表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/97

その14.神様の望むままに!

「我の左目がうずくッ……! 貴様を斬れと血が滾るッ! この右腕に宿る我の大鎌……封印を解き放つ!」

「おはようございます、田島先輩」

 登校中、街中でばったり会ってしまった。

 田島先輩は肩で呼吸しており、額には薄っすらと汗が浮かんでいた。

 多分、探していたんだな。

「田島って言うな! 先輩って言うな!」

「おはようございます、ベリアルドさん」

「うむっ」

 満足げ。

 数日振りですね、帰りは何度か尾行されて撒いての繰り返しだったけど、諦めて今度は朝に待ち伏せって事ですか?

「まさか街中で大鎌出したりしないですよね?」

「そのまさかだ!」

 俺の学校生活はもう滅茶苦茶だよ蔵曾……。

「えーっと……結界を作って、貴様を対象にして……あ、その前にそう、左目の解放!」

 先輩、自分の考えた中二設定がうろ覚えなのは如何なものですかねぇ……。

 眼帯を取って左目に青い光を宿すと、彼女を中心に周囲が薄暗くなった。

 気がつけば周囲は無人、俺と先輩しかいなくなってしまった。

「こ、これは……?」

「隔離結界! その範囲や五メートルにした、これなら我の大鎌も貴様に十分届く」

「考えましたね……」

 前後左右を見てみると、街中ではあるも黒い壁が立ちはだかっていた。壁には魔方陣が描かれており、化学実験室での状況を彷彿とさせた。

 逃げられる範囲も狭いとなると……これはやばいかも。

 ……そうでもないか。

「先輩、落ち着いて話し合いましょう! 朝からこれはちょっと!」

 朝食食べた後でいきなり激しい運動はしたくないんだよね。

「てやぁ!」

 先輩は大鎌を振りかざすや、俺は左右に動いて先輩を翻弄。

「あっ、ちょっ、動くな!」

「止まったら斬るつもりでしょ!」

「そうだ! 我に斬られるのが貴様の宿命!」

「理不尽な……」

 それと先輩、左右に俺は動いているんだから横一閃に大鎌を振ればいいんじゃないかな。

 俺が不利になるような助言はしないけど。

 先輩は運動がかなり不得意、大鎌を振った事など妄想でしかないであろうし、よくよく考えれば狭い空間だろうが互いの戦力を比べれば問題はまったくない。

 俺は距離を詰めて先輩にでこピンで応戦。

「痛いっ!」

 先輩は怯み、目を閉じながら大鎌を無茶苦茶に振るが、振る速度も速くない上に目を閉じているので俺が安全な距離にいるのも解っていない。

 俺は漫画や小説は結構読んでいる、敵はそれなりの力を持っていて、それなりの運動神経を持っている。

 しかし先輩は問題外だ。

 これほどに弱い敵は、流石になあ……。

 能力はすごいよ?

 左目は主に結界を扱う能力で右手は大鎌の出し入れができるんだよね? しかも大鎌は斬る対象を選べる。

 けれどこれらを扱う本人が……なあ?

 これといって運動は得意でもなく、何の能力も無い奴に翻弄される敵というのもどうかと思う。

 俺は鎌柄を掴んで取り上げて、でこピンをまた食らわせる。

「痛いっ!」

「はい、俺の勝ち」

「か、返せ!」

「この結界を解いたら返します」

「うぐぐ……卑怯な……!」

 敵がこんな台詞吐くかねえ……。

 蔵曾、これは完全に配役ミスだぞ。


「はいカット。駄目駄目、ベリアルド……駄目じゃない」


 唐突に、黒い壁の向こうから声がした。

 半透明なその壁をよく目を凝らして見ると蔵曾がいた。

「入れて」

「か、神様!? 今すぐに!」

 先輩は壁の一部を消失させて入り口を作り、蔵曾は俺と先輩の間に割って入ってきた。

 おいおい、カットってなんだカットって。

 お前は映画監督か何かか?

「もっと追い詰められるようにしなきゃ。逆に追い詰められてどうするの」

 いきなり説教が始まった。

「貴方には期待してる、少しは大鎌を巧みに操ってかっこいい立ち振る舞いをしてくればきゃ私のインスピレーションが全然刺激されない」

「申し訳ございません……」

「結界解除。能力戻して」

 蔵曾は俺から大鎌を取り上げて先輩に渡し、先輩は言われるがままに結界を解除した。

 周囲を歩く通行人の中に俺達は唐突に出てくる形となったはずだが、誰も反応していない。

 どうなってんだか。

「脅威や緊張感が欠けているのかもしれない。次はじっくり考えて彼を襲いなさい、強く激しく恐ろしく」

「は、はい! 神様の望むままに!」

「やめてくれないかなっ!?」

 先輩は深々と蔵曾に頭を下げてその場から去っていった。

 そんな彼女の後姿を眺めて、薄っすらと口元が緩みながらため息。

 がっかりとか、そういう感情は感じられなかった、心配……そういった感情かなあ。

 まるでやんちゃする娘を見てつくため息だ。

「……おい」

「何?」

「何? じゃないだろ。敵だよ敵、敵が出てきたんだよ」

「そう」

「そう、じゃないだろ、お前が嗾けたんだろ!」

 まるで他人事だ。

「ここで立ち話もなんだし、喫茶店でも」

「学校があるんだけど」

「今日は学校休み」

「嘘つけ」

 先輩は普通に制服だったぞ。

「今唐突にね、休みになった」

 何を言っているんだこいつは――とか思った瞬間に、携帯が震えだした。

 新着メールが一件、メールの主はノアだ。

 メールを開いて見てみる。


『今日学校休みになったと連絡網が回ってきたです(・∀・)キエー♪』


 だからそのキエーは何なんだ。

 ……どう返信しようか。

 いや、うん、簡単な返信でいいな。

 俺は『やったー』とだけ打ち込んだ。メールはあんまりしないから、どう返信していいか解らん。

 蔵曾は肩をすくめてフードの下から見える口をにんまりと形作った。

 踵を返して彼女は歩き出す、ついていくしかないな。

 どうせ今日は一日暇になったんだ、こいつに質問攻めをするとしよう。

その2が何故かその1になっていたので修正いたしました、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんm( )m

全部蔵曾のせいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ