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七話 初めての魔法を使う

 僕の日常は、サナエの言うとおり以下のようになった。追々、様子を見ながら変更修正するそうだ。


1、夜が明けたら少し散歩。

2、そのあと朝食。

3、魔法の勉強

4、剣術、弓、槍などの稽古

5、昼食

6、社会、地理の勉強

7、自由時間

8、晩御飯

9、薬学

10、風呂、就寝


 まず、魔法の勉強である。

今日は、火魔法から入ってゆく。この家にいるサナエたちはアンドロイドなので、魔法は使えない。したがって、初代魔女ハナの部屋に行って、ハナから講義を受ける。実技は家の外で自分で確かめ、収斂することになる。


「何も無いところから何かが生じることはない。必ず対価が必要」


 ハナ様の講義を聞く。

この世界の魔法は、魔素を変化させることで、地、水、火、風、空の状態を作ることができる。その魔素は、この世界には充満している。


 そして、誰もが使用できるが個人差があって、多くの人は、かまどの火つけるぐらい、水の魔法ではコップ一杯の水を生じさせ、風の魔法はそよ風を一瞬出せるぐらい。地と空の魔法は、1万人に一人ぐらいが使うことができる。地の魔法は畑を耕したり、土壁を作ったりできる。空の魔法は、治療などができる。


 そして、実地訓練は、ハナのカリキュラムを使って、サナエが鞭を振るう。??


「それでは、ジロウ様、この木に火をつけてください。うんんーと、火が付いたイメージを頭に浮かべて、“炎よいでよ!”と唱えます」


出来ないことを、やろうとするサナエも可愛い。


「あ、その前に、魔法媒体の“魔素”を集める稽古をしましょうね。ぺろ」

おい!本気を出せよ。


 魔素を集めるには、手を上にあげると自然に集まってくるとのこと。なーんだ簡単じゃないか。限界はあるのかとサナエに聞くと、個人差があって、それによって魔法の規模が決まるそうだ。


「ジロウ様は特別で、集める必要はありません。使い放題です。一発で世界を滅ぼすこともできます。良かったですね!」

「よかねーよ! 間違ったら大変なことになるじゃねーか!」


「そうですね。ここから北200キロメータに大きな湖があります。この湖は4代目のサヤカ様が土魔法の規模を間違ったせいで、できたそうです。まあ、ちょうど貯水池として良い具合だということでそのままにしております」

と、サナエが教義を進める。


後日、現地を見たら琵琶湖ほどあった。


「まず、この木の先に、卵ぐらいの大きさの炎をイメージしてください。」

僕は、炎のイメージを木の先に作った。が、すぐ消えた。


「まあ、練習しましょう。」


世界を滅ぶこともあると脅かされたので、ついビビッて、しょぼい結果になった。というわけで、10分ほどやって、どうにか火がついたところで今日は終わり。10分ほど休憩に入った。


「ところで、ナズナは魔法が使えるの?」

「いえ、できません。」

ナズナが平然と答えた。


「思い浮かべただけで魔法が具現化するのは、ちょっと遣りづらいと思います。初代のハナ様がルールをお作りになりました。歴代の魔女様は基本的にそれを踏襲されています。お教えしましょうか?」

「もう少し先で良いよ。今聞いても忘れるよ」


「そうですね。人種って忘れるという特技がありましたね」

特技と言えば、そうかな? アンドロイドの方が特殊だと思うのだが。


 魔法のレベルは5段階ある。段階ごとに習熟度を見てアップするので、初心から最高レベルの魔法は使えないようにしてある。また、地、水、火、風、空の5種類があって、できることが制限されているらしい。


 魔素は元世界で言う元素に、付け加えられた、この世界の素である。これを基にして魔法が使える。そのため科学があまり使われない。これは、創造主のハジメが設定したことで、世界の調和に”科学は害になり得る”と考えた結果、魔素と魔法の世界を形作ったと言われている。


 剣術、弓、槍などの稽古は、ジンと呼ぶサハラ王国の第5王子が教えてくれることになった。


 彼は魔女の家から300メータほど東にある小さな小屋で生活している。なぜ、ここにいるのか不明。どうも代々、サハラ王国の王子が居候しているらしい。

そして、男だから呼ばれない限り、魔女の家には近づかないので、いままで、気が付かなかった。


 朝起きて、散歩をしていると居丈夫な男が、木剣を持って素振りをしていた。

「おはようございます」と僕。

「お! おはようございます。 魔女様ですね」

居丈夫な男は、木剣をわきに抱えなおして、近づいてきた。


「はい。8代目魔女で ”ジロウ”と言います」

「やあ。私はジン。サナエ様よりジロウ様の剣術、弓、槍などの稽古を頼まれております。よろしくお願いします」


 茶目っ気を出して、「おとうさん?」って冗談で呼んでみた。

素振りの手から、木剣が”ぼてっ”と落ちた。


「あのなあ・・ おれは独身だし、歳は28だ。 むむ・・・」としゃがみこんだ。

見かけによらず、面白い人のようだ。


「ごめん・・。 冗談だよ」

「そうだとは思うが、ちょっと心にひびが・・」

(28歳だと僕ぐらいの子供がいても不思議はないのだが)


パソコンに、今日の魔法の要点をまとめて入力してゆく。なにせ、忘れやすい性質だから、メモメモは重要。

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