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二十七話 ジロウ遠出がしたい

 まあ、退屈だ。この近辺やガルバ王国の黄桜の都は歩き倒して、もう見るところが無い。


「なあ、ナズナ。 もっと遠くに行ってみたいよー」と僕は叫ぶ。

「サナエさんに聞いてみましょう」とナズナ。


「それより、巡礼に来た人たちの願いを叶える件はどうなりました?」

「あ・・・。忘れてた。サナエさんが叶えてやってくれって言ったね」


「よし、世直し行脚をやろう」

「そうですね。毎月1日の日に戻ってこられるなら、出かけても良いですよ。見分を広め、魔女の仕事をしていただけるということで、許可します」とサナエ。


「おお・・。わかった」 やったー。

「ただし、次のことを守ってくださいね。」


1、ナズナとジンを連れてゆくこと。

2、毎月1日の日に戻ってくること。

3、危険と感じたら、即刻ここに戻ること。

4、女装を解かないこと。

5、できるだけ、トイレはこの魔女の家に戻って足すこと。


 (男の子だと、ばれないように! 立ちションはダメってこと。面倒だあ・・。開放感が味わえないよ・・。ぶつぶつ)


 各地にある神殿やプチダンジョンにはゲートがあって、魔女の家の神殿につながっている。冒険に行くにしても、瞬間に移動できるので、それはそれでつまらないか!!。いや、徒歩や馬車をできるだけ使うことにしようか。


 そうだ、町や村に訪れるときは、魔女様パレードって、どうかな?パレードの構成を考えよう。まず、先頭は子供に花弁の入った籠を持たせ、踊りながら振り撒く。その続きには、若い男女の踊り、そして楽団。仔馬が引く白を基調に赤いバラをあしらったコーチが続く。先頭のコーチには、8代目魔女のジロウが乗っている。その後ろには、お菓子を持ったウサギ族が、沿道の子供たちにお菓子を配る。そして、楽団が続く。


 「どう??」と僕はサナエに感想を聞いた。

「パレードだけ?そのほかの目的は?」とサナエ。


「それはね。町に入る建前で、本筋は世直しだよ。もちろん」

「魔女の僕、錬金術師のスミレ、勇者のジンの一行が、悪者を駆逐し善を広める。うん。これだ」


自分で言って納得している。薄っぺらなことは承知の上なんだけどね。


「そうですね。8代目魔女の襲名披露ですか。幾分忘れられがちになっているので! 良いでしょ」


「サナエさん、ところで人々は、魔女をどう思っているの?」

「そうね。気軽に世話をしてくれる身近な存在かな? 神様みたいに厳かに願いを叶えてくれるというイメージではないですね」

「暮らしやすいように、何かをしてくれる??かな??」


「うーん。例えば サハラ王国、ミズホ王国、ガルバ王国、スローン王国に交易路を作ったとか」

「そうそう、シャンプーや石鹸、火付け具、機織り機など身の回りの便利品は、魔女様が時々与えて下さるとか」メイドのミズナが、横から会話に加わった。


「この前、スローン王国で流行りだした「チーズケーキ」も夢見でレシピを授かったって」

「あ・・、それってこの前、僕がレシピを教えて、ロゼッタが作ってくれたチーズケーキ」


おいしかったね。そのあとで、サナエが皆に教えていいですか?って聞いてきた。サナエが夢枕??


「うーん、魔女は縁の下の力持ちか!」スミレが呟くと。

「「「なんですか? 力持ちって?」」」


「それはね、人の目につかないところで、他人のために支える苦労や努力をすることのたとえなんだよね」

スミレが説明する。


「ふーーん。面白い考え方ね。それじゃ、私たちはこの星の”縁の下の力持ち”かな??」

「ちょっと、違うかな。でも当たらずも遠からずってとこだね」スミレが賛同する。


「ほう。ジロウ様とスミレちゃんは話が合うね」


 さて、この星には大きな戦争はない。もちろん魔女の家が、その芽を事前に摘み取っている。この仕組みは、初代ハナが作って、以降魔女の家の管理業務の一つになっている。

星を愛でる会で、状況報告と対応が協議されているらしい。と、僕はまだその場面に出くわしていない。


 ということで、パレード案はやめになった。

(どういうことで??)


馬車の案がなくなったので、もっと機動力と利便性を備えた水陸両用のキャンピングマシャを作って、足にしようと考えた。10人乗りで、キャンプ可能な設備が揃っている。


「サナエさん。こんなのも作れる?」

パソコンで設計したものを見せた。


 派手に突入するのではなく、人知れず旅をしながら、世直ししようということになった。サナエの言う5つのお約束はもちろんのこと、メンバーは、僕、ジン、ナズナ、スミレの4人構成となった。大男のお父さんが、3人の幼い娘を連れているという絵面だ。僕は”男の娘”なんだけどね。


 しかし、人知れずにはならなかったよ。誰のせいかな?


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