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青が霞む  作者: いつ
3/16

3

映画を見終ると、先輩は何故か度々トイレに行く。

先輩は何故か普段はよく食べるのに今日はおかず一品程度しか食べない。


「…何となく早く帰った方がいい気がしました。」

私がそう言うと、

「いや、俺はまだ話していたいから気にしないで。」

先輩はそう言うと「あ、ごめん。」と言ってまたトイレへ行った。


(………この人お腹が痛いのでは…?)


そもそも、何故私を誘ったのかずっと不思議だった。

この先輩はそんなに見る相手が居ないのか、私もぼっちだった人間だ。

それならいつでも誘いに乗ろうではないか。

そんなことを考えていると先輩は帰ってきた。


「わこちゃんは好きなタイプとかいるの?」

トイレから帰ってきた先輩の第一声だった。

「?トイレで誰かに惚れたんですか?」

そう答えると、

「そんな出会い方があってたまるか!」

と笑いながらツッコミが入った。

「嫌いなタイプならありますよ。プライド高い人とかルーズな人とか浮気とか。居心地の悪い人は苦手です。」

そう答えると、先輩は水を一口飲んで質問した。

「…じゃあ、俺は?」

その言葉を聞いて私は全てに納得した。

「あぁ、そういうことか。」

それと同時に意地悪をしたくなった。

「そうですね、要領悪いと思います。」

そう答えると、

「そうじゃなくて例えば付き合ったり手を繋いだり、そういう関係にはなれると思うってこと。」

その言葉聞くと私はその時は悩んだ。


正直誰かを付き合う、特定の友達を作る、誰かに興味を持つ…そういうことが昔から苦手だった。

どうせ嫌われて離れてしまう、根底にはそれが強かった。

でも、家庭を持って大好きな人と傍にいて…、それは昔からの夢だった。

この不器用で要領悪くて、丁寧で優しい先輩なら好きになれる。そんな気がした。

「好きなれるか分からないですけど、それでも良ければ。」

そう答えるとすごく明るい笑顔を私に見せた。

数秒後、「ちょっとトイレ行ってくる。」


…もう今だけ水を飲むのは止めたらいいのに。

そう思ったのは今でも内緒。

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