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八話 パラレルワールド管理局からの挨拶

 魔女の家に黒いスーツ姿の男の子と女の子が訪ねてきた。

サナエは、訪問者を見て、身体がこわばった。

(これはやばい。 大ごとにならなければよいが。)


 二人を居間のテーブルに席を勧め、メイドたちからお茶とお菓子を出した。


「今、今代の魔女を呼んできますので、しばらくお待ち願います」とサナエ。

そして、庭を散歩していた僕がよびもどされた。


「ジロウ様、至急居間に来ていただけますか?」とサナエが村放送で呼び掛けてきた。そう、村放送があるのだ。

裏庭を散歩していた俺は、急いで家に帰った。


「お初にお目にかかります。パラレルワールド管理局のケリーです」男の子が頭を下げた。

「お初にお目にかかります。同じく、同局のゲート管理係のピアです」女の子が深々と頭を下げた。

「僕が、8代目魔女のジロウです」


 パラレルワールド管理局のケリーとピア。

こちら側は、僕とサナエ。ミミは僕の膝で、のどをゴロゴロ鳴らしている。


「今日は、突然で申し訳ありません。 新しい魔女様が来られたということで、取り急ぎ押しかけてまいりました」とケリーが丁寧に言葉を進めてきた。


「パラレルワールド管理局のことは、初めてお聞きになるかと思いますので、私ピアから、ご説明させていただけますか?」


 彼女の説明は概ね次のとおりである。

広大な宇宙には多くの生命が育まれ、営まれている。パラレルワールド管理局は、基本的には見守るだけだが、崩壊に至る宇宙の整理や新しい息吹の成長支援などが主な役割と活動であると。


 少し、雑談をしながら、双方の人柄や様子を知ってもらおうということらしい。


「この星が誕生した時、我々もその経緯や状態を調査しました。突然時空に出現した星から、『生きたい!』という声が聞こえてきたのです」

パラレルワールド管理局の面々も私ケリーもびっくりしました。


「早速調べてみたら、確かに魂を持った星が誕生していました。誕生というのは誤解があるかもしれません。その星は、永らく魂の無い星として認知されていたものでした」


「そうです。神崎元様がハナ様の永住場所として、この星を用意したということがわかったのです。まあ、どのように用意できたかは不明です。きっと大いなる魂によるものと思われます」ケリーとピアが代わる代わる説明する。


「『大いなる魂』とは如何なるものでしょうか?」僕は疑問を投げてみた。

「それは、この宇宙の理と言っておきましょう」ピアが答えた。


「我々も、これはいいチャンスだと思い、支援をしてまいりました。神崎元様が配置した人種には、当初魂がなかったのです。魂は容易に作ることも増やすこともできません。そして、われわれは、パラレルワールドで迷子になっている魂を、この星に転移させて、魂の補充をしてはどうかと勧めたのです」


「「そういう訳で、これからもよろしくお願いします。」」ケリーとピアが深々と頭を下げた。

「そうですか。そのような謂れがあるのですね。驚くばかりです」


「ジロウ様は、毎日どのようにお過ごしですか?」ピアが話題を変えた。

「そうですね。この家の周りを散歩したり、近くの村で子供たちと遊んだり、楽しくやっていますよ」

「童心にかえって、”缶けり”とか”だるまさんが転んだ”とか 小さな子供も混ぜて、それは賑やかなものです」

「それは、楽しそうですね。今度私も混ぜてもらえますか?」とピアがなぜか乗り気であった。


 取り留めない話と、お茶、お菓子で、腹の探り合いもなく時間が過ぎた。


「会話が楽しめました。また後日寄らせていただきます」

と言って、パラレルワールド管理局の二人は帰って行った。


(ナズナ様は、御健在のようでしたね。)ピアはケリーに囁いた。


 パラレルワールド管理局は、ナズナの正体を知っている。5代魔女ササの時、一目見て”この方は!”と思った。あれから2000年、変わりなく過ごされているのを見て、安心した2人である。


まあ、彼らの話はサナエも知らないことだらけで、目を白黒していた。

「何か、大ごとのような匂いがしませんか?」サナエが怪訝な顔をした。

「単に、様子見にきただけだと思うけど。サナエも心配性だね。」


 今日のことをまとめておこう。

自室で、ササ様から借りているパソコンに書き込んだ。僕のパソコンを、この星のネットワークに接続することができた。魔女の家の配下の端末が、全て見える。スローン王国、ミズホ王国、ガルバ王国、サハラ王国、獣人族、エルフ族、竜族、ドワーフ族、それぞれの王あるいは族長の執務室にある。


 また、プチダンジョンの管理室、各地の神殿にも簡易型の操作盤がある。これらの端末は、魔女からの連絡が主で、プチダンジョンの管理室にはプチダンジョンの制御装置がある。この世界は、レベル3とは言いながら、管理側はレベル7相当のようだ。


「ところで、ナズナさん。今日のケリーさんとピアさんは、以前に会ったことがあるの?」

「はい、そうですね。ササ様に起こされた時にあの方たちがやってきましたから、2000年ぐらい前でしょうか」


ほぉ、ちょっとスケールが違いすぎて、よくわからん。

もう寝よっと。

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