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一級珈琲師神谷の最高傑作  作者: みたらし男子
15/16

血塗られた始まり(ブラッディ・ゼロ):怪しげな男8

どーも、こんなに改編が多いのに読んで下さる読者の皆様には頭が上がりません。

みたらしです。


今回の改編回はこれでラストです。

これでやっと続きの投稿できます………。


それは置いておいて、続きをどうぞ。

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯


赤坂を名乗る怪しげな男と遭遇した直後と言う、なんとも疑わしきタイミングによこされた着信。


……こんな時に……一体誰だよ……。


これには意識を向けざるを得なかった。


条件反射で画面をタップすると、そこには“特殊衛生兵日本支部局長”の文字が映し出された。


……綾女………さん………?


無機質な白い文字が液晶画面の上を流れていく。


じっと画面を見て出ようか迷ったが………まぁ、どちらにせよ上司からの電話だ。彼女の部下である俺はどう足掻いても応えねばならない。


先程やらかした俺の命令違反を咎める電話かもしれない。


スピーカー越しに人を小馬鹿にした様な綾女の台詞が聞こえてくるのだろうか。


それとも耳にタコが出来る程のお咎めと、それに付随した形での処分が待っているのだろうか。


俺は意を決して通話を開始した。


「………はい……?」


車のエンジン音や風の音、周りの人達の話し声がスピーカーから聞こえてきた。


その音声を聞くに未だに彼女は外に居るらしい。


そこまで察したところで………嫌な予感がした。


ついさっきまで俺はあの謎の男と戦闘を繰り広げていた。


その隙に赤坂を名乗る男の仲間に捕まったのではないか。


もしそうでなくとも綾女は特殊衛生兵の組織の局長トップだ。


その他の組織にだって狙われている身なのだから。


実用的な戦闘技術の一つも会得していない頭脳派な彼女が万一テロリストなどに襲われてしまった場合、恐らく成す術無く拉致もしくは殺されるだろう。


下手をすると今現にそうなっていて、取り上げられた携帯電話からの着信かも知れない。


「……………もしもし………?」


……………。


先程の赤坂を名乗る男の存在が不安を助長させる。


向こうからの反応までの時間は妙に長く感じられる。


早く出ろ………!


無意識の内に手に力が入り震えた。


『…うーん……?あら…?繋がっているのかしら………?もしもし、一茶〜?返事くらいしなさいな?』


……………。


「……………綾女……さん………?」


『………?この携帯はわたくしの所有物なのですから当たり前では無いですか……。ところで、もうお仕事は終わったのかしら?』


ほぼ成り行きで名前も確認もした訳だが、それはいつもと変わりない鷹見 綾女のものであるメゾ・ソプラノであった。


人を(特に俺を)おちょくるのが大好きな彼女にしては珍しく会話が紆余曲折せず本題から始まった。


余りに単刀直入な会話の始まりに呆気にとられてしまう。


「…………えっ?ま……まぁ………」


『………その様子だと………何かあったのかしら………?』


「…はぁ………今……俺の心配が空振りに終わって何とも言えない気分ですが………」


『…あらあら、それは何よりですわね』


「任務に関して言えば…………はぁ…相変わらず鋭いですねー………」


『……ふふふ、わたくしはあなたの上司なのですから〜』


どこか妖艶な雰囲気を醸し出しつつニコニコと得意げに笑う彼女の姿が目に浮かぶようだ。


とても気が利く彼女はわざわざいつもの他愛ないやりとりを挟んでくれていた。


それだけでも心労していた俺からしたら心なしか救われた気がする。


軍隊のトップにしては生温いとよく指摘されるが、これが現特殊衛生兵日本本部局長の鷹見 綾女の特徴であり持ち味であった。


だがそれだけでは軍隊は強くならない。


やはり、一定の厳しさが無ければ………。


これを突き通す綾女にこの方針自体が諸刃の剣であると言う自覚は無かった。


無論それに甘んじている俺の様な新入り隊員も皆同様である。


彼女や俺を含めた隊員達がその事に気が付くのはまだ少し先の話だ。


それはさておき、相変わらずの台詞を言う彼女に先程から気になっていたことを尋ねてみた。


「……それで………そっちの方でも何か用があるから電話してきたんじゃ………?」


『……あら………!すっかり忘れていましたわ』


おいおい……しっかりしてくれよ………。


綾女の反応に酷く疲れた風の呆れ顔になるが電話なのが幸いして表情は見られない。


電話越しにはっとした様子で綾女は忘れていたらしい要件を口にし始める。


『……その……一茶………電話では少し………』


「え゛……?折り入った話ですか………?」


ちょっと面倒だなとか思っちゃったのは内緒だ。


『…面倒事ではないので安心しても構いませんのよ?第一……そこまでの重要機密でもありませんし……』


うわ、バレてる………。


少々オカルトチックな話に繋がりそうだが、読心能力の有無を疑うレベルだと俺は密かに考えている。


「………それなら、別に電話でいいんじゃ…?」


『…これに関しては……顔を合わせて伝えた方が分かりやすいと思いますの。さっきまで、わたくし達が一緒に歩いていたところに来て下さる?』


「…えーと…桜田門の近くでしたっけ?」


『……では、そちらに集まりましょうか』


「……………命令……ですか………?」


『では尋ねますわ。あなたの階級はなんですの?』


彼女の言葉を聞く限り、明らかに俺に拒否権なるものは無いらしい。


「……………了解です…。今から向かいます」


部下は上司の命令には従うしか無いのだった。


『…ふふふ、それでは……待っていますわ』


どこか嬉しそうな綾女の声が聞こえてきたのを確認してから通話を終了した。


……………。


彼女の言う要件とは一体何なのだろうか。


……………。


その疑問とは関係無く無意識の内に俺の足は先を急いでいた。


何せあの神経質そうな顔の男の様な得体の知れない奴等の仲間が闊歩しているかも知れないのだから。


先程圧倒的戦力差を見せつけられた路地に背を向けて小走りに進み出す。


それはいまいち危機感に欠ける綾女のためかも知れなかったし、それにこじ付けて無自覚の内にあの男から逃げたかったからかも知れなかった。


綾女の言葉が現実に引き戻す救いの声だったのか、はたまた現実に突き落とす悪魔の囁きであったのか。


…………………………。


俺はその真偽を確かめるのを躊躇ったままさらに前へと進む。


顔を打つ一際冷たい風が秋の最後を告げる。


誰もいなくなった細い道の脇に生える枯れかけの草が小さく揺れた。


この綾女からの通話が引き金となって運命の歯車が徐々に狂い始めたのを、俺はまだ知らない。


いかがでしたでしょうか。


考えてみたら、一年間全く活動してない時期もあったし………その後って言っても改編の嵐で碌に話を進められていなかったんですよね。私………。


そんな、側から見ればいつ失踪するとも知れない人の作品を読んで下さるなんて………。

皆さん………ありがとうございます。

私、頑張ります。


それでは次回会いましょう。

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