表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
退廃の色  作者: 藤福 澤
彩、色取り、irodori。
3/3

御法唯葉は思い出す

 それでも彩乃は、学校を辞めて組織に所属することとなった。奏凪の為とはいえ、その奏凪本人が既にこの世から消失、つまり死亡している。意味なんてないと言えばそれはその通りだ。彩乃は奏凪のような患者がこれ以上出ない為に…なんて高尚な意識では決してない。彼女にはもう奏凪に縋りつく以外の行動原理がない。そしてそれは彩乃自身も理解をしているのだ。


 それをわたしはどんな面持ちで傍観していただろうか。


 奏凪はもう戻らない、奏凪はそんなこと望んでいないと、殴ってでも辞めさせればよかったのか。心を鬼にして、あるいはAIが入る前の心無いロボットのように。けれどもわたしは彩乃のその後の行動については否定することはなかった。


 結局のところわたしも奏凪の最期については容認できない感情が心の底に渦巻いているのだ。アンドロイドであるわたしが一個の存在として意識をしているのだろう。それは…なんと…人間らしい感情か。それとも近くの人間である彩乃に感化されて、生み出されたシステム的なエラーだったのだろうか。わたしの本心としては前者であることを望む。


 そんな馬鹿馬鹿しいことを考えながら歩いていたら、彩乃が属する白黒組織の研究所にたどり着いていた。ちなみに歩行中はアンドロイドの機能により無意識化で近くの人や自動車を識別しているためぶつかることもない。


 この研究所は基本的に病院と繋がっている。いつものように関係者入り口で手続きを済ませ、彩乃のいる研究室へと足を運ぶ。その途中、何度か研究者や看護師とすれ違った。さすがにここに一年も通っていれば顔見知りもできる。多少の世間話を交えつつその場を離れる。

 

 ここにもアンドロイドの職員はいる。アンドロイドを兵器にさせないために人間と同等の力程しか出せないようにプログラムされてはいるが、外科医の精密動作や、看護師の力仕事など人間よりも良いポテンシャルを発揮できる仕事もある。アンドロイドの性能も基本的に個体差があり、優秀な個体は医師として働くことも可能になっている。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ