表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗黒騎士の伝説 ――成り上がった僕が、世界を支配するまで――(旧題:僕は主人公になりたい ――最強の歯車・只野義人――)  作者: 下等妙人
【第二部前編:最強VS最狂 ――THE MONSTER PANICK――】
62/112

第二章 密林の悪魔 4

「そうさな。まぁ、貴様になら本心を話しても良い、か。……実のところ、私にもわからん。あいつが特別な存在であったことは確かだ。しかし、それが恋慕かと言われると、妙に気に食わん」

「奴の息子に対しては、どう思っておられるのですか?」

「死んでくれた方がせいせいする、という思いはあるな。といって、それはあの女への嫉妬ゆえに、というわけではない。……そう、思いたいのだ。この答えで勘弁してはくれんか?」

「……はい」


 拗ねたように頬を膨らませる玲奈。その頭を、京香は優しく撫でてやる。

 そうしながら。


「……全く以て腹立たしい男だ。貴様はいつまで経っても、私の心を乱し続けるのだな。“淀川暗人”」


 去って行った彼に思いを馳せながら、彼女は息を唸らせる。

 その後。


「……只野義人。死ななんだということは、ある程度 えにしがあるということ、か」

「お会いになるのですか? あの男の息子に」

「すまんな玲奈。私はやはり、あいつのことを思い出にすることができぬ。あの男は、私にとって最初で最後の障害だ。私の人生に、張り合いを作ってくれた存在だ。……ゆえに、どうしても風化させることができん」

「……そう、ですか」


 ふくれっ面になる金髪の美少女。その様子に苦笑しながら、京香は誰に言うでもなく美声を紡いだ。


「彼奴は暗人に似ているのか、はたまた、義乃か……もし前者であったなら、私は……」


   ◆◇◆


 午前七時五五分。


 凄まじい速度で、事態が展開していく。

 それにめまぐるしさを感じつつも、義人の心に倦怠感などは皆無であった。


 自部屋にて、彼はニュース番組を見つめつつ、天馬と香澄に今後のことを話した。


「ついさっき、叔母さんから正式に出撃命令が下ったよ。アメリカのスペシャルチームに同行して、あの化物について調査する。それが僕の任務だって言われたけど……」

「ふむ、きな臭さを感じるな。スピーディーに物事が決まるのは良いことだが、今回は妙に速すぎる」

「つまり、今回の一件はアメリカの陰謀ってことか?」


 天馬の言葉に、義人は首を横に振った。


「わからない。けど、それはないと思う。僕の行動によって、アメリカは少なからず国益を損なってる。紛争地域の兵器供給だとか、政府と癒着してるマフィアの壊滅とか、この短期間で色々やったからね。……けど、その報復として僕を始末するとしたなら、これはちょっと陳腐すぎる。あっちは僕の戦力を把握してるはずだ。それなら、もっと賢い方法で仕留めようとするんじゃないかな。そうした思惑があるからこそ、今は僕を刺激しないためにブラックナイトを英雄扱いしてるんだと思う。だから、今回の一件にアメリカは多分関係ない」

「ふぅん……まぁ、とにもかくにも、お前、こっからあのバケモンのとこに行くんだろ? 帰ってくんのはいつぐらいになるんだ?」

「早ければ五日。遅くとも一週間って感じかな。何せタイムリミットがあるからね。その期限中に、あいつの詳細を調べ上げる必要が――」


 言葉の途中、インターフォンが鳴り響いた。

 おそらく、相手は送迎の担当者であろう。


「迎えが来たから、もう行くよ。じゃ、しばらく留守にするけど……二人共、元気でね」


 立ち上がりながらそんなことを言う義人に、二人は笑声を噴き出した。


「なんだよそれ。まるで今生の別れみてぇな言い方だな」

「我々の心配は無用だぞ、義人。むしろお前の方こそ気を付けろ。そして、できることならさっさと帰ってこい」


 二人に同意するかの如く、両者の相棒が姿を現し、言った。


「香澄の言う通り、早いとこ帰って来やがれ。そんで、宇宙刑事シリーズの続き見ようぜ」

「ヌシがおらんと香澄は寂しがるからなぁ。ま、それは私もヴァルガスも、だが。あ、ついでに天馬もな」

「はぁ? オレは別に、寂しくなんかねぇし。キモイこと言うんじゃねぇよ。鳥肌立つだろ」


 眼前にて繰り広げられるやり取り。自分にかけられる言葉。

 それらを噛みしめながら、義人は思う。


 ――離れたくないな、ここを。けど……僕には、相応しくない。

『えぇ、えぇ。本当にその通りです。あなたの傍に居ていいのはわたしだけ。他の連中などゴキブリのようなものです。だからさっさと駆除――』

 ――うるさい、このゴキブリ女。黙ってろ馬鹿。ばかばかばーか。


 憮然とした顔となりながら相棒を罵倒した後、義人は玄関へと向かい、ドアを開けた。


 その先に居たのは、いかにもSPといった調子の黒服二人。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ