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十七話 この星はどうなっているの?

 今日は、この星の実情をザーッと知るために、5代目魔女ササの部屋でモニタリングをすることにした。


 今まで通り、あまり干渉しない姿勢をとるか、覇王を目指すか。すぐには、判断できないと思うが、最低限、現状を知る必要がある。守りたいのか? 自問する毎日であったが、まず、現状を知らねばならない。


 「ササ様、おられますか?」

「ああ、いるよ。 今日はなにかな?」

「各地の様子を見たいのですが?」


 ササの指示通り、モニターを操作して、各地の様子を見る。神殿のある村や町、王都などを用意してあった順路で巡った。衛星から地上をズームアップしてゆく。地上の識別能力は1センチメータである。硬貨が落ちていても確認できる。


 そう、衛星が8つ回っているのだ。これも魔女ササが打ち上げたものだそうだ。もちろん、レベル3の地上人には内緒である。


 衛星から見ると、魔女の星は青い。右の奥には、白、黄色、青の3つの太陽がゆっくりと巴状に回っている。もちろん直視はできない。魔女の星の周りには小さな月が2つ。

そして、その後ろには多くの星が輝いている。これを見ると確かに宇宙があって、その一部の星系であるように見える。きっとそうだろう?。


 魔女の星の全体を俯瞰すると、大きなトネリコ大陸と、その反対側にアマツ大陸が見える。また、両方の極は白くなっており、雪と氷の世界と思われる。


 トネリコ大陸の南には魔女の家、そして、その東には、人種の国、スローン王国、サハラ王国、ミズホ王国。ガルバ王国がある。ゴーダ山脈を西に超えたら、獣人種はアソ王国、エルフはアズサ王国、竜族はドララ王国、ドワーフはアイアン王国がある。


 ゴーダ山脈に源を発するオダ河沿いに東から西へ、探査する。

ゴーダ山脈は、12000メータ級の山々が南北に1000キロメータ、幅300キロメータの大山脈である。


 その山々から小さな源流を束ねながらオダ河になる。

オダ河は、標高2000メータ付近で幅1000メータの高さ300メータの大瀑布となってガルバ盆地に流れ込んでいる。

大瀑布から東へ5キロメータのところにアミユエ町がある。アミユエ町からは、その雄大な瀑布が臨められるようだ。


「おぉ! 良いところだ。 実地に見たい」


 そのガルバ王国にはニカワ族が多く住んでいる。

ニカワ族は、サクヤ王の時代にオニヤンマを巨大化させたような飛行艇に乗って、30万人がゲートを超えてきた。分離繁殖から胎生繁殖への種族変化を受け入れ、この魔女の星に移住した。彼らは、錬金術師のアイリスが調合する薬を飲んで、100年かけて、胎生繁殖種に移行した。


 ニカワ族は、当初レベル7であったが、レベル3への順応も果たし、サクヤ王国の主たる住民となった。因みに、2代目のサクヤ王から現在まで、ニカワ族が王になっている。

レベル7の技術や知識は、封印されたものの、食生活など身近なものは継承され、地方にも広がった。


 もっとも、有益だったのは道路の敷設技術である。各王国間の主要道路はそれまでが、狭く土で凸凹だったのが、この技術によって、幅10メータの滑らかな道路になった。

(この話は、また別の機会に語りたい。)


 一日中、モニタを見て、行きたいところを、パソコンに整理する。そして実際には、各地の神殿にある転移門を使って、こっそりと見て回ることになった。ぼくとナズナの二人旅。最初は、サハラ王国のアクアの都へ。


 まず、魔女の家にある転移室から、サハラ王国のアクアの都を選択して、転移する。転移先は、神殿の地下で降り立つと、神官が迎えに出てきた。


「これはこれは、魔女様いらっしゃいませ!」と神官たちが跪いた。

「お・・・、みなのもの元気そうで何よりじゃ!」

そう、ジロウは公式の場では『のじゃ姫』なのだ。サハラ王国は、草原が多く牧畜が盛んである。神殿から出て、魔女の別邸に向かった。


 この星ができて、5600年が過ぎた。今は伝説になった、魔女ハナ、魔女アイリス、魔王サクヤの活躍は、吟遊詩人の格好の建国話である。そして、この星の安寧のために代々の魔女が、その使命を担ってきた。


 月を愛でる会など、この星の運営は良い方向に機能している。大勢は問題ないように思える。ジロウは、ここ半年で全体の把握と自己の能力(魔女として)の研鑽に励んだ。そして、各地の暮らしぶりを見て回った。


 初代魔女ハナの時代、最初は魔女ハナと魔王サクヤが力尽くで建国や仕組みを作ったが、徐々に民に任せるようにしたそうだ。それは自分たちが居なくなった後のことを憂いて、自治の形を取っていったとのこと。しかし、それから5000年の月日は、いろいろなところに歪や淀みが生じていた。

 魔女の使命はこの世界の調和である。そして、僕は各地をつぶさに見て回わってみたいと思ったのである。


 魔女の家から、サハラ王国の王都オアシスに行って、一角村を訪れて、スローン王国に至る。そこから北へ、初代魔女が子供の時に過ごしたミズホ王国のフロンティア町を見たい。そして、魔王サクヤが転移してきたトチノキ村も訪れたい。


 さらに北へ、建国時はサクヤ王国と呼ばれていた、ガルバ王国でサクヤ失踪の謎を解きたい。まだまだエルフ里、獣人族、竜人族、魔女の保護区を通って魔女の家に帰る。


 かなり、長期になりそうだ。まあ、魔女の家と各地の神殿間には転移門があるし、飛空艇があるので、魔女の家と行き来は容易にできるのだが。

 学園の夏休みが、もうすぐ近いので、サチ、カナン、クロエ、ガルたちも誘って行ってみようか。

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