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三十八話 アルフ王国と転移者たち

 オメガ星系から転移してくるレベル3と4の人たちに、移住先としてアルフ王国を用意した。


 エリー山脈を越えて、ガルバ王国のさらに北。

東が海に面した、東西200キロメータ、南北50キロメータの地域を指定した。当面は、この領域からは外に出られないように結界を張る。


 アルフ王国にゲートと神殿が設けられた。もちろん王城も。王城は簡単ではあるが、城壁と城を構えた。


 そして、開拓村の村長である、ガルバ王国の第2王子のスクエアが初代アルフ王に座った。さらに、魔女の家からは治安部隊として2000名の魔女隊を派遣。また、施政部隊、治安部隊、農業支援隊などに1万の魔女隊と機材を送り込んだ。


 120万人。毎日4000人ぐらいが1年かけて転移してくることになっている。

「さあ、さあ こちらにきて並んで!」声高に受け入れ担当が叫ぶ。


「このバッチを付けてください。食事や支援物資などの引き渡しに必要です」

「バッチをつけた人は、この木の枠を潜ってください」


 そう、この木の枠でナノマシンを身体に埋め込む。そしてバッチと本人の関係を確定する。ナノマシンの埋め込みは、本人は無知覚なので、本人には知らされていない。


 4000人が暮らせる区画を350用意した。1区画の大きさは約4キロメータ四方。山有り、谷ありなので、その倍の面積を目安に、区画割をした。隣の区画へは、徒歩で2時間程度。

4000人って、町だよ。それが一挙に350も。

(巷の平野部の人口は1キロメータ四方に700人ぐらい。4000人/32平方キロメータ=125人 かなり余裕があるといえる)


 アマツ川に灌漑が可能なように支流をいくつも設けて、森も少し伐採した。伐採した木は、家屋を立てるための資材となった。


 毎日、到着した4000人は3日間、仮設小屋ですごす。

 1、この星のこと。王様と王政のこと。

 2、当面、魔女隊のメンバーが村長や治安、資材、農業指導など必要な役を担う。安定してきて、自治が可能になったら、引き継いでゆく。

 3、従わないもの、問題を起こしたものは、共通設備の作業員となる。

   (道路、河川、町の清掃など従事する。まあ、重労働だな。)

 4、家の種を一家に一つ与える。独身者は長屋を用意する。

などの説明をする。


 まあ、レベル3,4の人たちは、耕せる土地があれば問題ないようだ。

商人たちには出店の用意、鍛冶屋には鞴や鉱石の調達、菓子屋には材料集めなど、職種に応じて支援してゆく。

ということで、続々と転移してきた。



 問題はレベル5の20万人だな。

とりあえず、魔女の保護区の、さらに西の地に受け入れを始めた。しかし、言うことを聞かないんだよね。ヒヤリングにやってきたサムエらは、自給自足に耐え切れず、すでにあの世に行った。移住の最初に代表がやってきたが、サムエと同じで覇権できると勘違いしている。

(名前はゴムエだって。名付けにセンスのかけらもない?)


「ゴムエ殿、僕の星で僕が容認できない死者を出したら、貴様ら全員瞬滅するのじゃ。しかと心せよ!」僕は凄みを混ぜて睨んだ。

「ふん!」って、前任者と同様に可愛げないな。


「まあ、いい。これを見て信じられるかどうか判断するのじゃ」

「カナン。こちらへ。 あの丘を目指して、火炎を一発見舞ってやって!」


今日は、脅しのために友達のカナンを連れてきている。

カナンは、竜人族の第3王女。ドラゴン形態に変身した。

体長5メートルの赤い鱗を輝かせた竜。口から炎をため込んで、火炎を放った。

どごーん、と言う音とともに、10キロメータほど先まで焼け野が原になった。


 困ったな。先々の食料をやっても、それを食い散らかすかもしれないし、上の者が偉そうにしすぎる。あの民衆のこぶしはなんだ。やはり暴力的な種族なんだな。

よし、これは徹底して統治しよう。


アオシとモモコを転移者の5パーセントを投入して、施政を開始した。やりたくはないが、場合によってはナノマシン制御も考えておこう。まあ、この話は長くなるので、またの機会にしたい。

結局、落ち着くまで5年かかった。手に入れた魂に違いが無いとはいえ、ちょっとおいしくない。



 さて、次はレベル6、7の300人は、当初の計画から変えてレベル5のサムエ族から分離することにした。サムエ族と精神的に同一ではなく、文明・文化も安定しているとのことで。


 ここは、カカチ村の西。

システム保安要員の200人とレベル6、7の300人。代表は、アナチさんと呼ばれた女性。


 耕作可能なように耕し、住居なども用意して、即入村可能な状態である。そこへ、アナチさんと以下500人が立っている。説明しているのは、カカチ村の村長。

 アナチ族は、仮想世界に入ることをためらった人たちである。

仮想世界に行けば、思うような人生がまっている。なぜ行かなかったのか?。あえて聞く必要もないだろう。


彼らの手にはクワと目の前には大地、そしてキラキラした瞳がある。

人口500人の村。アナチ村と命名された。

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