第四章 大地の声 2
それを見つめながら、義人は一言。
「今回はやけにシンプルだな」
「けどよ、単純だからこそ難しいぜ」
「そ、そうですねぇ。答えに繋がるヒントが何もありませんし……」
「どことなくIQテストの問題をほうふつとさせるね。このメンバーの中ではセシリーがもっとも高いIQを持ってるわけだけど……」
「……正解不明」
その後、一行はうんうんと唸りながら思考する。
「一+一が二になるのはわかるけどよぉー。なんで二+二が二になるんだよ?」
「その理由が、おそらくこの問題を解くためのヒント、だとボクは睨んでるけど……」
「肝心の理由が、全く見えてきませぇん……」
「肯定」
なんの進展もなく、時間だけが過ぎていく。
――不味いな。全くわからない。アイディアの一つすら湧いてこない。
『は、は、は、は、は。頭が固いうえに発想能力も低いのですねぇ、あなたは。妄想力は半端ないくせに。白柳香澄の顔とAV女優の体を脳内合成する時間を発想力を磨く時間にあてていたなら、こんなことには――』
――じゃあ君はこの問題の答えがわかるのかぁ? わかるんだよねぇ? 人の発想能力貶めまくってるんだからさぁ。ちゃんとわかってるんだよねぇ?
『当然でしょう。これでわからなかったら罵倒したわたしの方が恥をかきますもの』
――ならさっさと教えてほしんだけどなぁ?
『ならわたしと疑似セ――』
――くだらない冗談にツッコんでる場合じゃねーんだよ、このクソアマあああああああああああああああああああああああッッ!
『冗談ではありません本気です』
――別の意味で冗談じゃねーわ、クソッタレえええええええええええええええええええッ!
結局、イヴの口から答えが出たのは、時間切れギリギリのタイミングだった。
『数字の画数を数えてみなさい』
瞬間、義人はハッとなる。が、時すでに遅し。
『タイムアップ。第五問目は不正解となりました。よって、リーパー・アドヴェント。ご愁傷様です』
代理人の声が消えた後、白髪の少年は拳を握りしめながら正解を言う。
「答えは、四だ。数字の画数を足した数が正解になる。それが、あの問題の法則だった」
「……なるほど。例えば、2+2は画数が1同士を足すから答えは2になる。なら、9+9は画数が2同士だから、足すと4になる。だから答えは4、か」
答えがわかったところで、時間切れになってしまったのだからなんの意味もない。
――前から思ってたけどさぁ。君は一体、なんなのかなぁぁぁ? 僕を好きだなんだと言っておきながら、味方する気が微塵もないよねぇぇぇ?
『は、は、は。愛しているから味方する、などという普遍的な連中とわたしを一緒にしないでいただきたい。わたしがあなたをたまらなく愛おしく感じる瞬間は、あなたが精神的に打ちひしがれている時。つまり、今この瞬間ですよ。愛する人の不幸で飯が美味い。チョー美味い。マジサイコー』
――よく理解できた。君に対して、今後僕はなんの期待もしないよ、このサイコ女。
『は、は、は、は、は。自虐乙です。このサイコ野郎』
嬉しそうな愛おしそうな笑い声が脳内に響き続ける。
それに歯噛みしながら、義人は冷静を装って口を開く。
「別の場所へ行こう」
そう言いつつ、外へと出る。
その瞬間、ゴゴゴゴゴゴ、という奇妙な音が耳に入った。
「今のは……地鳴り?」
全員をその場に停止させ、様子を見る。しかし数分経っても状況に変化は現れなかったため、
「……行動を再開しよう」
言って、別の建物へと近寄っていく。
残す建造物は民家が数軒。それら一つ一つを探していき――最後の一軒に入った矢先、モノリスと対面した。
それに触れ、次の問題を表示させる。
◆第六問
Q、太郎君という子が一杯一〇〇〇円のラーメンを食べて、二〇〇〇円札で支払いをしまし た。しかし、一円もお釣りが貰えませんでした。
何故でしょう?




