトル5本、空き缶3本、弁当容器2皿、ビニール袋2枚、おしゃぶり1個。
今回のレア枠はおしゃぶりだな。落とし主の赤ちゃんが大泣きしていないといいけど……残念ながら、地面に落ちたおしゃぶりを返す方法はないので、こちらで処分させていただきます。
よし、いったん昼ご飯を食べに家に戻るとするか……あれ、あの場所に落ちているゴミは……まさか!?
マジかよ、あれは絶対に拾わなきゃ後悔するぞ。突撃だアアアァァァ!!
ちなみに、筆者は本当にゴミ拾いでおしゃぶりを拾ったことがあります。
もちろん捨てました。