第5話 第1章・【神隠し】編=過去説明
ヤバイ・・・神隠しが全然絡んでない・・。
次ぐらいから・・・多分
てか、彗出てない。まぁー良いか。
目を疑った。
『樫木屋彗と人格を切り替えた』
頭が可笑しくなったとしか思えなかった。
それに、樫木屋は周りが言う様に天才の部類に入る男だ。そんな男だからこそ、そんな事を言った事に、違和感があった。
そして、何よりも―――・・・。
『――――お前が本当に必要だ』
この言葉だけで、俺は全てを信じてしまったのかもしれない。
絶対に樫木屋彗が言わない言葉。それを、樫木屋彗の姿をした男が言った。
俺は、もうこの男の事を信じているのだ。
「コイツとなら・・・」
思わず呟いた、孤独でしかなかった俺が・・・・。
「何だコイツッ!!!」
無双と言うのだろうか?この状況は?
マコトは興奮していた。最近喧嘩と言う喧嘩は全くしていなかった。
数で圧倒的に負けていると言う状況が、更にマコトのアドレナリンを分泌させる。
「どうした?どうした?どうしたああああ!!!!」
目の前に居る奴の右頬を殴りながら叫ぶ。
喧嘩と言うのは、冷静で居るよりも、壊れてしまった方がやりやすい。
とび蹴り・回し蹴り・裏拳・後はひたすら右ストレート。
「ああああああああああ!」
金属バットを振り回し、叫びながら男が突っ込んで来る。
その男の顎に軽く拳を当てた。男はグラつき、その場にへたり込む。
「数だけか?」
思わず呟いた。まぁ、こう言う場合は数に頼った雑魚と相場は決まっているが。
マコトは藤太郎の方を見た。
「フンッ!」
エルボーを食らわせ、その後直ぐに違う男の顔面に膝を入れる。
「流石に慣れているな・・・」
思わず感心した。やられていたら加勢してやろうかと思ったかが、これ位の相手なら藤太郎一人で十分だろ。
「ドコ見てんだヨオオオオオオオ!」
赤髪短髪が叫びながら走って来る。
鼻血が出ている。あっ、さっき俺が殴ったんだっけか?
猪突猛進。マコトはもう一度鼻を殴り、沈めた。
「寝てろ・・・雑魚」
そして捨て台詞の様に呟く。
もうそろ・・・かな?
マコトは辺りを見た。残りは金髪ロン毛とアフロもどきだけ。
「おい!藤太郎!お前にロン毛やるわ」
藤太郎にそう言うと、藤太郎はコクリと頷いた。
「ヨシ・・・じゃーやるか?アフロもどき?」
俺がアフロもどきを見て言う。
挑発するつもりであだ名を言ったが、アフロもどきは至って平然としていた。
それを見て、思わず感心してしまった。
そして、指を鳴らす。
「良かったよ。あのロン毛を藤太郎にあげて・・・・お前が実質一番か」
マコトがそう言うと、アフロもどきは左頬を吊り上げ、笑った。
「よろしく・・・・マ・・コト?」
アフロもどきは首を傾げながら、マコトの名前を言う。
それに、マコトも笑顔で答える。
「よろしく。アフロもどき」
アフロもどき・・・長いからアフロで良いや。
そのアフロが姿勢を低くしながら突っ込んでくる。
「んなっ!レスリングか!?」
寝技主体の格闘技。
得意分野に引き込もうって事か!?
思わずアフロのタックルを食らい、後ろに倒れる。それと同時にアフロがマウントを取り、拳を振り上げた。
「総合格闘技か!?」
マコトがそう言うと、アフロはニヤリと笑って、拳をマコトの横っ腹に食らわせた。
「ぐはっ!」
流石にこれはキツイ・・・。てか、格闘技経験者かよ!大人しそうな顔して、エゲツねぇー・・・。
アフロはゼ全然ペースを落とさず、拳をマコトの横っ腹に食らわす。
マコトはその痛みに耐えながら、反撃の機会を待つ。
すると、アフロが一度拳を下ろした。
来た!
マコトはアフロの手を掴み、小指を折る。
いきなりの激痛にアフロが叫ぶ。
「ぐあわあああああああああ!!!!!!」
アフロは叫びながらマコトの上から転がり降りる。そして、のたうち回っている。
マコトはゆっくり立ちあがりながら、言う。
「小指折れれば、拳作れないだろ?」
そうマコトが言うが、アフロは痛さのあまり、叫び続けてマコトの話なんて聞いてはいなかった。
「沈め」
マコトは思いっきりアフロの腹に蹴りを入れた。
「ぐふぁ!」
アフロはそのまま気を失った。
「流石にあれだけのパンチは痛ぇーよ・・・」
マコトは横っ腹を摩りながら呟く。
「ポゲッ!」
気持ち悪い声を出し、金髪ロン毛は跳ばされた。
「おお~、終わったか」
マコトが藤太郎を見ながら笑う。
「お前・・・本当に違うんだな」
藤太郎が関心か、驚きかは判らないが、そう呟く。
「だから言ったろ?俺はマコトだ」
そう言い、マコトは拳を作り、藤太郎の前に突き出した。それに、藤太郎は一瞬戸惑ったが、同じく拳を突き出し、拳と拳をぶつけた。
二人は笑いながら、校舎裏を後にした。
「成程・・・・」
藤太郎が腕を組みながら頷く。
学校を出て、近くのファミレスに寄り、事の説明をした。
直ぐには理解出来ないだろうと思っていたマコトは、藤太郎の柔軟性に関心した。
マコトはハンバーグを切り、その一切れを口に運ぶ。
「じゃ~、そのマコトの身体を探すのか?」
藤太郎はマコトを見ながら尋ねる。いや、確認する。
「そうだ。でも、直ぐには見つからないだろうよ」
マコトがそう言うと、藤太郎は不思議そうな顔をし、尋ねる。
「それはどう言う意味だ?」
マコトは一瞬言うか迷った。これを言ってしまうと、多分完全に巻き込んでしまう。手伝ってもらうのではなく、加担と言った関係になってしまう。
マコトは暫く黙って考えた。
マコトが言うか言わないか迷っているのを察したのか、藤太郎が言う。
「俺は大丈夫だ。今俺は自分の意思でここに居て、マコトの話を聞いて、そして尋ねている。全ては俺の自己責任だ」
思わず言葉を失った。
・・・・人選は間違ってなかったか・・・。
思わず微笑んでしまった。それを見た藤太郎が、「どうしたと?」尋ねる。
「いや・・・・俺の目に間違えはなかったってな」
そうマコトが言うと、一瞬藤太郎は考えたが、自分の事を言われていると気付き、少し恥ずかしそうな顔した。
傍から見ると、少し危ないかもな・・・あっち系かと思われる。
マコトは思わずそう考えてしまった。
「それで、マコト。お前はどう言った人間だったんだ?」
ダイレクトに尋ねてきた。
「ん~、どんな言われても普通の男性だったよ、俺はな。ただ、周りが普通ではなかった。」
マコトは続ける。
「親父はヤクザの幹部。母さんは元刑事だよ」
「ヤクザに元刑事?」
藤太郎は驚いた声を出す。
「母さんが親父に一目惚れしたらしくてな。でも親父ヤクザだったから、刑事辞めて結婚したんだと」
「何か凄いな・・・」
藤太郎が呟く。
「んで、問題はこっからだ・・・。俺が中学生になった時、親父の組が潰れた。いや、正確には潰した・・・俺がな」
俺はフォークでハンバーグを指しながら言う。
藤太郎は意味が良く解ってなく、尋ねる。
「お前が潰した?どう言う意味だ?」
「親父と同じ、組の幹部の奴に騙されて、組の大切な書類と言うやつをその男に渡してしまって、そのせいで他の組に潰された」
「・・・・・その親父さんは?」
「その裏切った奴を追っているよ・・・日本中。組は潰れたんだけど、親父は昔のヤクザみたいに、義理や人情言っている人で、自分を助けてくれた組長が死んでしまったんだ、責任感じたのか、復讐なんかは分からないがな」
いつも親父に言われた。『人を裏切るな。もし裏切ったら、俺がお前を殺す』と。子供に言う事ではないのだが、俺はそう言ってくれた親父が好きだった。子供としてだはなく、一人の男として言ってくれて、嬉しかった。
「で、何で自分を始末しなくちゃいけないんだ?」
藤太郎が尋ねる。
「ん~、まぁ~簡単に言うと、俺は爆弾だからだ」
「爆弾?」
「俺の脳には、ヤクザの記憶とか警察の記憶とか、結構ヤバいのが入っている。それを使われるとヤバい。だから、始末する」
「取り返そうとは思わないのか?」
普通ならそう言う考えになる。だが、俺はそうではなかった。
「俺は・・・親不孝だからな。それに・・・戻れない理由があるんだ」
俺がそう呟くと、何かを察したのか、藤太郎はそれ以上尋ねてこなかった。
「・・・分かった。もっと詳しく知りたいと言うのが本音だが、これ以上尋ねる理由はない。俺はお前に必要と言われた。その言葉を信じる」
ホント・・・・大した奴だ。得体も知れない奴の為に動ける。
親父・・・アンタみたいな奴がここにも居るよ・・・。
「頼む」
俺は頭を下げた。これは、詳しい事を説明出来ない俺からのせめてもの礼儀だ。
「そ、そんな頭何て下げるなよ!」
藤太郎は顔を赤くしながら首を横に振った。
ホント・・・そっくりだ。
えぇー色々無理矢理な展開。
マコトの身内の話はこんなところで出すつもりはなかったのですが、
藤太郎を信用させる為にはここで話さないと駄目だと思い、話す事に。
えぇー次ぐらいから神隠しの事件解決みたいな感じの流れになっていきますが。
作者本人綺麗に物事が解決するのがあんまり好きではありません。
なので、謎を残して解決とか、何か後腐れが残る終わり方とか。
でも、そんな内容でも明るさを出したいと思います。
他の作品が少しシリアス度を出し過ぎてるので、推理と言ってもコメディーが多めにいきたいです。
では、次もよろしくお願いします。
それと、誤字脱字の指摘がありましたら言って下さい。
追伸・・・。
彗出てないよね。彼も主人公だけど・・・
ざまぁ~(笑)