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暗闇に潜む者

何が起きた…?


頭の処理が追いつかない。さっきまで俺がいた場所に何かがいる。


そして、俺はその"何か"に攻撃されたのだ。


大きさは人よりも大きいが、以前戦った魔族ほど大きくはない。


"何か"がこちらを向いている。追撃してくる様子はまだない。


「#+%|%&#@$%!!」


何かを話しているが、全く分からない。


「%$#&@#§!!」


そして、叫び声を上げたと同時にこちらへ追撃を仕掛けてきた。


間一髪でその攻撃を避ける。何とか避けることが出来たが、町で戦った魔族とは桁違いのスピードだ。


その後も何とか攻撃を避け続ける。


反撃の機会を伺うが、なかなかチャンスが訪れない。


攻撃を避け続けていると、町で戦った魔族と同様に攻撃にパターンがあることに気付いた。


攻撃の隙をつき、渾身の力を込めて右ストレートを放つ。

手応えは確かにあった。しかし、その"何か"は倒れない。

そして、こちらの攻撃が当たる距離ということは、相手にとっても攻撃を当てやすい間合いであるということだ。


次の瞬間、左脇腹に衝撃が走り、俺は吹き飛ばされ、その勢いのまま、壁に叩きつけられた。


「ガハッ!!」


今まで生きてきて骨折したことはなかったが、今は確実に何本かの骨が折れていることが分かる。


漫画で、『肋骨を何本かやられたか…』みたいな台詞があるけど、あれってこういう気持ちだったのか…


などと緊張感のない思考が頭をよぎる。

ここまで危機的状況なのに、やけに冷静でいられる自分に呆れてしまう。


それもそうだ。こんな状況はどう考えたって現実的ではない。頭の何処かでは、『どうせこれは夢なんだ。』と思っているのかもしれない。


ーーでも、もしこれが夢ではなかったら?ーー


死んだらどうなるんだ?


それで、俺の人生は終わりか?


死後の世界は?


俺が生まれてきた意味は?


俺は何かを成し遂げたのか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


人間は、いつかみんな死ぬ。

それが早いか遅いかの違いでしかない。

結果としてはそうなるのだから、途中で何をしても結局同じだという考え方も出来る。


仕事終わりの晩酌、休日に趣味に没頭する、好きな物を好きなだけ食べる。全て些細なことだ。


その一つ一つの行動の全てに意味を求めてしまうのは人間の悪い癖だろう。




では、人生には本当に意味がないのだろうか。


俺が生きてきた30年間に全く意味はないのだろうか。


俺はそうは思わない。


友人や家族たちとの楽しい思い出。


長い道のりの先に見つけた素晴らしい景色。


そして、ルシアとミゲル。俺には守らなくてはいけない存在がいる。


生きる意味は自分で作り上げなくてはならない。


俺の人生の意味は俺が決める。


「…ッ!」


何とか力を振り絞り、立ち上がる。

このまま死んだふりをすれば、バレずにやり過ごせるのではと、少し考えてしまったのは内緒だ。


「悪いがまだ死んでやるつもりはない。」

言葉なんて通じないかと言った後に気付くが、俺が言いたかったから言った。それでいい。


再び敵に接近し、攻撃を避けながらこちらの攻撃を叩き込む。


こちらの攻撃に対して怯む様子はないが、手応えを感じる以上、ダメージが通っていないわけではないと信じて、攻撃を続ける。


人と同じ部分が急所とは限らないが、人体の急所と言われるところを容赦なく攻撃する。


「%$@#…コロス!」


今、『殺す』と言ったか?

聞き間違いの可能性があるし、そんなことよりも脅威の排除が先だ。


体力があり得ないぐらい増えたと言っても無限なわけではない。最後の力を振り絞って、やつの頭に狙いを定める。


「これで終わりだ!」


顔面を思い切り叩きつける。その勢いでやつは壁まで飛ばされていき、壁にめり込んだ。


結構な衝撃だったため、天井が崩れて生き埋めにならないか少し心配だ。


近付いて、戦闘不能かを確かめる。


動き出す様子はない。改めて敵の姿を見る。

町で戦った魔族と似てはいるが、少し違う。

体格は一回り小さいが、筋肉の密度は高く。引き締まっているという印象をもつ。

また、以前の魔族は緑色の肌をしていたが、こいつは赤だ。

魔族にも種類があるのだろうか。

一つ言えることは、以前の魔族よりも今回の魔族は確実に強かった。

まあ、魔族かどうかは分からないが人間ではないことは確かだ。


部屋を見渡す。戦いの後だから仕方がないが、所々がボロボロだ。

先程見つけた壁の模様も削れたり、欠けたりしていて上手く読むことができない。


「…ニンゲンコロス」


「ッ!」

今、こいつ喋ったよな…?


「…今、何て言った?」


「…ニンゲンコロス」


「なぜ人間を殺す?」


「…ニンゲンコロス」


駄目だ。壊れたおもちゃみたいに同じことしか話さない。

そして、しばらくうわ言のように同じ言葉を繰り返した後、絶命した。さすがに今度こそ大丈夫だろう。


身体が痛いがそんなことも言っていられない。

ここに来たのはフクオカにいた人々の行方を探すためだ。

せめて何かを手掛かりがないと、言葉通り"骨折り損"だ。


そもそも、この広いスペースは何のためにある?

何か目的がない限り、わざわざ地下にこんな場所は作らないはずだ。


それになぜ魔族がここにいた?何のために?


思考を続けながら部屋の中を歩き回る。


「…ガチャン」

ん?何かを踏んでしまった。次の瞬間、


「眩しッ!」

急に明かりがついたため、眩しくて目を覆ってしまった。


徐々に眩しさに慣れ、目を開けてみると、部屋の奥に見覚えのある"どこでもドア"があった。

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