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五話 ジロウ ミナミ村に来た

 魔女の家に来て10日が過ぎたある日、ミナミ村に行くことになった。


「こんにちは」

門番のお兄さんにあいさつをする。


 ぼくはサナエの手に引かれて、“ミナミ”という隣村にやってきた。姉妹に見える。


 サナエに女装させられたが、魔女名もジロウで通すことになった。黄色いオーバオールに白のブラウスと赤いズック、幅広の茶色の魔女用帽子をかぶって、まあまあ魔女らしい仕草をしてみせる。ジロウって、普通男の子の名前だけど。


 サナエも水色のオーバオールにピンクのブラウスと青いズック姿。


「おや、新しい魔女さんかな? サナエさんも今日は軽装だね」と門番のお兄さん。

サナエは、ずっとあの黒い着物で来ているようだ。

「僕の名はジロウじゃ、10歳なのじゃ よろしくなのじゃ」と自己紹介をした。

まあ、10歳ぐらいだと男女の差はないので、女児だといえば問題ない。


『ぼく娘』は、サナエが、偉そうにするようにとのことで、公の場では『のじゃ姫』でもある。


 魔女の家の近くには、魔女の村と、このミナミ村と、ずっと南の方に“カカチ”村がある。魔女は、主に3つの村の人たちに薬草などを提供している。村人は薬が不足すると魔女の家にきて、貨幣か物で対価としているとのこと。魔女が不在の時はサナエが魔女代理をしている。僕が来たので、村長への顔見せが今日の目的である。明日からは、僕が村人に接することになる。


 門を入って、まっすぐ100メータほど入ったところに、他より少し大きめの家があった。そこをサナエが覘いて、


「こんにちは。村長はいますか?」

後ろからバタバタと足音がしたので振り返ると、

「ああ サナエさんか 久しぶりだね」と小太りの爺さんが立っていた。


「こちら、魔女の“ジロウ”です。よろしく」

優しそうな村長は私の顔をみて、

「ああ、また可愛い魔女さんですね。先代から確か500年ぐらい経ちますか。何も無ければ良いのですが?」


どうも、久しぶりに魔女が現れたので、不吉な方向へ心配しているようだ。


「まあ、まあ、お茶でも入れますので、お入りください」


 大きな木のテーブルと10脚ほどの椅子があって、これまた小太りのばあ様と、そして僕より小さい子供がその後から覗いていた。名前はエミで5歳だと言った。


これは、ほうじ茶だ。うまい。

「ほうほう、魔女様はお気に召したようじゃ」


 サナエが、依頼のあった薬を渡して、今年の作付けや、魔物の出現、討伐の様子を聞きこんでいた。かなり遠くの西の山裾でゴブリンも出たらしい。魔法、魔物、討伐。おお・・異世界の定番通りではないか。


「ジロウ様、何かワクワクしていませんか? ダメですよ。危ないですから」サナエが見透かしたように言う。


「村長さん、これからは魔女のジロウ様が伺うことになりますので、よろしくね」

「かしこまりました」


 村長宅を出て村を一巡することにした。村長宅の前は、50メータほどの円形広場になっており、その周囲に家が10件ほど連なっている。右隣を覗くと猫耳のお姉さんが出てきて、


「いらっしゃい。あらサナエさんお久しぶり」

「新しい魔女のジロウです。よろしく」と


 その隣は加治屋さんで、小坊主が軒下でクワの手入れをしていた。

まあ、そんな感じで、次々と挨拶して回った。


 門の山側では、激しく打ち合う音が聞こえてきたので、行ってみると10人ほどの男の人と3人の女性が剣をふるって稽古をしていた。自警団の人たちで、外部からの盗賊や魔物の侵入を防ぐために結成されており、毎日訓練しているとのこと。


 少し南側に宿屋や土産物屋が立ち並ぶ一角があった。これは巡礼用だとサナエが言った。今回はそちらには行かない。


 パソコンを開いて、地図というアイコンを開くと、この近辺や今日訪れたミナミ村が表示されていた。そして、緑色の点が村の周りに点滅している。カーソルを持ってゆくと、名前、年齢、性別、職業などが表示された。これは便利だ。


 お友達扱いになったナズナは、僕の部屋に居る時間が多くなった。

出かけるときも、一緒のことが多い。

僕の身の回りの世話をする専属メイド兼お友達の位置づけである。

この前までは、ナズナの居室はメイドたちと同じで、ベッドもそこにあった。

今日は、ナズナのベッドが持ち込まれた。


「ジロウ様、ナズナをよろしくお願いします」

サナエとメイドたちが声を揃えて言った。

(うーん。これは何か楽しんでいる雰囲気だな!)


ナズナの顔を見ると、平然としている。まあ良いか。

ということで、今晩からナズナが一緒の居室となり、ドアが一つ増えて、その先の小部屋がナズナの寝室となった。


まあ、10歳と言っても、男女だもんね。


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