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退廃の色  作者: 藤福 澤
彩、色取り、irodori。
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御法唯葉は思い出す


 放課後になったことを告げるチャイムが鳴り響き、クラスメイト達は思い思いの場所へと足を動かす。部室棟へと向かい部活動に精を出す人、さっさと家路につく人、特に部活にも所属していないが教室で友人と話し込んでいる人。唯葉はその最後のグループにいた。


 曲郷高校の二年生であるわたしは、他の人と比べれば多少生い立ちも異質ではあるものの、いたって普通の女子高生を演じていられる。

 

この色が失われた世界では透過性白黒病なる奇病のため、人々が次々と透明になって消えてしまうのが常となってしまっている。それ故、人口減少が著しくなり、これを防ぐためにわたし達アンドロイドが製造されることとなった。

 

 時代が時代なら、人様に創られたロボットは奴隷のように労働力となったり、また慰み者として扱われる可能性もあったのかもしれない。わたしが生きているこの時代ではそのような事例はほとんどないようだ。一つの人格、人として接してもらえるのは気が楽ではある。


「唯はこのあとどうするー?」

 わたしと仲の良いクラスメイトが放課後の予定を聞いてくる。アンドロイドに人権があるとはいっても多少は奇異の目で見る者たちもいる。けれども彼女らはそんなこともなく普通に人として接してくれている。

 自分も同じ人間でありたかったと多少思うこともあるがいまさらどうにかなるものでもないのであまり考えないようにしている。


「今日は別の用事があるから先に帰るね」

 そう、今日は彩乃の研究所に足を運ぶ日だ。クラスメイトに別れを告げ、わたしの機械の脚は昇降口へと向かう。わたし達の家族である奏凪が亡くなってから半年が経ったであろうか。


 あれからわたし達を取り巻く環境は色々と変わったはずだ。彩乃は白黒組織の研究員になった。彼女は奏凪の死の原因となった病気、そもそもそれの根底にあるこの世界の理を知るためにやっている。完全に己が目的の為だけに所属しているが、研究者とは本来そんなものだろうとも思えてくる。


 何年も何十年も、果ては二百年という日々が過ぎても、この白黒世界のことは判っていない。そんな状況で研究費に膨大な資産を費やしているのだから、たとえ白黒病の患者の病院や他にも公共の施設の運営等をして、世間に多大な影響力を持つ組織だとしても奇異の目で見られることは想像に難くない。


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