表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/61

四話 ナズナとミミ

 目が覚めて食堂兼居間に出てゆく。

「ジロウ様、おはようございます。食事は散歩の後にしますか?」とサナエ。

「おはよう、散歩にするよ」

「では、今日から、この子を警護につかせます」


 ミャアと黒い猫が、僕の足元に擦り寄ってきた。抱き上げると確かに猫だ。でもこんな小さなものが、僕の警護だなんて?。魔女には黒猫が定説だが。


「と、不審に思われているでしょうが、この子の実態は虎ほどの大きさです。大概の魔物は駆逐します。また、乗って移動もできます。ので、可愛がってくださいね。ニャン!」

その品はなんだ??でも、サナエは可愛い。


子猫が僕の手からスルリっと下に降りると、あれよあれよと人型に変化してゆくではないか。とナズナになった。


「ジロウ様、私は変化自在です。通常は子猫型ですが、ナズナの姿とどちらがいいですか?」


「うーん。名前を呼んだら、その身体でお願いするよ」

「かしこまりました」


「うーんと、子猫は”ミミ”でいいかな?」

「いい名前です。喜んで!」


「では、ミミ 行くよ!」と言うと、ナズナはミミに変身した。

僕はミミを肩に乗せて、まず家の周りを巡ってみることにした。


ドアを開けると、清々しい朝の香りがする。両手を上にあげて、空を見上げる。もう少しで3つ巴の太陽が東の空に上がってきそうだ。

右手にまわると菜園があって、その向こうには草原が広がっている。

後ろに回ると、100メータ先に小さな川が流れて、水路が家の近くの池につながっている。池の中を覗くと大きな鯉が近づいてきた。きっと餌を期待して寄ってきたのだろう。


東側は木の柵で囲われ牛の放牧が見られた。

魔女の家から200メータほど南西には“魔女の村”があり、庭師班、農業班、畜産班、警備班が常駐している。


 良い空気だ。こんなさわやかな日々が続くのだろうか?

近くあった切り株に座ってしばらくぼーっとしていた。


そうしているとミミが膝の上に上がってきて、

「ミャー そろそろ朝食に行きましょう」って言った。

ミミはナズナ。猫の状態でも会話ができるようだ。

のんびりと、家の周りを回って、家に入る。


 朝食はいつものように一人で食べる。サナエとメイドたちが控えている。

どうも一人だと味気ない。確かSFに出てくるアンドロイドは食事をしていたような。


「サナエさんたちは、一緒に食事はしないの?」

「できなくはないです。御一緒のほうがよろしいですか?」


「皆でどうかな? ミズナたちも」

「それでは、私サナエが同席するということで。メイドたちには職務がありますのでご遠慮させていただきたいのですが」


「まあ仕方ないか、サナエさんが話し相手をしてくれるということで。それにしても、ここは良い村ですね。またこの世界は長閑でいい。元世界では・・・」

「ちょっ・ちょっとお待ちを!。元世界との比較話も、思い出話も、ご法度ということでお願いします」と怖い顔のサナエに止められた。



 聞いてみると望郷の念で鬱になるとまずいとのこと。

「4代目のサヤカ様が一時望郷に身をやつされて、神様が大変困ったそうです。それからは前世をお持ちの方には、その話はご法度になっております」

「う・・ん。まあ本人次第なところもあるのだが?。まあ、気を付けるよ」


なぜか、ナズナが席についている。

「サナエさん、どうして? ナズナが一緒なの?」

「専属メイドというか、お友達と言う理由でいかがでしょうか?」

「全然、問題ないよ」


食事が済んで、居間にはナズナと二人になった。


「ねえ、ナズナは他のアンドロイドと何か異なる感じがするのだけど?」

「よく、気が付きましたね。私はササ様が作られたものではありません。竜人族が住む山奥に洞窟があって、そこの遺跡で眠っていたのが私です」とナズナ。

「それと、食事は必要なので、ジロウ様と同席させていただきました」


詳しく聞きたいところだが、もう、お腹いっぱいだ。風呂に入って寝たい。

「ジロウ様、着替えをここに置いておきます」ミズナが声を掛けていった。


 縁側で転寝をしていたんだよな。で、気が付いたらここにいた。転生以前は、どうだったのかというと、システムエンジニアだった。毎夜、遅くまで開発やデバッグに追われる毎日から、やっと解放された。そう、定年退職で暇を持て余していたのだ。


しょうもない年寄りを、誰が?、何のために、どうして俺なのか?など考えたところで、詮無いことと思える。折角の転生??楽しまなくては。


それにしても、この世界の文明レベルは3、文化レベルは3なのだそうだ。

そして、何をしても良いが、このレベルを超えないようにと、サナエさんに釘をさされている。


 確か、文明のレベルは以下のように表されている。

レベル1;火を使う。神を意識する。

レベル2;言葉を話す。歌が歌われる。

レベル3;銅、鉄が精製、利用される。文字ができる。

レベル4;火薬が発明され、戦争は剣から銃に変わる。詩や文学が芽生える。

レベル5;蒸気や電気エネルギーが利用される。印刷が産まれ情報が拡散する。

レベル6;コンピュータ技術が普及する。AIが開発される。

レベル7;ロボットやアンドロイドが産まれ普及する。文明が停滞する。

レベル8;???


 良い湯だ。ほのかに硫黄の匂いがするので、温泉のようだ。身体が温まる。


今日一日の出来事などを、パソコンに打ち込む。予定は今のところない。重要事項は、『近々、君の使命がわかる。よろしく頼む!』だ。


 その夜、変な夢を見た。銀色のカップを覗き込んでいるが、何も見えない深淵のようだった。横の次のカップも同様であるが、今度はどよめきと喝采の声が聞こえてきた。次のカップを覗き込もうとしたら、身体ごと吸い込まれるような感じがして、慌てて仰け反ると、かろうじて尻もちを着いた。あまりの異質さに、汗びっしょりで目が覚めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ