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五十五話 魔女の家から南に見えるアマル島にゆく

 魔女の家は、本初子午線にあって、北緯1度にある。

そして、アマル島は赤道上で魔女の家から南にあることから、特異な座標である赤道と本初子午線の交点すなわち緯度0度(北緯0度かつ南緯0度)経度0度の地点にある。

赤道上の経緯0、経緯90度、経緯180度、経緯270度に聖杯があるはず。

さらに、南極、北極にあって、7つ目は魔女の神殿にあるモノリスである。


 魔女の居間でこれからのことを話し合った。

僕にサナエ、ナズナ、スミレ、アウラ、イリカ、ジン、そしてメイドたち。


「ササ様から、モノリス探知装置を預かっています。およそ5キロメータ内であれば検知できるそうです」

「それは、助かる。情報が経度と緯度だけでは、探すのが大変だなと思っていたところだ」


「アマル島からスタートして、90度、180度。270度と回って行こうか」

「0度から次の90度地点まで、およそ25000キロメータだから、かなり距離がありますね」

スミレが暗算の結果を提示した。


「ペガサスは最高時速4000キロメータぐらいまで出せます。 ただ、0・5Gで加速しても、その速度まで4分ほどかかります」

おぉ、スミレは賢い。頭を撫ぜる。

「4時間少々ってところか。 まあ移動で1日。探索で1日ってところだろうか?」


「折角、未知のところに行くのだから、周囲を散策や探索もしたいね」

僕の欲求も満たしたい。


「メンバーは、我々のほかに、アミンダ隊と補助に料理人や警護班も伴うことで良いかな?」

「それでは、各自準備を。5日後出発しよう」


 5日が過ぎ、飛空艇ペガサスに乗船する時が来た。

アミンダ隊のサチ、カナン、クロエ、ガルと魔女側の僕、ナズナ、スミレ、アウラ、イリカ、ジンの10人。

運転はナズナ。それと警護役として魔女隊が10人、魔女の家のメイド3人が乗船している。

まず、アマル島の人魚の里へ。


 魔女隊のアオシが、ホセ、カルロス、ルイス、フリオ、ビクトルの5人。モモコが、セシリア、カリーナ、ファティマ、カーラ、ロゼの5人、メイドは、コギク、アヤメ、ハナエの3人。


 魔女の家を出て、南へ針路をとる。ミナミ村の上空を通過して、ロンパの宿場町も同様に通過すると、すぐに海に出る。そして、下には海が広がっており、その先も海。


 アミンダ隊やスミレたちは、海を上空から見たことで、おおいにはしゃいでいる。まあ上空と言っても高度500メータぐらいだけど。


 青い海と青い空。そして水平線が大きな弧を見せている。

時速50キロメータで岸から2時間ほど南へ下ったところがアマル島だ。


その間、お茶やお菓子でくつろぐ。


「そういえば、ポスター見た?」とクロエ。

「見た見た。可愛いなあ。ジロウ」うっとりするガル。

「えーい。気持ち悪いわ」僕はガルに蹴りをいれた。



 ペガサスは徐々に速度を上げていった。

やがて、前方に小さな点が見えてきた。


「アマル島が見えてきました。着陸態勢に入ります。席に座ってシートベルトをかけてください」

ナズナ船長からの指示が出された。


 眼下に迫るアマル島。南北100キロメータ、東西50キロメータの島で、南西の端に人魚の里がある。


「とりあえず、人魚の里に寄ろうか」僕の提案に、皆が賛同した。

「後、20分で人魚の里の近くに着陸します」


 連絡を入れていないので、とにかく下は大騒ぎのようだ。

銛を振りかざすもの、石を握る者。険悪な状況のようだ。


 僕たちは、タラップから降りて行き、僕が前に出て、

「こんにちは、今代の魔女のジロウじゃ。 騒がせてすまんのう。 村長はおるか?」


(魔女様だと・・・)

(ちっこいのう・・)

(あんなもので来るのは魔女様しかおらん)

(だれか、村長を呼んで来い!)

(お前が行けよ!)

と口々に騒いでいる。


 人魚族は、水中では2本足が魚のような尾っぽになって、陸では尻尾が2本足に変化して生活している。だから、浜の近くに集落がある。


 人魚族は、獣人族の派生なのだが、その形態のために獣人族から離れて、この島で生きている。村が12ほどあって、全部で2000人ぐらいだそうだ。まあ事前に調査はしたのだ。


「ハマチ村の村長のハマチでございます。魔女様御一行、喜んでおもてなしいたします。とは、申しましても、お客人をお迎えするのは初めてなもので、どうすればよいのか皆目見当がつきません。お教え願えませんでしょうか?」


「ジロウ様、私どもにお任せください」メイドたちが、ふんぬっと出てきた。

「じゃあ、ハマチどの、彼女らの指示に従うのじゃ。 楽しもうぞ!」


 男たちは一斉に漁に出かけ、女性たちは野菜や海草でサラダなどを作る。子供たちには、薪を集めさせる。


 昼前には、並べた机に御馳走と飲み物で溢れるばかりになった。

そして、村人200人と我々の宴会となった。


 夕方が迫ってきたが、滅多に外部の人が来ない村に宿はない。準備したテントを立てて、就寝の準備をする。


 村の子供たちがやってきて、外の話を聞きたいと。

(これは、困った。迂闊に話すと、”外にゆきたい子供”が増えるのは、親たちも困るだろう)

ということで、昔話を5本ほど披露してお終いにした。

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