一話(3)
これにて1話終了となります!
ここまでをプロローグにしようか悩みましたが、長すぎたのでやめました(笑)
「......人間さんですか?ここに来るなんて、恵まれてますね。」
上品でおっとりとした聞きやすい声。
神とか仏を信じたことは無いが、実際対面してみると......
人々が信仰する理由が分かった気がする。
「恵まれてる?そんなはずないだろ。」
「え?」
死んだことには納得するしかない、事情だから。
神に会えた、死の苦痛を味わうことが無かった、それは確かに恵まれてると思う。
だけど、恵まれてるとは思えないし腹が立つ。
「せっかく世界一位になったのに。死んでしまったなら、俺らは”元”世界一位で世界二位だった奴が一位になる。最悪だ。」
「確かにそうですね。」
やっと手に入れた世界一位。
その瞬間の喜びを、観客と共に味わうことすら出来なかった。
優勝と同時に死んだ伝説の世界一位なんて、そんな不運な称号はいらない。
「聞いてください、人間さん。」
「とりあえず聞きますけど、どんな内容ですか?」
「異世界転生にご興味は?」
転生、何年前の話だ?
俺がガキの頃に流行ったジャンル、俺はあんまり知らない。けれども......
「興味ある。だが、いくつかお願いを聞いて欲しい。」
「なんでしょうか?その前に、先に言っておくことがありました。......貴方の相方さんも亡くなっています。」
「察してた。それを踏まえての頼みだ。」
やっぱり、セラも死んでたか。
俺的には生きて世界一位として存在してくれれば、クランマスターとしては嬉しかったんだけどな。
死んでしまったなら、考えがある。
「1つ、死んでしまった相方と異世界転生させて欲しい。2つ、俺らにチート能力を与えてくれ。」
「......」
「チーターになって、新しい人生を楽しませて欲しい。
そして魔法のチートスキルだけじゃなくて、FPSゲームのチートも使わせてくれ。」
「お易い御用です、お2人は特別な人なので。」
あいつは異世界転生なんて望んで無いかもしれない。
死後の世界があって、そこで過ごしたかったと言うかもしれない。
俺はそれでも相棒とは一緒にいたい。
2年間、毎日毎日ずっとゲームをして笑った仲だから。
「目を瞑ってください。次に目を開けた時は、新しい人生が始まっていますよ。」
30秒ほど、この神秘的な空間を目に焼き付けてから目をつぶった。
美しく、神々しい場所。
次来る時は悔いの無い、最高の人生を送った後だ。
◇
......産まれましたよ!元気な男の子です!」
「君の名前は”アストラ”だよ。私がお母さんだよ、これからよろしくね。」
俺の名前......親がいると言うのは嬉しいことなんだな。
前世の俺は親がいなかった、と言うより物心つく前に死んでしまったらしい。
どんな人だったのか、今でも少し気になるな。
......なんて、昔の事を考えていても仕方がない。
新しい人生を最大限に楽しんで、生きてやる。
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