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力の差

村に近づくと、魔族が村の門を破壊しようとしていた。

「なぜ魔族が結界の中にいるの!?まだ魔法石の予備は残っているはずなのに!」


そんなルシアの言葉を無視するように、魔族はどんどん門を破壊していく。このままだと、すぐに門は突破され、村の中に魔族が侵入してしまうだろう。


「このままじゃみんなが…」

この状況を何とかしなければいけないが、何もすることが出来ない。それだけの力の差が人間と魔族の間にはあるのだろう。


そして、いよいよ門が破壊されてしまった。

雪崩込むように魔族たちが村へ侵入していく。


「ゼンさん、村でおもてなしする約束が守れなくてごめんなさい。助けてくれてありがとう…さようなら。」


俺にそう告げるとルシアは村へ走り出した。


その言葉は、まるで遺言のようだった。


それでも、俺はルシアを止めることが出来なかった。

どう考えても彼女一人が助けに戻っても状況は変わらない。

それならば、彼女だけでも逃げるべきではないか。

そう声を掛けそうになったが、言えなかった。


感情を抜きに考えれば、その選択が正しいだろう。


しかし、自分の育った村、そして大切な家族を見捨てて自分だけが助かり、生きている。


「仕方がなかった。」「そうするしかなかった。」

そう割り切って生きていける人間がどれだけいるだろうか。


彼女の、だんだんと小さくなっていく後ろ姿を見ながら、そんなことを考えていた。


ーー俺は「割り切って生きていける人間」だ。ーー


自分にそう言い聞かせるが、心のざわつきが収まらない。


俺は決めたはずだ、自分の気持ちに正直に生きると。


そして、俺は覚悟を決め、ルシアの背中を追いかけた。

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