事の始まり
「いや、どこだよここ!」
俺は今の状況を一生懸命理解しようとしたのだ。
まず、ここは日本ではないだろう、そして多分地球でもない。
ってことはつまり
「異世界かぁ!」
おっと思わず大声を出してしまった、夜の森でさけぶなんて何寄ってくるか知らんからな。
これは所謂異世界転移ってやつだな。
死んだ記憶なんてないから転生ではなうだろう。
しかし何でだろう、いつもの定番ならジャージを着たヒキニートとか超人的な人が転移するのがお決まりだし、
起きた後は美少女に囲まれるなり、魔獣に襲われるなり何がしらのイベントはあるはずだ。
でも今は何も起こってない、俺も自分はどこにでもいる一般人でそこまで落ちこぼれてないし、なんか突出した能力がない自覚もある。
いいや、考えるのは止めよう。
せっかく夢にも見た異世界だ。意味もなく呼ばれるはずがない。
きっとこれからは俺のハーレム大冒険がはじまるのに違いない。
今もきっと”異世界の人を探すために森を抜けよう”的な初イベントに違いない。
よし、やってやるぜ異世界アドベンチャーファンタジー。
って訳で俺は森の中を歩きはじめた。
「しっかし、静かだなぁ
夜の森とか物騒に決まってるのに何も出てこねぇな。」
周りを見渡してみると、さっきから気づいた二輪の月以外変わった事といえば光ってるキノコぐらいだ。
木花とかは確かに見た事ない種類ばっかりだが、興奮するぐらいな物は一個もない。
今俺の所持品は、ケータイと財布しかないリュックに中も教科書だけで使えるアイテムは皆無。
この状況で襲われたらたまったもんじゃないから、静かなのはありがたい事だ。
だから、変なフラグを立てないように歩き続けた……
3日が経った。
「誰か。誰かいませんか。
助けて下さい」
待ってくれ話が違う。
異世界に来て美少女どころが人間らしきものすら見てない、
大冒険も何も、いきなりサバイバルとか一体何なんだよ。このままじゃだめだ、死んでしまう。
三日間で食った物はリュックにあったチョコバー1本と食べて大丈夫か定かではない異世界果物だけだ。
水に関しては偶然みつけた水溜りで、腹下してないのは不幸中の幸。
動物が一匹もいないとか俺は呪いの森にでも来たのか。
「異世界に来て遭難死とか勘弁してくれよ。」
もう立つ力すら残っていない、俺はその場に倒れ込んで自分の運命を天に任すことに決めたその時だった。
「#$%&%”#&?」
誰かに話しかけられた、しかし何を喋ってんだ聞いたことない言葉だ、
普通ここ異世界語補正が入るでしょ、親切じゃない世界だな。
頭を上げて声の正体を見てみると、
そこには16、7ぐらいで中世の村人の服装を着ている、木の葉色の髪の毛の女の子が立っていた。
「助けってくれ...」
「$%&&#%””#....?」
一週間で二度も気を失うことってこれからまだ経験することはあるにだろうか、
俺の意識は暗闇の中に遠ざかった。