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第0話・事件にならない程度に事件性の高い我が家の日常(ノーカット版)
窓から柔らかな光が差した。
何処からか馥郁たる珈琲の臭いが漂う。
間違いない。
新しい朝が来た。
希望の朝だ。
だが喜びに胸は開かない。
むしろ机に突っ伏して寝たから胸が痛い。
ていうか胸が開くってなんだよ。手術中かよ。
新しい朝って手術明けかよ。
だが寝ぼけて靄のかかった頭でよくよく思い出した所開くのは健やかな胸らしい。
最早手術中ですらなかった。
手術というか改造手術中だった。
おのれショッカー!
だがバッタの遺伝子が組み込まれればライダーキックを放てるわけで。
つまるところラジオ体操を受ければライダーキックを放てるということだ。
俺はそんな男の子ロマン(昭和風味)をみすみす逃した昔の自分が恨めしい。