月下のキス
(短歌九首)
残る火が
夜空に消えてゆく瞬間
無音が世界を覆う花の火
強そうな
カブトムシでもみるみたい
興味のある目であたしをみるな
全てから
君のことだけ引いてみた
世界はすっかり闇に変わった
きっちりと
正しい顔した風が舞う
どこかの洗濯物がヒラヒラ
真心を
涼しい顔して晒すのは
ひとはかならずいつか死ぬから
透明に
なれるのならば恥じないで
ひとに云えない善行をする
今だけが
寂しい色に染まってる
君に逢えたら青空になる
ただいまと
帰って来るのを待ち侘びて
カレーを作る夢をみた2時
ただひとつ
夜空に光る月だけが
あの公園でしたキスをみた




