第二章 密林の悪魔 14
『問題でございます。こういったものを、プレイヤーの皆様には解いていただきます。制限時間は五分。“現時点”において、頭脳は七つもございますので、妥当なものでしょう。そして、一度不正解の解答をされますと、その時点で終了となります。次の石版を探し、別の問題に挑戦してくださいませ』
以降、声は聞こえなくなった。
直後、問題文のすぐ近くに、残り時間が表示された。
「あと四分五五秒。その時間以内に、この問題を解かなきゃいけないのか……」
呟きながら、義人は文章を眺める。それは他の面々も同様であった。
「今日のご飯はなんでしょうってところからしてよぉー、答えは料理名になるんだろうな」
「それを表記された文章から導き出せ、と、そういうことね」
「む、難しい、ですぅ……」
「……難解」
各々頭を捻ってみるが、全く前進できない。
それは義人も、であった。
――縦読み、斜め読みをしてみたけど、これといった情報は見いだせない……。右側の文章は支離滅裂でなんらかの法則性はないように感じる。でも、左側の文章はなんらかの法則性がありそうだな……。文字がキチッと七字で揃ってるところとか、何か意味があるのかな。
考え込む少年の脳内に、相棒の笑声が響く。
『は、は、は、は、は。頭が固いですねぇ。それに反して股間は固くさせてもまだまだ柔――』
――下ネタが言いたいだけなら黙っててくれないかなぁ? この役立たず。
『おやおや、そんな態度を取っていいのですか? せっかくヒントを差し上げようと思いましたのに』
――正解がわかったならさっさと教えろ性悪。
『は、は、は。そんなに知りたいですか? なら今晩わたしと疑似セ――』
イヴの言葉を遮る形で、ソフィアが声を放った。
「左の文章にある、料理を作りましょうって部分。ここが、問題を解く第一段階を示してるんじゃないかな?」
全員の視線が、彼女に集まった。
そして、ソフィアは中性的な美貌の眉間に縦皺を刻みつつ、言う。
「料理を作る。この部分からして、真ん中の材料をなんらかの形に弄って変化させるんじゃないかな」
その一声により、全員が思考を再開する。
しばらくして、今度はセシリーが口を開く。
「文字を、ひらがなにする。その後、字をずらす」
これまでで一番長い台詞だった。が、微妙に意図が分かりにくい。
その詳細は、レベッカが教えてくれた。
「あぁ、そういうことね。材料の欄にある漢字をひらがなにして、少しずらすと、横読みでりょうりが出来上がるわ」
彼女の発言通り、義人は脳内でイメージを行った。
鶏胡生リ
肉椒姜コ
ッ
タ
これをひらがなに変えると、
とこしり
りしょこ
にょうっ
くうがた
さらに、この文字列をずらし、りょうりという字ができるようにすると、
こし
としょ
りょうり
にうがこ
っ
た
このようになる。
そこまでイメージした矢先、義人は次の段階を思いついた。
「この文字列を、お皿に盛り付ける。つまり……」




