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五十六話 一番目の聖杯を探して

 次の日も、朝から日差しがキツイ。 3つの巴の太陽がギラギラしている。

メイドたちが用意してくれた朝食を食べて、テントを撤収する。

村長には、探し物があるので、朝食後に旅立つと言っておいた。


 ペガサスの周りに村人たちが手に手にお土産を持って、見送りに来てくれた。

「ペガサスに乗船!」ジンが指揮を取る。

ジンってこういう時に光るよね。王子だから。

タラップを踏みながら、手を振る。


「さて、探索開始!」


 モノリス探知装置の探知能力は半径5キロメータだから、南北100キロメータ、東西50キロメータの島を南北に5回探せばよい。若干オーバーラップして、飛行するようナズナ操縦士に指示をする。

で、4回目の飛行で、北の端で反応があった。


 低空飛行をしながら、三点測位法によって位置を狭めて行く。

半径30メータほどに、範囲が絞れたので、地上に降りた。そこは、草原。モノリス探知装置をかざして、皆で歩いてゆく。


 蔦で覆われた、小さな穴があった。その中へ探知装置の針が向いている。何も躊躇せず、僕たちは洞窟の中へ入って行った。


 うねうねと曲がりながら奥へ200メータぐらい入ったところで、広間に出た。20メータぐらいの円形で、天井まで5メータほどあるみたいだ。

そして、中央にモノリスがあった。


「見つけたよ!」


 表面を撫ぜると、”7つの聖杯が満つるとき、星は生まれ変わる。”と表示された。4隅を押して、パスワードはと聞かれたところで、Enterを押す。


 モニターに、絵が浮かんできた。

大きな樽があって、右側には女の人が瓶を持って何かを注いでおり、左側には、人や動物たちが樽の中を覘きこんでいる。

(魂を持つものが手をかざせ。さすれば杯が満たされる)


まず、僕が瓶に手を当てた。すると、瓶から樽へ金色の帯が流れた。

ピローンの音と伴に(7分の1が満たされた)と画面の下に表示された。


「えーっと、順番に手を当ててくれるかな」


 メイドさんたちはアンドロイドなので魂を持っていない。

スミレ、ジン、アミンダ隊の4人が次々と瓶に手を当てた。やがて樽は満たされた。ピローンの音と伴に(満たされた)と画面の下に表示された。

素っ気ない反応だった。


 これで、一個目をクリアした。

気が付いたら、もう夕方が近い。経緯90度の地点まで行くには、最高速度の時速4000キロメータでも6時間ぐらいかかる。今日は、洞窟を出たあたりで、休むことにしよう。


 翌日、経緯90度地点へ第2の杯をもとめて出発した。

24000キロメータをマッハ3・5で、海の上を飛んでゆく。

この経路には、島もなく、もちろん大陸もない。単調な飛行が続く。


「みなさーん。 昼食にしましょう」とメイドのコギクが声をかけてきた。


ナズナも自動操縦に切り替えて、全員食堂に集まった。

「出発が9時ごろだったので、現地あたりに着くのは午後3時ごろになりますね」


「退屈だね。 外を見ても海ばかり」

と口々に、退屈をおかずに昼食を食べた。暗い。


とはいうものの、お腹が良くなると自然と元気が出るのは人の性である。そして、運動も必要。特にガルには。


「途中で止まって、泳がない?」

「おお・・。それは良いぜ!」と、やはり、ガルが俄然と乗り気を出してきた。

ペガサスを水面に下して、ボートを出した。


 ガルが相変わらず、僕が男ではないかと疑っている。その視線をカナンが遮って、

「こら、ガルのすけべ! ジロウさんの水着姿をガン見しないの!」

「まったく。すけべ!」って、僕はベロを出した。


 まあ、こんなこともあろうかと、サナエが認識阻害の水着を用意してくれていたのだ。女の子らしいプロポーションに見えるように。特に股間の膨らみが見えないように。そして、胸の膨らみを少し出して。


反対にガルが凹んでいる。(やっぱり女の子なんだ・・・・)


小一時間ほど、皆で海水浴を楽しんで、再び目的地へと向かった。


 はて?。何もない海の真ん中で、モノリス探知装置の針がくるくると回っている。


「もしもし、サナエさん。モノリス探知装置の針がくるくると回っているのですが、対応をササ様に聞いてもらえますか?」スミレが電話をしている。


 「お姉ちゃん。ササ様の答えは、”その下か上”だって」

上には何もない。青い空だ。と言うことは海の中?。


「ジロウ様。ペガサスは水深100メータまでは潜れます。それ以上は魔法での強化が必要です」

「よし。潜水開始」僕はナズナ船長に指示を出した。


 水深500メータのところで海底についた。そして、そこには大きな洞窟が開いていた。ペガサスを進めると、行き止まりに、モノリスがあった。


「イリカ、魔法で水中遊泳バルブを張ってくれるかな」

「了解」


 イリカが魔法で、スミレ、ジン、アミンダ隊の4人を、それぞれ空気の球体で包んだ。ぼくを先頭にふわふわと、タラップを降りてモノリスに近づいていった。

そして、手順通り、聖杯を満たすことに成功した。



 次は、経緯180度である。


「ナズナ、このまま次に向かって飛ぼうか?」

「了解しました。 まあ、みなさんは寝てくださいね。 明日の朝に着くように自動操縦に入れますので」


 経緯180度地点へ第3の杯をもとめて、アマツ大陸の上空を飛んでいる。


 僕たちが住んでいるトネリコ大陸の反対側に広がるアマツ大陸は、大きな大陸と無数の小さな島々で構成されている。アマツ大陸は、東西5000キロメータ、南北3000キロメータほどある。周辺には人族は住んでいない。


「あそこに降りようよー!」スミレが飛び跳ねている。

大きな河の畔の草原にペガサスを着陸させた。


 タラップを降りると、

「あ・あ・あーーーー」アミンダ隊のサチが両手を上げて伸びをしながら叫んでいる。


 まあ、ずーっと船内だったからね。解放感はひとしおだよ。そういう訳で、今日はここで、各自自由時間となった。


 夕食は、外でバーベキューだ。

メイドだけでなく、各自準備を手伝う。もちろんレベル3なので、薪拾い、かまどに使う石広いから、できれば食材も現地調達。


 ガルは、重い石運びを命じられ、四苦八苦して集めている。

アウラとスミレは、近くの川に釣りに行った。俺とイリカは、食材探し。食べられそうな草、実などを籠に入れてゆく。後でゆっくり鑑定しよう。


よし、焼く準備はできた。


 「ジロウ様、この大陸にもミドリ子がいます。それと、私と同じ形態の者もいることが分かりました。明日、会ってみたいのですが」

その夜、横のイリカとスミレが寝入ったのを見計らって、ナズナが言ってきた。


「そうか。もちろん、会うよ」


 翌朝、朝食を済ませ、一段落していると、彼らがやってきた。

先頭に、ガルのような少年、その後にミドリ子が50人ほど歩いてきた。


「ジロウ様、お初に目にかかります。マサオと申します」

マサオの服装はガルに似ている。ミドリ子たちはナズナの服装に似ている。

なるほど。


 彼らは、このアマツ大陸で、半年前から存在するようになって、現在3000人ぐらいいるそうだ。だとすると、星誕祭には、この地も加わってもらうことにしたい。


 サナエさんに、アマツ大陸にミドリ子が3000人ほど生まれていることを伝えた。加えて、簡易の転移門をこちらに設けるので、神殿の資材と構築を行うようお願いした。


 ミドリ子たちの集落を訪れ、その夜は、そこで宴会となった。ミドリ子たちの会話は上手で、どこから情報を仕入れたのかな?


マサオたちには、魔女の家から支援するので、しばらくこのままここで暮らすように指示した。というか、おかあさん(ナズナ)の指示である。


 翌日、再びペガサスに乗船して、東に向かった。

ほどなく、山の斜面に開いた大きな洞窟の奥へと、モノリス探知装置の針が示した。同様のモノリスがあって、手順通り三つ目の聖杯を満たすことができた。

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