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四十六話 森人が居る

 ここは魔法学園の自室。

変わらず、僕のいない時でも、友人たちがくつろいでいるようだ。専属のメイドが常駐しているので、お菓子が豊富だ。特に、ガルは皆勤賞ものだそうだ。ただ菓子を食いに来るのかよ!。今度、請求書を顔に張り付けてやろう。


 「ジロウ様。近頃、我が国の南側の森に、森人を見かけたとの話があるのですが。ご存じですか?」カナンが話題を提供してきた。


話によると、身長が140センチメータほどで、緑がかった白い肌とウサギのような大きな耳があるとのこと。森に入った人がたまたま出くわした。今までに確認されていない人種?なのかな。ゲートを超えてきたのであれば、魔女の家でも検知したはずだが?。


「それは、僕も知らないな。 見に行こうか?」


「この週の、土、日の2日の予定で、各自準備をするように」僕は皆に指示をだした。


早速、マシャ3が活躍できる。アミンダ隊は先日、マシャ3を見ただけで、乗ってはいない。初めての乗船になる。


「ジロウ。食い物はあるのか?」食い気のガルがいち早く聞いてきた。

「あるよ。カロカロ煮がね」


「うげ!あれは、勘弁してくれよ」ガルは苦手らしい。


 王都の南門に集合した。ガル以外は、家人が荷物を馬車に積んできた。そして、ガルは大きなリュックを背負っている。


「さあ、乗って!」


ナズナの指示で、荷物の積み込みが始まった。そして、乗船。


「あのお。本人以外は乗れません」ナズナが続いて乗ろうとした家人を阻止した。

「乗りたい気持ちは分かるがのう。ここは若者だけということで理解してほしいのじゃが」


 家人たちは、しぶしぶ後ろに下がった。何せ怖い魔女様の発言だから。横のほうでは、永遠の別れのようなやり取りをしている者がいた。よく見ると、ちょんまげを結ったサクヤ王ではないか。全く親ばかだ。気持ちは分からんでもないが、これは無視。


「よし、乗船も完了したのでシュッパーツ!」


 カナンの王城に向けて、進路を設定。天気も上々。竜人族の火炎の都まで、およそ1500キロメータ。現在時刻は10時。時速250キロメータで飛ぶと、4時過ぎには到着する。


 眼下には、ガルバ王国の田園地帯が広がり、やがてゴーダ山脈に近づいた。


「ふぉー・・。たかーい。上半分は真っ白だね」


 スミレがはしゃいでいる。この中では、もっともお子ちゃまだから。イリカよりね。

 アミンダ隊の皆も、外を眺めて歓声を上げたり、お茶とお菓子でくつろいだりと楽しんでいる。


「ところで、この飛行船の名前を考えてほしいのじゃが」


「『ペガサス』はどうかな?」


「ほぉぉ。この世界もペガサスが存在するのか? よし決めた『ペガサス』だ」


 安直だな!でも不思議だ。なぜ、ガルが“ペガサス“を知っているのか?

 ゴーダ山脈を越えて、エルフ族の上を通過してゆく。まあ、下からは白い小さいものが、東から西へ移動した程度しか見えない。きっと気が付いていないと思う。

 そして、エルフ族の里よりさらに高い位置にある、ドララ王国が見えてきた。



「おお・・。カナンやー」


カナンの母君。ドララ王国の妃が飛んできてカナンに抱きついた。ここは、火炎の都。王城のホールに我々は居た。


「これはこれは、魔女様。ようこそおいで下さいました。先日お会いしましたが、私がドララ王です」

「うむ。余が8代目魔女ジロウじゃ。良しなに頼む」


 応接室に招き入れられ、しばし森人の発見者を待つことにした。


「ジロウ様、カナンがご迷惑をかけていないでしょうか?」

「いや、実に明るく聡明なご息女じゃ」褒められたカナンは顔が真っ赤だ。


「森人を発見した、ダンです」

きこり風の大男が、これでもかと縮こまって挨拶をした。

「気楽に頼むのじゃ。顔を上げよ」優しく僕は話しかけた。


 ダンはここから、20キロメータほど南にあるヒノキ村のきこりである。10日ほど前、緑がかった白い肌とウサギのような大きな耳をした小さな子供を見かけた。声をかけてみたが、隠れて避けられた。

 その後、ダン以外にも見た者が出てきたので、村長が王城に伝えたのこと。

(緑がかった白い肌とウサギのような大きな耳をした小さな子供=ミドリ子と名付けた)


さて、曰くの森にやってきた。

しばらくすると、わらわらとミドリ子が出てきたではないか。敵意がないのでじっとしていると、ナズナの周りに集まった。数えると24人。緑色のワンピースみたいなものを着ていて、確かに緑がかった白い肌とウサギのような大きな耳があった。その中の一人が、ナズナの顔をみて、語りだした。


「それで、何と?」僕はナズナに聞いた。


と、ミドリ子の一人が、僕に近づいてきて、

「ジロウ様、お初にお目にかかります。私は長のツバキと申します。よろしくお願いいたします」

流暢な挨拶をしてきた。


「ジロウ様。彼ら自身『“私の一部だ』と言っております。確かに通じるところがあります」


まあナズナには謎が多い面もあるが、理解に少し時間がかかりそうだ。


「ナズナ、それで彼らの今後はどうするのだ?」

「できれば、一緒に連れて行って欲しいと」


「いや、生活に困らないならば、しばらく此処にいてほしいが。 ただ、1名魔女の家に連れて行って、皆の意見も聞きたい」

「了解しました」ナズナが話を付けた。


ツバキを乗せて、帰路に就いた。アミンダ隊を下ろして、魔女の家に向かった。


ここは、魔女の家の居間。


「で、ツバキたちは何ができるの?」サナエが聞いた。

「我々は、この大地の子。森を守ったり、作物の出来を良くしたり、うーん。土に関することならば、いろいろできます。今は限定されますが」


「よし、じゃあ、ここの魔女の農園を見て、感じたことを教えてくれないか?」


僕は、ツバキを連れて、僕専用の畑に連れて行った。もちろん、ナズナも付いてきている。ナズナは、遺跡から発見され、今日に至るが、なぞが多い。彼らが、ナズナを母だというのも、否定はできない。

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