第六章 エンドロール 9
何もかも吐かせたなら、こいつは深海の奥深くに封印しよう。そう決めながら、義人は作業を続けるのだが、
「あひゃひゃひゃひゃひゃ。容赦ないねぇ。そういうところはボク好みだけどさぁ」
この期に及んで、余裕を感じさせる声を出すクリス。
それを無視しながら、もう何度目かもわからぬ斬撃をぶつける。
その直後。
「ところでよっちゃん。君さぁ――“あの二人”のこと、気にならない?」
少年の動きが、ピタリと停止する。
「……今、なんて言った?」
「おやおやぁ? 難聴かな? 難聴主人公かなぁ? さすが主人公志望。抜け目なくネタを仕込んでくるねぇ」
再び切りかかろうとする義人。
「タンマタンマ! 君ってば怒りん坊だねぇ。カルシウム不足なんじゃないの?」
「質問に答えろ。それとも、再生するための時間稼ぎって解釈をしてもいいのかなぁ?」
「時間稼ぎと言えば時間稼ぎだねぇ。この怪獣大パニックは、君とあの二人を遠ざけるための時間稼ぎって側面もあったのさ。んで、もうそろそろ向こうでも決着がつきそうなんだよね」
一拍の間を空けて、クリスは続きを語る。
「向こうの様子、見ることもできるけど、どうする? ぶっちゃけもう戦う必要なんかないんだよね。こっちとしては。このバトル展開を終わりにするって言うなら、君と僕であっちのシナリオを鑑賞できるけど」
「……あの二人っていうのは」
「そう。天ちゃんとかーちゃんだよ。君の大切な大切なお友達。それが今どんなザマになってるか、知りたくない?」
それを受けて、義人は第一形態へと戻り、
「……見せてもらおうか」
「様子次第じゃルールを破ってでもボクを殺す。みたいな意図が透けて見えるねぇ。あひゃひゃひゃひゃひゃ! いやーん、よっちゃんこわーい!」
狂ったように笑うクリス。その体はもう八割方回復しており、義人と共に怪獣の体表へと着地したと同時に全快となった。
しかし襲ってくる気配はなく、それどころか変身を解いてみせた。
どうやら本当に戦意はないらしい。
そして、クリスは異能を使用したのだろう。六〇インチ程度のモニターが召喚され、宙に浮かぶ。
「さぁ、それじゃ現場に繋ごうか。カメラさーん! 現場のカメラさーん!」
次の瞬間、画面に映像が映った。
二分割されていて、それぞれが天馬と香澄の現状を中継している。
それを見て、義人は愕然となった。
モニターに映るモノ。それは――
絶体絶命となった、友人達の姿。
道化は笑う。客の前で、笑い転げる。だが、
それを目前にした客は、微塵も笑うことができなかった。




