第二章 密林の悪魔 16
言いながら、異能を発動。千里眼により、周辺の情報を把握。
しかし、自分達以外の生命体は何一つ検知されなかった。
「……ごめん。勘違いだった」
「おいおい、勘弁してくれよ。とうとうバトル展開かと思って警戒しちまったぜ」
安堵の息を漏らしながら笑うナンシー。他の面々にしても、同じような反応だった。
反面義人はというと、表情を一切緩めず、緊張を張り付けたまま。
――なんだろう。何もいないはず、なんだよな。それなのに……やっぱり、視線を感じる。
『自意識過剰乙、といったところでしょうか。誰もあなたのことなんかそこまで注目してませんよ、この自惚れ糞野郎』
イヴの罵倒通りであることを祈りながら、少年は進行を再開した。
そして気を紛らわすため、同行者達に話を振る。
「ところでさ。君達、武器を携行してる人とそうでない人にわかれてるよね? それって何か意味があるのかな?」
「あぁ、特に意味はないよ。ボク等は一応、皆異能者だし、銃器なんかほとんど必要ない。けど、アメリカの人間だから、かな。どうにもこれを持ってないと落ち着かなくてね」
言いつつ、彼女は肩に提げた小銃を動かして見せる。
銃やナイフといった武器を携行しているのは、イリア、レベッカ、ソフィアの三名。彼女等以外の三名は携行していない。
そこらへんに、なんとなく彼女等の性格というものが表れているように感じられた。
そして約一〇分前後行進した末に。
「もう二つ目発見、か。意外と大量に配置されてるのかもしれないねぇ。このモノリスってやつは」
目前にあるそれを見やりながら、義人は呟いた。
今回もまた躊躇うことなく近づき、石版に触れる。
と同時に、問題文が提示された。
◆第二問
「テレビ」
黄 白 赤
〇 〇 ①
〇 〇 〇
〇 ③
②
↑ ↑
1(赤)←2(黄)3(白)
=〇〇〇
Q.〇に入る「文字」を求めよ。
「ううむ! これまた意味がわからん!」
「一見しただけじゃ、本当に意味不明としか言えないわねぇ……」
問題文を眺めつつ喋り合う、レイチェルとレベッカ。
その他の面々も、視線を文章へと集中させていた。
義人もまたそうしながら、思考を行う。
――多分、このテレビって部分が大事なんだろうけど……うーん……。
『あなたという人は、見ていてイライラしますねぇ。テレビというものから連想される何か、とか、テレビをアルファベットに変換して並び替え、とか、そんな小難しいことをなんで真っ先に考えるんでしょうか。もっと単純な思考をしなさい。あぁ、ムカムカする』
――君ってさぁ、友達がゲームしてるとこ見てて、その子が下手くそだったらキレるタイプだよねぇ。本当に迷惑な奴だよ。……僕も人のこと言えないけど。
少し前、天馬のド下手なゲームプレイに難癖をつけ、喧嘩したことを思い返す。
しかしすぐさまそれを振り払い、眼前の問題を解くべく思考を再開した。
――君の言うことを聞くのは癪だけど……単純に考えろ、だっけ? 単純、単純、ねぇ……。
頭を捻り、テレビを脳内でイメージ。
すると。
「黄色、白、赤…………これ、もしかして端子の色、かな?」
彼の呟きに、全員が視線を集中させた。
「端子の色、ですかぁ?」
「あぁ、確かに、言われてみるとそうだね。でも、それがどうかしたのかい?」
「……そうか、君達は外国人だもんな。だったら、知らなくても無理はないか」
そう呟いた直後、妙な違和を感じた。が、時間は既に二分を切っている。些細なことを気にしてはいられない。
そのため、義人は説明を優先した。




