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一級珈琲師神谷の最高傑作  作者: みたらし男子
10/16

血塗られた始まり(ブラッディ・ゼロ):怪しげな男3

どーも、絶賛(「巻き添え」→読者の皆さんと共に改編の)嵐に巻き込まれています。

みたらしです。


今回はですね………私にしては少し短めな話です。

まあ、どちらにせよただの改編なんですが。


世界の七不思議の一つに「みたらしは何故か改編ばかりする」ってのが新しく書き加えられそうなほど改編多いな………。


それは置いておいて、話の方どうぞ。

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯


電話越しに神谷が一番最後と思われる台詞を喋り出した。


これは同時に最後のチャンスでもある。


『……出来る事なら今すぐにでも。君からお願いできないか?』


スピーカーから発せられる音が鼓膜を振動させる。


奴を嵌めるのならばこのタイミングを絶対に逃してはいけない。


動きを止めるには狙いを確実に後ろに立つ奴を捉えなければならない。


この作戦の要であるからには責任は重大だ。


上手く喋れるように口を湿らせる。


自分の右手に喋る事以外の全神経を集中させる。


「…んな無茶な……。だってあの人すげー気難しいんだぜ……?」


電話越しの神谷が発した言葉を合図に自分の言葉の途中で、コートの裏側から背後の位置に立っている何者かに向けて引き金を引いた。


火薬が弾け普段とは違う伝わり方の運動エネルギーが右手に伝わり鈍い痛みを残す。


ノズルフラッシュが服の内側を一瞬だけ眩く照らし、微かな硝煙の臭いを辺りに漂わせる。


自分が着ている黒いトレンチコートの内側から音速を越える弾丸が射出され、小さな焦げ跡を残して穴を穿ち着弾地点へと飛んで行く。


訓練所で嫌と言う程聞いた銃声が国会の前に響き渡り、数秒間この場所の時間が止まったかの様に街行く人達の話し声や足音がピタリと止んだ。


突然の破裂音から一拍遅れて後ろで小さく男の肺から空気を絞り出す呻き声がした。


「……っ…ふぐっ……!?」


突然銃弾に襲われて対処の仕様が無かったのだろう、男がたたらを踏んでいるのが足音で分かる。


相手に動きを読まれず、また照準にも狂いはない。


作戦はどうやら成功したようだった。


どうやら防弾コート(高価なもの)を着込んでいるらしいが命中したのは明らかだ。


防弾装備を買える程の財力からして、その敵は何等かの組織に属しているらしい事が分かった。


ここを狙った理由と組織について、捕まえた後洗いざらい吐いてもらう。



―――――一気に…畳み掛けてやるっ!!



距離を取りながら銃を再び構えつつ振り返る。


左手のスマホを胸ポケットに滑り込ませてから銃に添えてを更に安定させる。


銃口の先に男を睨み吼える様に言葉を連ねた。


「神妙にしやがれこの野郎!!公務執行妨害とか……えーと………後その他諸々の現行犯で逮……………」


決して言葉を知らなかった訳では無い。


あまりの事態に言葉を失ったのだ。


そしてこの瞬間、再び俺の思考も同時に止まっていたかも知れなかった。


さっき目の前に居た男が消えた時の方が驚愕の度合いで言えばまだましだった。


「…………嘘だろ……………?」


無個性な服装。


薄過ぎる存在感。


そして荒野を宿した暗い眼。


そこには先程目の前で消えたばかりのあの神経質そうな四角い顔の男が左の腹部を押さえて立っていたのだ。


そんな……馬鹿な………っ!?


ほんの一瞬でこの距離を移動出来るとでも言うのか。


否、70メートル以上はあったこの距離を、それも監視の目を掻い潜っての移動等出来るものか。


出来る訳がない。可能性など皆無だ。


動揺に微かに銃口が震える。


…有り得ない……。そんな事有り得ない…。


有ってたまるものか。


だが今目の前で起こっている事はそのあり得ない筈の事実。


先程まで俺の目の前に立っていた無個性な男は一瞬で姿を消し、何の前触れも無く俺の背後から現れた。


俺が先程の状況に陥る迄の時間は5秒と無かったのに、である。


…………………………。


こんなものは人間業とは思えない。


これではまるで………。



―――――まるで、瞬間移動でもしたかの様な………。



「……まさか…………君が殺気立たずに引き金を引くことが出来るとはね……予想外だったよ紅 一茶君」


ここで男は俺の思考を遮る様にして急に話し掛けてきた。


どこか心安らぐような説得力のある落ち着いた低い声。


神経質な見た目に反して大いに余裕を持った大らかな物言いだった。


だが今重要なのは相手の話し方の特徴などではない。



―――――俺の名前を知っている………!?



”紅 一茶”と言う一人の人間に関係のあるその内容であった。


「やはり人と言うのは変化するものだね?」


”俺”の過去を知っているかの様な口ぶり。


「君は狙撃(スナイプ)が得意なんだって?」


”俺”と言う人間を知っているかの様な口ぶり。


「……何が…言いたい……?」


この男の放つ言葉が不気味でしかなかった。


一人で入った薄暗い樹海の奥深くで底無し沼に足を取られてズブズブと沈んでいくと言う例えが今俺が味わっている感覚に似ていた。


個性の無い男はニヤッと嫌らしく笑って口を開いた。


「うーん………。これくらいの情報なら伝えても別にいいか………特殊衛生兵に入隊した当初の君の”傾向書”を読ませてもらったんだよ」


「―――――な……!?」


男の返答に動揺を隠せない。


―――――”傾向書”。


正式名称は“傾向性及び適正公務診断書”。


血液検査や趣味嗜好から始まり、プライベートな交友関係、今までの生活リズムに至る迄一切の漏れ無く一纏めにした隊員全員が入隊時に取られる個人情報のデータ………。


このデータは各国の軍部が国家機密に指定していて、外部にはその存在すら明かされていない。


世界一国防に疎い日本の軍事部門であっても最高の国家機密扱いである。


外部にその情報を流そうものなら死刑は免れまい。


それをどうしてこの男は知っている………?


…………………………。


考えられる理由としては三つ。


一つは秘密警察。日本で言う所の公安0課から差し向けられた人員だった場合。


一つは彼が特殊衛生兵の隊員で、それも鷹見や神谷の様な上層部であった場合。


そしてもう一つが、今目の前にいるこの男が元特殊衛生兵であった場合。


冷たい汗が背筋を滑り落ちる。


今迄の行動だけでも十分この男は危険分子に値するが、この発言によって更にその度合いは高まった。


「………さっきからうだうだ抜かしやがって……てめえ…。一体何者だ……!?」


男は少し目を見開いて「しまった」とでも言いたそうな顔をした。


「ああ、失礼。そう言えば僕の自己紹介がまだだったね。僕の名前は赤坂 勇だよ」


「………赤…坂………勇……?」


「漢字は…そうだね………赤トンボの“赤”に…古い方の大坂の“坂”…名前は―――――」


「お前………笑えねー冗談だな。あの男は死んだんだ。日本の英雄を騙るな………!!」


「………!」


世界の誰もが知っている一般常識を初めから知らなかったとでも言いたいのか、その言葉を聞いた男は目を丸くした。


……………。


俺にはその名前に聞き覚えがあった。


………いや、聞き覚えどころではない。


何せ俺はその名の男に憧れてこの職業に就いたと言っても過言ではないのだから。


いかがでしたでしょうか。


待たせている皆様には酷な話なのですが………改編回はまだ続きます。

こう言う「改編回」に関してはこれからもちょくちょくあると思いますが許してください。


それではまた会いましょう。

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