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会議

夕食にはルシアの作ってくれた料理を三人で食べた。


ルシアが作ってくれた料理は、野菜を煮込んだポトフのような料理だった。

どことなく、コンソメの風味を感じる。


ミゲルは喜んで食べている。


さすが、得意気に十八番と言っていただけはある。


しかし、やはり匂いも味も感じるが、あまり食べたいと思えない。


正確には食べたくないわけではないのだが、食欲をそこまでそそられないのだ。


こちらの世界に来る前からそこまで偏食だったわけではないのだが…

前回のエドワードの店のときと同じように違和感を感じながらも、せっかく作ってくれた料理を台無しにするわけにもいかないので、食べ進めていく。


料理を食べ終わり、話さなければいけない話題に移る。  


「ミゲル、お腹はいっぱいになったか?」


『うんうん』と嬉しそうに首を縦に振っている。


「それは良かった。腹が減っては戦はできぬって感じだな。」


ミゲルの頭の上に『?』が見える。ルシアの方を向くと、ルシアの頭の上にも『?』が見える。どうやらこのことわざもないらしい。またやってしまった。


「ま、まあ、それは置いといて…これからの行動について二人の意見を聞きたい。」


ミゲルにもルシアに話したように転移ポータルの件を伝えた。


「ミゲルはその教会には行ったことあるか?」


ミゲルが首を横に振る。


「そうか…その建物のことは知ってたか?」


再度、首を横に振る。

どうやら存在自体を知らなかったようだ。


つい最近建てられたような佇まいではなかったが、近くの住人も知らないとは。ますます怪しい。


「どこに繋がっているかを確かめる方法はあるか?」


「うーん、乗ってみないと分からないですね…予め行き先が分かるといいのですが…」


そうなると、これはかなりの賭けになる。


理想としては、乗った先にミゲルの町の人達がいればいい。

しかし、ミゲルが建物の存在を知らなかったということは町の住人達も知らなかった可能性が高い。


つまり、ポータルを使っていた場合は自分達の意思ではなく、誰かに攫われていった可能性が高いということだ。


「明日、またその建物に行ってみよう。もしかしたら、書かれた文字にヒントとかがあるかもしれないしな。ルシア、ついてきてくれるか?」


「はい!任せてください!」


「ミゲルはどうしたい?家で待っていてもいいぞ。」


そう言うとミゲルは紙に文字を書き出し、書き終わると俺に見せてきた!


「…!」

決意に満ちた目をしている。


しかし、残念ながら俺には文字が読めない。すまん、ミゲル。 


「…ルシア、なんて書いてある?」


「え、えーっと、『ぼくも連れていって!』って書いてあります。」


「ミゲル、もしポータルの行き先が分かってもそのまま勝手に行ったりしないぞ?それに、もしかしたら危ない目に遭うかもしれない。それでも、一緒に行くか?」


そう言うとまたペンを走らせ、今度はルシアに見せた。


『もう一人になるのは嫌だ。それに待ってるだけじゃ何も始まらない。』


彼の中では気持ちが既に固まっているようだ。


「よし、じゃあ明日の朝に三人で出発だ。今日は早く寝ないとな。」


そういうと俺は食事の片付けを始めた。


ルシアとミゲルも手伝ってくれる。


「ゼンさんって不思議な人ですね。食事の片付けをしてくれるなんて。」


「自分が使ったものを自分で片付けるのは当たり前じゃないか?」


「一番年齢が上の人は、こういう片付けとかは普通はしないんですよ。ゼンさんの住んでいたところでは違いましたか?」


『この世界でも年長者を敬う文化があるんだな』と思いながら話を聞くと同時に、自分が最年長という事実に震える。


そうだ、もう俺、三十路だった。


忘れかけていた事実を思い出すが、年齢を重ねるのが嫌な訳ではない。


二十歳の子が『私なんて、もうおばさんだよ!』というのと同じノリである。


「でも、ゼンさんのそういうところ嫌いじゃないですよ。」


ルシアがそんなセリフをさらっと言った。


『ここで嫌いじゃないということは好き!?』


となってしまうやつは、まだまだ半人前だ。


"嫌い"か"好き"だけではないのが人間の感情だ。


危なかった。10代の頃の俺だったら勘違いしていた。


と、頭の中でしょうもない寸劇をしながら片付けを続ける。


「俺もちゃんと手伝ってくれるルシアのこと、嫌いじゃないよ。」


「…え?何か言いましたか?」


作業に夢中で聞こえていなかったらしい。年上らしくやり返してやろうと思ったが、一本とられた。恥ずかしい。


「いや、何でもないよ。さあ、片付けも終わったし、明日に備えて寝よう。」


逃げるようにそそくさ寝室に入る。

そのとき、ルシアの耳が真っ赤になっているのを見つけてしまったが、敢えて指摘するほど野暮ではない。


ベットに寝転ぶと、直ぐに眠気がやってきた。


そして、そのまま意識を手放した。

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