二話(2)
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「早く起きろ。お前が朝弱いのは知ってるけど、隣町へ行くんだったら目を覚ませ。」
「うぐ......早起きは想定外だよ。」
「じゃあ、俺だけ行ってくるわ。のんびり寝てたらどうだ?」
「待ってマスター、あと3分だけでいいから......」
毎度おなじみ、駄々をこねるセラの朝。
俺も決して朝が強いわけじゃないし、どっちかというと夜型なんだが......彼女の夜型特化と朝雑魚の差が激しすぎる。
昼夜逆転生活が当たり前って感じなんだよな。
「3分経った。はよ準備しな、置いてくぞ?」
「嘘だよね?体感1秒だったよ?ね?」
「時計を見てたから間違いない。ごちゃごちゃ言ってないで起きな。」
俺が着々と準備をしている中、やっと布団から出てきた。
服は清掃魔法で綺麗にしてるから着替える必要はないものの、銃の手入れ、お金の準備とかで忙しい。
......セラも手伝ってくれればもう少しは早くなるんだけども。
「今日はどこの町へ行くの?」
「2つ候補があるんだが、1つが港町で、もう1つが山の麓の町。」
「山の麓の町の方がいい。港町は近々祭りとかで行くことになるから、それまでの楽しみにしておきたいな。」
「祭り行く気なのかよ......」
「マスターは嫌?」
くっそ、引っ掛けられた。
だけど無表情で「嫌?」と聞かれてもトキめく事は無いぞ。
残念だったな、お前の作戦は大失敗だ。
もう少し心配そうな顔をしていたら、俺のドSが暴走してたと思うんだがな。
......ドMじゃねぇから。
「祭りの事は置いておいて、山の町なら8キロぐらいかかるぞ?しかも上り坂。」
「問題ない、最悪マスターに背負って貰うから。」
「絶対に嫌だね。」
目的地はローミネ山付近の集落に決定。
山登るのめんどくさいとか言って港町を選ぶと思っていたが、それでもこっちを選ぶとは。
何があってもセラを背負うことは絶対にしないけど。
「さぁ、出発しようか。目指すは約2時間半のローミネ集落へ!」
「2時間半?転移石使えば一瞬で目的地に着くよね?」
「へ?」
て、転移石?いやいやいや、大体こういうのって1回その場所に行かないと使えないもんじゃないのか?
ゲームだったら、始まりの町から一気に最後の町まで行くってことだろ......信じられねぇ。
「お金かかるんじゃないか?徒歩の方が良くないか?な?」
「無料に決まってるでしょ。まさかマスター、これのこと知らないの?」
「しっ、知ってるに決まってるけどさ......歩きの方が新鮮で良くないか?山だぞ?」
「めんどくさいから転移石がいい。」
結局めんどくさいんじゃねぇか。
......通りで港町を選ばなかったのか、やったなこいつ。
この世界で12年間生きてきたけど、知らないことがあったとは。
もっと勉強しないとな。
「ほら、早く転移するよ。」
「俺は歩いて行きたかったのに......」
転移石に触れて直ぐに集落へ着いた。
よくある光の演出などは一切なく、一瞬で視点が切り替わるスタイルの転移石だったのか。
演出ありもいいけど、時短のことを考えたら無い方が便利だな。
「おっ、この姿からしてアストラだな〜!会いたかったよ〜!」
「げっ......姉貴がいる......」
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