急襲
ルシアの話を聞き、しばらく考えを巡らせたが、そもそもここが別世界と考えた方がしっくりくる。地名が同じという共通点はあるものの、明らかに現実離れしている。
何かリアルな夢を見ているような、そんな感覚だ。
「もしよければ私の村に来ませんか?記憶が戻るまで、何かと困るでしょうし、命を救っていただいた恩を返させてください。」
「ありがたい提案ですが、身元も分からないような人間を連れて行っても大丈夫ですか?」
「あなたは私の命の恩人なので、文句を言う人がいれば、私が黙らせます!」
と言って、拳を握ってみせた。見た目と違って意外と武闘派なんだろうか。
そんなこんなで、ルシアの村に向かうこととなった。
村へ向かう最中に、ルシア自身のことをいろいろと話してくれた。
年齢は21歳。両親、祖母、弟と暮らしていて、家業を手伝いながら独学で魔法の勉強をしているようだ。
それと、俺の年齢を聞いて驚いていた。どうやら、同じくらいの年齢だと思っていたらしい。敬語で話すのも何だか悪い気がするからやめてくれと頼まれた。
この世界でも年上を敬う文化があるようだ。
ルシアの家は先祖代々、村を治める役目をしていてルシアの父は村長のような立場らしい。
また、村に魔族が入れなくなるような結界を作る魔法石というものがあるらしく、それを他の大きな町まで取りに行こうとしたところを捕まってしまったようだ。
「村長の娘が何でこんな危険な目に遭うようなお使いを頼まれてるんだ?」
「いつもは父が取りに行くのですが、どうしても外せない用事があって私が取りに行くことになったんです。父は最後まで心配していましたが…父の心配通りの結果になってしまいましたね。」
そう言うと、少しばつの悪そうな笑顔を浮かべた。
「一人で村の外に行けるってことは、ルシアのお父さんは相当強いんだな。」
「私もそこそこ自信はありましたが、父に比べたらまだまだひよっこです。父は本当にすごいです。まあ、ちょっと親父ギャグがきついですが…」
そんな話をしていると、空も徐々に明るくなり、森が開け、村が見えてきた。
しかし、様子がおかしい。
村から黒煙が上がっている。
「まさか!?そんな!!」
そういうとルシアは、一目散に駆け出した。
「おい!ちょっと待て!」
事態が飲み込めないまま、とりあえずルシアの後を追うことにした。




