逃げ口上
逃げ続けたら何が待っているのでしょうか?
あの日何かが違えば
あの日々に私の藻掻きがあれば
今の私は何になっていたのだろう
人は何者になることもなく終わっていくことが大半で
何者かになりたくなかったはずの私は あの時は何者かになろうとしていたようだ
できることから全て逃げていった できないことからも全て逃げていった
そうして出来上がった私は 逃げることしかできない人間になっていた
逃げたところで ゴミくずであるということは変わらないのに
逃げたところで なんの足しにもならないことは分かっているはずなのに
それでも私は あらゆる何かから逃げている
幼き日に想像してしまった 黒い靄の塊になった全てから