表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エラーが発生しました。

作者: 勿忘草

つい先日見た光景が面白かったので書いてみました!笑

書いてる途中「なんてシュールなんだ」と思い、笑いが止まらなかった思い出。

この物語を読んで、クスッと笑って貰えたらいいなぁと思います。

感想お待ちしています。(_ _*))

彼女の記憶が無くなった。

僕と出会ってからの記憶が、全て消えてしまったのだ。

僕の彼女は大学でも、家でも、キャンパスでも、カフェでも、

僕が行きたいところに着いてきてくれた。

僕が辛い時も楽しい時も嬉しい時もずっと一緒に居てくれた。

まだたった一ヶ月の関係だけど、ずっと一緒にいたいと思ってたし、これからもずっと一緒だと思っていた。

「あ、あの!」

「彼女は、大丈夫なんでしょうか?!」

医者の男は黒縁でフレームの細いメガネをクイッと押し上げた後、僕と反対に静かな声で重々しく口を開いた。

「残念ながら、手遅れです。」

僕の全身からさぁっと血の気が引いていく…

医者の低く、静かな声とその表情に、冗談を言っているのでは無いと確信できた。

「そ、そんな…」

もう一度彼女を見る。

色々なコードに繋がれた彼女を見ると、胸が痛くなり、座っていられなくった。

僕は椅子からずり落ちるように地面に手を着いた。

「ごめん、ごめんなぁ。」

彼女の前ではかっこよくありたかったのに。

今は涙ぐんでしまって、情けない姿だ。

あぁ、僕が君にコーヒーなんてかけなければ…

実は、彼女の記憶喪失の原因は僕にあった。

「で、でも!わざとじゃないんだよ」

僕は彼女の誤解を解こうと、必死に叫ぶ。

君の、充電ゲーブルに引っかかってしまったんだ!

確かに、最近はスマートフォンに構いすぎて、君を蔑ろにしていた。

でも!

僕は…パーソナルコンピューター。君が一番だったよ。

まぶたの裏に最期の彼女の姿が浮かぶ。

『エラーが発生しました。』

とだけ言い残し、目を閉じた彼女。

医者は「同じ機種の新しいもの手配しますね。」と僕に伝える。

確かに見た目は同じ彼女だけど、僕との一ヶ月を。

大学でのレポートや癒しのアニマル動画を記録していた彼女とは。まるで別人だ。

「忘れないようにしよう。」

彼女との出会いを。そして記憶を。そして別れを。

僕は心の底から、そう誓った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ