友達とは洋食屋さん
ふっと、平日の職場へ歩いている時、彼は思い出した。
定期の期限はいつだったかとカバンから定期を引き出した。
少し風が冷たくなってきたなと、思いながら、道路の横に建設中の看板に目をやる。去年から、始まった工事はいつの間にか、見上げると太陽が隠れるほどの高さになっていた。
気がついたら、もうそんなに月日が経ったのかと、驚きながら定期をしまった。
週末の休みの日は、自宅で楽しみにしているドラマの続きに、撮りためたスポーツのシーズンの観戦するのが、唯一の趣味だ。
コートのポケットから、スマホをとりだしたのだが、青空からの光に一瞬目をつぶった。スマホの画面の隅のカレンダーのアイコンに自然と目線が写った。
今度、新しくできたジャマイカの料理屋に行こうと、言ってたな、
とスッとサラリーマンが行き交うところ、立ち止まり、スマホの検索サイトを押した。
お店の名前カタカナだったか、
と素早い打ち込みで、お店のホームページが画面に写った。
朝の爽やかな風と正反対のメニューの数々。
スーツじゃなかったら喜んでいたのだが、悲しいことにビールが隣に並んだ、料理の写真がでてきた。
海外へ行きたいと、よく言葉をこぼしていた、お前らしいな。と、まわりの喧騒と共にスーツのポケットへスマホをしまった。
仕事終わりの帰りは、お店の予約だな。と駅のホームへの道のりの中に朝日で姿を溶かしていく。




