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二十二話 同好会を作ろう

 再び、魔法学園の僕の部屋

テーブルには、サチ、クロエ、カナン、そしておまけのガルが座っている。そして、ガルは相変わらず、机の上の菓子をひたすらほおばっている。


「さて、少し調べたのじゃが、学生たちは授業が終わった後は、各々自由にしておって、特になにもしておらぬようじゃな。それと、学生たちのトップは、この国の王族が仕切っているようじゃのう。そこでじゃ、同好会を作ろうと思うのじゃ」


「「どのようなものなのですか?」」


「料理が好きなものが集まって、菓子を作るとか、刺繍の集まりとか。そうじゃのう、釣りが好きな者、走るの好きな者、山を登る、絵を書くもの、音楽を楽しむもの、などなど。好きな者が集まるグループを作るのじゃ」


「それは、楽しそうですね」

「うむ。皆で考えてみてくれ」



 学生たちのトップか?。地位を嵩に着て、汚いことをやってなければよいが。


「校長とガルバ王族の学生を、お茶に招きたいのじゃ。マチコ先生! 明日の午後一ではどうかの?」

「わかりました。早速調整いたします」


「お招き有難うございます。校長を任されておりますジキルです」

「おれが第2王子のスクエアだ。暇だから来てやった。用があるならささっと済ませてくれよ」


「第3王子のフィリップです」

「すみません。ジロウ様。一応私サチも第3王女なので、同席させてください」

「第4王女のシホンです」


「うむ。そなたら王族が学生のトップを預かっていると聞いたが、相違ないか?」


「偉そうな態度だな、嬢ちゃん!」

「スクエア様、魔女のジロウ様です。もっと敬意をもってお話し下さい」


「スクエアとやら、どうもそちは、学園内でも良いうわさは聞かないのじゃが。申し開きはあるかのう?」

(こいつはガンだから、ここで引導を渡しておくか)


「どうじゃ?、そちは、僕に敵対する気なのかのう?」

「ジロウ様、少々お待ちを。後できちっと話しますゆえ、ここはこの辺でご容赦願いませんか?。これ、スクエア殿、とりあえず退室しなさい」校長が中に入った。


それが、余計に気に入らなかったようで、スクエアが罵声を発しだした。

「うむ、ギル、彼を追い出すのじゃ」


スクエアは、ギルの配下に羽交い絞めにされて退出していった。

ギルは、僕の警護班の班長。今日は5人で任務に就いていた。一同、その強引な対応に息を飲んだ。これで、僕に逆らえば、どうなるかわかったよね。


「さて、邪魔もいなくなったので、議題に入ろうぞ」

僕は、今日の議題を披露した。


「学生の本分は勉強じゃの。それでじゃ、研究会を作って、優秀な成果を出したグループには賞品を出そうと思うのじゃ。それに、研究費は申請に応じて魔女から出そうと思う。どうかのう?」


「それでは、私サチから、ご説明を差し上げます」


「説明は以上じゃ。10日後には候補をリストアップしてほしいのじゃ」


「趣旨は理解いたしました。教員及び生徒が一丸となって、ご希望に沿う答えを用意いたします」

「うむ。まあ、そう恐れなくても良い。ここだけの顔じゃ」


 お茶会が済んだあと、拘束したスクエアを連れて、サクヤ王の執務室に押しかけた。


「おや、魔女様、ご用で? う・。スクエアが何か失態をやらかしましたか?」

「そうじゃのう、僕に逆らったので、こういう状況になったのじゃ」


「それでじゃ。こやつを一時魔女の家で預って根性を叩きなおしてやるのじゃ。いやなら、この王国を瞬滅じゃ」


「父上!」

スクエアが情けない声でガルバ王に助けを求めた。


「民には変えられん。 スクエアよ、彼女の世話になるがよい」

まあ、筋書き通り。サクヤ王も判断がしやすかっただろうね。

(魔女の家の外にいるジンに、スクエアを預けた)


 10日経った。再び校長とガルバ王族の学生とマチコ先生たちが僕の部屋に集まった。


「では、リストアップした項目を読み上げます」


料理研、剣術研、舞踏研、プチダンジョン研、美術研、音楽研・・・。意外と、たくさん挙がってきたね。全部で32研か。


「登山愛好会と料理研と魔法書研究会の、リーダとメンバーの話を聞きたいのう。後日ここに呼ぶのじゃ」


「料理研のリーダのカオルです。お招きいただきありがとうございます」

「苦しゅうない。楽にするのじゃ」


と言っても、スクエア王子の件は、学園内でも恐怖の噂になっている。


「パンが固いのじゃ。柔らかいパンの研究をせよ。ここに、酵母の作り方と焼き方のレシピがある。これを参考にするのじゃ」


 なぜか、パンに酵母菌が使われていない。初代ハナからも持ち込まれていない。代々の魔女も?。あれ!でも魔女の家では柔らかいパンが出ているけど。まあ、情報の隔絶はレベル3ならば仕方ないか。


「登山愛好会のリーダのユーイです。お招きいただきありがとうございます」

「苦しゅうない。楽にするのじゃ。して、どのような、山に登っているのじゃ?」


「学園から北へ5キロメータほどのところに、標高1300メータのアズミ山があります。それから、奥へ行くと2300メータのカラタ山があって、主な活動先です」


「岩山などへは行かないのか?」

「危険ですので、装備の研究をしております」


「魔法書研のボタンです。図書館の古い書庫に、魔法を蓄えて、順次発生させる研究資料を見つけました。書かれたのは、魔法科の先生だったようです。でも、実現できなかったとあります。是非、私どもで解明したいと考えております」


「それは、おもしろそうじゃのう。頑張ってくれ」


32の同好会に研究費として年間金貨10枚を支給することにした。

 

 小銅貨が10枚で銅貨、銅貨10枚で大銅貨になる。小銅貨1枚で焼き肉串が1本、みかんが1個買える。小銅貨が10円、銅貨が100円、大銅貨が1000円ぐらいかな。大銅貨10枚で1銀貨、銀貨10枚で1金貨になる。金貨1枚は10万円相当になるかな。


第一回目の成果発表は、一年先である。



僕が他用で学園に出られないときは、ナズナがその代役をすることがある。

ここは、学園のジロウの部屋。


「この前、ジロウ様が木に登ろうとしたとき、ガルが止めたわね。たまにガルも気が利くものと思ったわ」とサチ。

「そうね。この前の魔法の授業。あのファイアボールは凄かったわね。マチルダ先生もびっくりしていたね」

「ジロウ様の魔法は凄いのね」


口々に、僕のお転婆ぶりを披露してくれるのだけれど。

ミミを見ると、「ミャー」と鳴いて、横を向いた。

(やっぱり!ナズナの仕業か。でも、ナズナは魔法が使えないのでは?)

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