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新天地

目の前に敵意を持ったハンターが三人。なかなか危機的な状況だった。


(ヤバイよ、いきなりハンターにエンカウントとか私の運、低過ぎ?)


どうにか敵意はないことを伝えたいが私はナルガクルガ。当然人間の言葉なんて話せるわけがない。


(こうなったらちょっとだけビビらせて帰ってもらおう。うん、それにしよう。戦うのはあんまり好きじゃないし)


手始めに体から水分を霧散させて擬似的な霧を作り出した。相手はいきなり視界が悪くなったため戸惑い始めた。その隙に毛並みで月光を調節して体を見えないようにする。これで相手からはこちらが視認できなくなった筈。


(それにしてもここまでスマートにやってるなあ。やった事無いのに体が覚えてる感じで不思議だね)


三角飛びでハンター達の後ろに回りこむと息を吸い込み咆哮を放った。ナルガクルガの咆哮はバインドボイス(小)に分類されるが流石に後ろからゼロ距離で聞かされればハンター達も体を硬直させた。


(よしよし、次々)


硬直が解けたハンターが振り向く前にまたその場を離れて死角に回りこむ、そして今度は尻尾を叩きつける。もちろん当たらない絶妙な位置に。ただし衝撃で吹き飛んでいるがそれくらいは勘弁して欲しい。そんな感じでハンターを煽ってると向こうも余裕がなくなってきたようだ。


「おい!一回撤退したほうがいいんじゃねえか!」


「そうだな……この霧、そして姿を消す。間違いなくナルガクルガ希少種だ。今の俺達が狩れるような相手じゃない」


「向こうも様子見してるみたいだし退きましょう」


どうやらハンター達は撤退することに決めたようだ。


(良かった。上手く行った。このまま何か食料でもあればいいんだけど)


考えながら私は森の方へ飛び立って行った。しばらく飛ぶと緑豊かな森に出た。ところどころに川が流れていた。


(ここって何処だろう?適当に飛んできたからそんなに遠くないとは思うけど……)


さっきみたいな事にならないように今度はある程度まで羽ばたきながら降りたあとに着地した。辺りにはモンスターはいなさそうだ。


(まずは食料確保だね。それからここが何処だがわかるようなものを探そう)



ーーーーーー

ーーーー

ーー



(おぉー、あったあった)


しばらく木の根元や水辺を探してると木の実や茸を見つけた。食べてみると茸の方はなんか不思議な味がした。だが、問題は木の実の方だ。口に含んで噛んだ瞬間いきなり実が弾けだした。口の中でパンパン爆発して口の中がヒリヒリしている。


(さっき食べたのってはじけクルミだったのかなぁ。あんなに弾けるなんて知らなかったよ。今度から気をつけなきゃ)


他にも食べれるものがないか探してると遠くに蜂の巣を見つけた。この体になる前、甘いものが大好きだった為蜂蜜を見た瞬間駆けだそうとしたが視界の端に青いものが映ったため反射的に姿を隠した。青いのは熊のような形をしたモンスターだった。


(アオアシラ……)


青熊獣と呼ばれるモンスターで主にユクモの地に生息している。


(てことはここ渓流だったのか。そんな遠くまで来たんだ)


アオアシラは食事を始めた。私もおこぼれに預かれないかな?と思いながらゆっくり近づいてみた。向こうはこっちに気づいてないのか蜂の巣に頭を突っ込んで蜂蜜を舐めていた。まあ気づいていないならいいやと思いつつ脇に転がっていた蜂の巣のかけらを頂戴した。


(甘ーい!やっぱり甘いものはいいね!)


そんなふうに食事をしてるとアオアシラが突然逃げ出した。こっちに気がついた?と思ったがどうやら違ったらしい。後ろからバチバチ火花のような静電気のような音が聞こえたからだ。振り返ると二本の短い角に蒼い甲殻と白い毛を生やした狼がいた。


(よりによって本日のモンスター二頭目がパケモンスターですか。やっぱり私の運低すぎじゃね?)


逃げようかどうか迷ってると、向こうが飛びかかってきた。仕方が無いためバックジャンプで躱した後霧を出し姿を隠した。


(そういやナルガクルガって遠距離攻撃出来たよね?)


尻尾に力を込めるとなんか刺が逆立ったような気がした。そのまま振り回し勢いをつけて棘を前にぶん投げた。


ドガガガガガガガガガガガガ!


(……なにこれ?散弾銃?)


目の前一面が棘で埋まっていた。こんだけ撃ったら尻尾がハゲると思ったがどうやら無事のようだ。ジンオウガの方も避けたらしいが幾つか脚に棘が刺さっていた。


(流石だなぁ。あの程度じゃやられはしないだろうしどうしよう)


と突然ジンオウガの体が崩れ落ちた。呼吸も乱れているため何かあったのは明白だ。


(えっ?どうしたの急に。もしかして何かしちゃった?……まさか私の棘?)


よく見ると棘の刺さっている場所から血が異常な速度で流れだしていた。


(もしかして出血とかいう新しい状態異常でも増えたのかな。不味いなあ、無闇矢鱈に殺す気はないんだけど。助けようかな)


とりあえず、刺さっている棘を噛んで引き抜き、近くで見つけた薬草見たいなのを口の中で噛み潰した後、舌で傷口に塗りつけた。何してんだゴラァ!みたいな目で見られてるけどこれくらい勘弁してよ。応急処置にもならないが終わるとジンオウガはふらつきながら去っていってしまった。ふらついてたのは血が抜けたから一時的な貧血になってるだけだと思う。


(私が知らずにやったことだけど死なないといいな)

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