知らない天井
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…ここはどこだ?
目を覚ますと、俺は洞窟のような場所にいた。天井は高く、どこまでも続いているようにも見える。
明らかにおかしい。俺は、さっきまで自分の部屋で誕生日になる瞬間を待っていたはずだ。
それから、今の状況を整理しようといろいろと考えてみた。
しかし、あまりに突拍子もない状況のため考えても答えに辿り着きそうもない。
とりあえず、何か手掛かりはないか周りを調べてみよう。
天井から多少の光が差し込んでいるが今の時間帯が夜なのか、それとも天気が悪いのか、少し薄暗い。
これは…石?何か模様のような…
周りを見渡し、壁を触ると石のような感触だったため、初めは洞穴のような場所かと思ったが、明らかに人工的につけられた模様のようなものがある。
壁伝いにぐるぐると回ってみたが、妙な人の形の模様が描かれていること以外に特に役に立ちそうな情報はない。
また、人の気配も全くなく、まるでこの世界に自分以外の人間がいなくなってしまったかのような錯覚に陥る。
時間が経つにつれて、段々と自分の置かれている状況が怖くなってきた。
とりあえずここから出て、誰か人を探し、事情を説明し、情報を得るのがよさそうだ。
そう考え、探索を再開した。
…一周回ってみたけど、出口はどこだ?
おかしい、出口がない。つまり、入口もない。
じゃあ、俺はどうやってこの場所に来たんだ?
いや、連れて来られたのか?
念のためもう一周してみたが、普通の扉らしきものはもちろんのこと、ロマンたっぷりな隠し扉や、スイッチみたいな仕掛けもない。
完全にお手上げである。
うーん、まさか…ね?
信じたくはないが、天井を見上げると、外に出られそうな穴が1つ。
どうやら、人間を辞めないとここから出られそうにないらしい。