12
「俺の家族に会ってほしい。」
突如彼はそう言った。
「はあ。」
驚いて私は一瞬目を見開いた。
「は、『はあ』!?わこちゃん??もっと他に何か出てくる言葉あるでしょ!?『緊張するなぁ!』とか『行くのはもう少し仲良くなってからがいいなあ』とか『是非是非〜』とか。その中で『はあ』!?」
自分から出した話題なのに私より彼は驚いていた。
「あ、いや。急だなと思って。」
そう本当に驚いたのだ。
正直その2文字しか咄嗟に出てこなかった。
「もう、わこちゃん!?もっと何かあるのよ、普通。この子は全くもう!驚いてオネエ言葉になるわよ、私。」
と彼が言うので私は内心、大体“〇〇になる”と人は言う時はもうなっているものだと思った。
面白いのでツッコミを入れずに私は言葉を聞くことに徹した。
すると、彼は続けて言った。
「あ、いや。重たく考えなくていいんだ。家に来て遊ぶだけだよ、ゲームとかしてさ。お付き合いだけかもだけど、将来一緒に居たいと俺は考えているから。一度母さんに会ってほしいだけなんだ。」
(それは重たく、ないのか?)
と心の中でツッコミを入れていたが、その言葉自体は自分との将来を考えてくれての発言だったため私は嬉しかった。
けれども人見知りな私は、
「え、いや、緊張します。」
と答えた。
彼はというと、
「そんな重く考えなくていいから!…あと、敬語。今は仕事じゃないの。」と拗ねた。
(お付き合いってこんな感じなのかな。こんな感じでお互いのこと知っていくのかな。どうしよう。)
悩みながら彼の服の袖を引っ張った。
「あの、恥ずかしいから、傍にいてくれます?上手く話せないかもしれないです。」
彼は一瞬驚いた顔をして、嬉しそうにパアッと笑った。
「もちろん!母さんも楽しみにしているよ!…それと、初めてわこから俺に触ってくれた。少し、いや、めっちゃくちゃ可愛い!」
と子どものように笑っていた。
「………可愛くなんてないです、背が小さいからっておばかにしないでください。」
と照れくささを誤魔化して私はそう言った。
「わこは俺にとっては可愛いの!」
彼はそう幸せそうに笑っていた。
「私はとしくんの顔は世間一般ではかっこいいとは思えません。としくんの笑顔は好きです。」
と私が言うと、
「そういうこと言わないの!かっこよくないの?そうだけど、ショック…。お世辞でもかっこいいと言ってよ〜。でも、笑顔が好きか…。この顔か!?」
と彼はニカッと笑った。
「やっぱり顔はおじさん寄りですよね。」
「ひどい…!!〣( ๐_๐)〣」
意地悪かもしれないけれど、落ち込む彼が可愛いなと思った。
歳上に思うことではないかもしれないね。
彼は言った、私のことを可愛いと。
ありえない話だ。
この時もその後も言われる度に「悪趣味」と私は言った。
その度に彼は「俺は変わってるの、俺を好きなわこも変わってるの。」と口癖のようにいつも言っていた。
私は子どものような彼の笑顔が好きだった。




