表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/112

プロローグ一 僕が主人公を目指す理由(わけ)

 主人公。それは、物語の世界における中心人物を指す単語。


 創作物を好む人間なら、きっと誰にだって憧れの主人公がいると思う。けれど、それはあくまでも憧憬でしかない。真剣にそうなろうとする奴がいたなら、そいつは確実に頭のおかしな人間だ。


 そんなわけで、僕はおかしな人間そのものということになる。

 きっと生まれたときにネジが一〇〇本ぐらい抜け落ちたんだろう。


 僕は主人公になりたい。

 なぜなら、主人公って奴は他人と自分両方を救える存在だから。


 僕は物心ついた頃から一人ぼっちだった。両親は既にあの世。写真を残さない人達だったから顔もわからない。


 といって、彼等のことを気にしたことはなかった。

 生まれた時点で親がいなかったのだから、それが僕にとっては自然なことで、だから、他人と違うということによって嫌な気分になったことはない。

 でも――


 寂寥感せきりょうかんは、耐え難かった。


 育ててくれる人はいる。でも、真の愛情は得られない。だから僕はいつも寂しくて、いつも哀しかった。

 そんな日々を過ごす中で、僕は一冊の漫画に出会う。


 そのタイトルは、“NIGHT・騎士ナイト”。


 うん、正直ダサい。

 内容もそんなに良くはなかった。主人公が皆に持ち上げられ、ご都合主義満載で、あらゆるキャラが主人公のために存在するような、三流作品だ。


 それなのに、僕はこの作品に感銘を受けた。

 強きを挫き、弱きを助け、それで皆を幸せにして、自分も幸せになる。そんな主人公の姿に自分を重ねて、僕もこうなりたいと思った。

 主人公になりたいと、心底から思った。


 それから僕は努力を始める。

 主人公になるためになんでもした。主人公らしいことはなんだってやった。全ては“皆を幸せにして、その結果、自分も幸せになる”ために。

 

 そう、過去の僕は、本当に“それだけ”だったんだ。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ