五十八話 再び、魔女の神殿にあるモノリスへ
7番目のモノリスの前に、アミンダ隊のサチ、カナン、クロエ、ガルと魔女側の僕、ナズナ、スミレ、アウラ、イリカ、ジンの10人が並んだ。
「さて、いよいよ最後の杯に魂を満たそう!」僕は皆を促した。
ピローンではなく、華々しいメロディが流れた。
(モノリスの表面には、1,2,3,4,5,6の杯に魂が満たされた)
(7番目の杯に魂を満たせ!)と表示された。
アミンダ隊の4人とぼく、スミレ、ジンの順に手をかざした。
そして、樽の中が満たされ、覗き込んでいた動物たちや人が、それぞれ飲む様子が映し出された。
ジャジャジャーン。安っぽい音がした。
(すべての杯が満たされた。そして、この星が生まれ変わる条件が揃った。後は、パラレルワールド管理局が導いてくれる。しばし待て!)
ええ・・。ここで、パラレルワールド管理局が出てくるの?
それに『しばし待て!』なんて。
続いて、モニターには、赤羽カオルの手記というノートが出現した。そうだ、3つ前のおれは赤羽カオルだった。この手記には記憶がある。
仮想世界ではあるが、魂を持つものが現れたら、現実の世界に生まれ変わることができると。あの時、パラレルワールド管理局と言う2人連れが、僕の部屋を訪ねてきて、約束していった。そして、何時か、魂が宿ることを夢見て、おれは『異世界の種』を仕上げた。
「そこには、何が書いているの?」僕の顔を覗き込んで、サチが聞いてきた。
「聖杯のシステムを作った経緯が書かれており、魂が満たされたら、次の段階に進めることができると。で、次の段階にはパラレルワールド管理局との接触が必要だと」
「パラレルワールド管理局ってなに? 聞いたことないけど?」
「そうだね。これは魔女の関係者以外には知らされていないことなんだ。でも、君たちは、この星の代表者として会えるようにするよ」
僕は、お楽しみは後日に取っておこうね、的な話で括った。
ここは、魔女の家の居間。
聖杯探しが一段落して、メンバーを労うために、お茶会を開いた。というより単にお菓子とお茶をテーブルに並べた。
一心に食べるガルはよそにおいて、思い出話を咲かせた。
「楽しかったね」