第二章 密林の悪魔 17
「黄色に四文字、白に三文字、赤に二文字。ここに当てはまる文字が日本のテレビには表記されてるんだよ。黄色の端子には映像、白は左。赤は右。それぞれひらがなに変換すると、四文字、三文字、二文字になる。で、それらをこの丸の部分に入れ込むと……」
黄 白 赤
え ひ み
い だ ぎ
ぞ り
う
「と、いった風になる。で、丸の中にある数字の順に読むと、みうり、という文字になるんだけど……」
「みうり、身売り、か。それがこの問題の答えというわけだな? では早速――」
「ちょっと待った。まだ終わってない。確かに単語としてはおかしくないけど」
「下にある数字と色、矢印の表記が気になる、だろ?」
ナンシーの言葉に、白髪の少年はこくりと頷いた。
「下の方にある表記を使って、みうりを別の単語に変換する。それが正解になる、と思うんだけど……ここからが、さっぱりわからないんだ」
再び、沈黙がその場を支配した。
刻一刻と時間が過ぎる。だが、答えは見つからない。
義人の表情に焦燥が宿り始めた。
そんな時。
「……五〇音表」
ぼそりと吐き出された、セシリーの一声。
それに対し、イリアが真っ先に反応する。
「な、なんですかぁ、それぇ?」
「日本語のひらがなを並べた一覧表」
「ほへぇ、さっすが日本通だ。あたしらが知らないことを良く知ってやがる。んで、それが一体なんだってんだよ?」
「矢印の方向に移動。謎かけ問題の定番」
なんともわかりにくい説明だったが、日本人である義人には、その意味がバッチリとわかった。
創造を使用し、五〇音表が書かれた紙を創る。それから「み」「う」「り」を探し、矢印の方向にあるひらがなを調べた。
その結果。
「ま、く、ら……この問題の答えは、枕だ」
その言葉に対して、代理人の声が返ってくる。
『正解。コングラッチュレーション。おめでとうございます』
気の入っていない称賛。それから。
『正解を確認いたしましたので、ヒントを差し上げます。第一のヒントは……“私は特等席でお前を見ている”』
言い終えた後、「以上です」と付け加え、沈黙。
提示されたヒントに、全員の顔が緊張したものとなった。
皆、同じことを考えているのだろう。
特等席で見ている。これは二つの解釈が可能だ。
一、集団のすぐ近くに居て、監視を行っている。
二、集団の“内部”にて、監視を行っている。
義人を含め、全員が脳内に浮かべた可能性は、二であろう。
この中に黒幕が居て、“お前”を見ている。
――問題なのは、お前が誰を指してるのか、だな。普通に考えれば僕になるけど……違うって可能性もある。もしそうだったら、この一件はスペシャルチームの誰かを殺害するために仕組まれたもの、ということになるんだけど……いずれにしても、怪獣の正体は不明のままだ。
一息ついてから、義人は全員に向けて言葉を紡ぐ。
「君達さ、ここがどこだか理解してるかな? そう、怪獣の体表だ。で、この怪獣はどこぞの誰かが用意したもの。つまり、僕等は敵地のど真ん中にいるってわけだね。そして問題とヒントについても、敵が用意したものだ。そんなのを君達は信用するのかな? もしかしたら、嘘がまぎれてるかもしれない。僕達の心を疑心暗鬼にして潰す。さっきのヒントはそのためのトラップだという可能性もある」
ここで一拍の間を空けた後、彼は続きを語った。




