二十八話 ジロウ世直し行脚に旅立つ
「それで、サナエさんから、冒険にゆくならばジンさんを連れて行けと言われたのですが」
「ああ、そのことね。良いよ。魔女様の為ならばどこへでもお供します」
「もう少し、砕けたしゃべり方で頼む。それで、旅先では『おとうさん』で良いかな?」
「いや、それはちょっと。『おにいさん』で勘弁してよ」
「了解した。あと僕のほかに スミレとナズナが加わることになっている」
何時出発するのかとか、準備などの打ち合わせを4人でやろうということになった。
「うぉー。 大きい! あっいやぁ すみません。 スミレです。錬金術師で、こちらに来たばかりです」ぺこりと頭を下げた。
ナズナは、既知な存在なので、簡単に自己紹介が済んだ。
ここは、魔女の家の前に置いたテーブルと椅子。周りには、サナエとメイドのミズナ、スミレ、コギク、アヤメ、ハナエが控えている。
(ハナエはナズナがジロウ専属になったので、追加されたメイド)
「なぜにサナエたちがいるの?」。
「こんな楽しそうな話。 見逃すわけにゆきません」
サナエたちがにやにやしながら声を揃える。
さて、サハラ王国のアクアの都にやってきた。魔女の家からは400キロメータ離れているので、水陸両用のキャンピングマシャでやってきた。
『水陸両用のキャンピングマシャ』は長いので『クルーザ2』と命名した。通用門には長蛇の列。もちろんVIP専用の門に向かう。
「これはこれは、魔女様ご一行。どうぞお通りください」
まあ、先駆けを走らせて別荘の執事に伝えてあるので、スムーズに入れた。
この世界が作られた当初は、門や城壁はなかった。しかし、神崎歴2500年ごろから、魔物の出没や治安の悪化のため、警備や防護が厳重になったとのこと。町には、魔女の別荘があって、まず、そこへ向かう。
門を潜ると、「おかえりなさいませ! ジロウ様」執事のヤマダが迎えた。
魔女の別邸で、一休み、と情報収集。とりあえず、ヤマダの話を聞いてみよう。