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暗黒騎士の伝説 ――成り上がった僕が、世界を支配するまで――(旧題:僕は主人公になりたい ――最強の歯車・只野義人――)  作者: 下等妙人
【第二部前編:最強VS最狂 ――THE MONSTER PANICK――】
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第二章 密林の悪魔 10

 その一方で、義人はというと。


「着地地点は決まってるの?」

「え、えっとぉ、最初は密林地帯に降りる予定、だと思いますぅ」

「ふぅん……それじゃあ、先に失礼するよ」


 そう述べてから、義人は変身を開始する。


 霧状の闇が少年の全身に纏わりつき――数瞬後、ブラックナイトが姿を現す。

 二メートル半を超える巨体。

 筋肉美を体現しているかのようなボディ。

 総身に流れる血色のライン。

 涙を流しながら怒り狂っているかのような、恐ろしい形相。


 その威容を見て、同行者六名がため息を吐く。まるで、見惚れているかのように。


 さりとてそんな反応など歯牙にもかけることなく、義人は外界へと飛び出た。


 上空数百メートル地点からの落下。

 常人であれば、例え飛行可能であっても僅かな恐怖を感じることだろう。だが、彼の精神は不動を保っていた。


 重力を操作しつつ、頭から降下する義人。その目的地は、言うまでもなくあの巨大怪獣である。


 東京二三区がまるまる収まってしまうような、とてつもない巨体。

 時たま海上に現れる、カメの如き頭部。


 そんな姿を視認しながら、少年は思う。


 ――間近で見ると、ことさら不気味だな。あまりにも非現実的だ。

『は、は、は、は、は。あなたを含め、人間共の反応はとても滑稽ですねぇ。神の実在が判明した時点で、もはや何が起ころうともおかしくはないというのに。こんな程度のことで一々騒いでいたら身が持ちませんよ』

 ――……君さぁ、何か知ってるんじゃないの? 

『やれやれ、何回目ですか、その質問。本当に何も知りませんよ。まるでわたしが黒幕であるかのような言い草はやめてください。こんな純粋無垢な美少女をつかまえて、失礼だとは思わないのですか?』

 ――ははっ、寝言は寝て言え、このラスボス野郎。


 やはり、彼女に何を聞いても無意味であるらしい。


 そもそもイヴの言う通り、この一件と彼女はなんの接点もない、という可能性もある。

 前科持ちゆえ信用はこれっぽっちもないが、決めつけてかかっても無意味ということは義人も承知していた。


 ――なんにせよ、今回の探索でこいつの正体に繋がる何かを掴まないとな。そうしないと、日本が終わる……!


 それは同時に、世界経済への大打撃にも繋がるのだ。

 日本という国家が崩壊でもしたなら、この世界は確実に大混乱に陥るだろう。それはなんとしてでも防がねばならない。


 そんな強い決意を胸に抱きながら――漆黒の鎧は、怪獣の体表へと着地した。


 一回転し、左の拳と膝を地に着ける。途端、地響きのような轟音が鳴り渡り、着地地点の土くれが派手に天へと舞った。


 それから、義人は周囲を見回す。


「背の高い樹林に、長い雑草。目につくのはそれだけ、か。どこかの無人島にでも居るような気分だ。……何も知らなかったら、ここがまさか怪獣の体の上だなんて思わないだろうな」


 足元の土を踏みつけながら、呟く。

 その後、今度は上空を見つめて、


「スペシャルチームの連中も降下を開始した、か」


 まばらな形、しかし全員が密林エリアに向かって落ちる。そうした様子を見つめながら、義人は疑問符を口にした。


「どうにも、解せないな。あの子達は皆セカンドじゃないのか? アイアンブラッドの選りすぐりなら、間違いなくそのはずなんだけど」


 もし、彼女等がセカンドである場合、パラシュートなど不要だ。たかだか数百メートル地点からの落下など、なんらダメージにはならない。


 にもかかわらずパラシュート降下を行うということは、彼女等がセカンドでないという証明ではなかろうか。


「……イヴ。もしかしたら、君の言う通りかもしれないね。あいつらはハニートラップで、アメリカは調査の全てを僕に丸投げしてる。その線がちょっと濃厚になってきた」

『なんですか、信じてなかったのですか。マイハニーのことを信用しないなんて、それでもあなたわたしのダーリンですか。温厚なわたしでも怒りますよ、ぷんぷん』

 ――わぁすごいや。発言の全てがツッコミどころになってる。

『台詞へのツッコミついでにわたしのあそこにツ――』

 ――自分の指でもツッコんでろ、ばーか。


 異常な場所に居るというのに、二人は平常運転であった。


 それからしばらく経過し、全員が密林エリアの一カ所に集合。続いて、ソフィアが腕時計を見やりつつ口を開いた。


「現在時刻、午前九時一五分。状況開始」


 普通に考えれば、全員に言い聞かせるべく発せられた言葉。しかし、義人には何か違う意図があるように感じられた。

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