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ギルティコード〜罪の名前〜  作者: 石田未来
咎人の存在
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第2話 咎人

 男の左手には黒い紋章が浮かび上がっていた。その瞬間男の周りから突然風が渦を巻き竜巻が発生した。


「なるほどね、風を使う能力ね。差詰め、’風塵の罪’ってところね。」


 男の異能を見ながらも、全く驚きもせず逆に冷静に男の能力を分析していた。

 そして彼女は不敵に笑い、男の目を突き刺すような視線で見た。


「あなたのその能力、いや、罪力ギルティはなかなか強そうだけど、私の敵じゃないわね。」


「な、なんだと!?」


 男は少女の言葉を受けて衝撃を受けた。同時に自分という人間が見下されたということに激昂し、少女に向かって手に発生させた小さな竜巻を投げつけた。

 しかし、少女は全く焦りもせず、竜巻を華麗にかわして見せた。かわされた竜巻は壁にぶつかったがその壁がスパッっと斬れた。おそらくカマイタチだろう。

 その出来事に一世はただ驚くことしかできず、開いた口が塞がらなかった。



「う、嘘だろ!?あんなの漫画でしか見たことねぇぞ!」



 目の前にあるあまりにも非現実なことに食い入るように一世は見ていた。これが咎人とがびとの力なのか…。初めて目にして恐怖よりもどちらかと言うと好奇心を感じた。

 男の放ったカマイタチをかわした少女は斬れた壁を少し見つめ、笑っていた。何が可笑しいのか全くわからない。

 そんな姿を見せれば余計に男の気を立てるだけであった。


「ふざけやがって…。この野郎!!!」


 今度はさっきのカマイタチとは違いいろんなものを飲み込みそうな竜巻を発生させた。当然そこまで広くない裏通りなので近くにいた一世も危険であった。


「や、やばい!?このままじゃしぬじゃん俺!?」


 電柱に隠れていた一世だがこのままでは確実にあの大きな竜巻の餌食になってしまう。そう考え、とにかく逃げることを考えて走ろうとした、だが……。


「我、魂をも燃やす炎なり。我が炎を持って大地に炎獄をもたらさん。」


 少女が突然祝詞?のようなものを唱えた。刹那、彼女を炎が包み形を変えてまるで燃え盛る炎のドレスのように変わった。それだけでなく、男の作り出した大竜巻が消えてしまったのだ。

 また、その姿を見た男は身体中から震えが止まらなくなり、その場で情けなくも腰を抜かしてしまった。


「そんな……まさかお前、紅蓮の罪姫(カラミティアギルティ)だったのかよ……。」



 ―――え?なんだよ紅蓮の罪姫(カラミティアギルティ)って有名なのか?―――


 男の言った言葉について理解が全くできなかった。ただ一つわかることは、あの少女はとんでもなくヤバい奴であるということだけだ。

 少女は腰を抜かした男のところへ一歩また一歩近づいていきそして、右手を男の顔の前に広げた。



「憐れなる咎人とがびとに裁きを下そう不滅の鎮魂歌(エターナルレクイエム)。」



「いやだ…いやだ!!!!!」

 男は恐怖に怯え必死に懇願するが、無情にも少女がそう言った瞬間男は一瞬にして、身体が燃え盛り骨も残らず灰燼と帰した。

 それを見ていた一世はと言うと、恐怖で足が竦んでいた。い今この場から逃げなければあの少女に殺される。そう思っているのだが、身体がいうことを聞いてくれない。

 しばらく男であった残灰を見つめていた少女は気配を感じたのか、近くの電柱を方を見た。

 一世はその少女と目が合ってしまい、逃げろ!と脳が必死に訴えかけてきた。幸い、身体が動くようになり、その場から命かながら逃げることした。


「う、うわぁぁぁぁ!!!!!」


 とにかく走った。後ろなど振り返る暇もなかった。もし振り返ってしまったら自分は殺されるかもしれない。とにかく眼の前を走るということだけを考えた。

 ようやく、裏通りから表にでることができた。表に出てから後ろを少し気にしながら、家へと帰っていった。



「まずいわね。一般人に見られたわ…。そういえば、さっきの少年、帝創学院の制服だったわね……。」



 さっきの場面を一般人に見られたかもしれないということに、一抹の不安を少女は感じていた。咎人とがびとはそこに存在するだけで犯罪であるため、罪力(能力)を見られれば即通報になるのだ。



「こちら、遥夏。一般人に罪力を見られた。どうしたらいい?……うん……そう…わかったわ。」


 彼女は左耳につけていたワイヤレスイヤホン型インカムで誰か通話していた。そして少し会話をしてすぐに通話をきった。



「さて、見ちゃったものにはしっかりと責任とってもらうわよ?」


 少女は不敵な笑みを浮かべてさらに裏通りの奥深くへとその身を隠して行った。




 一世にとってこの衝撃的な出会いが自分のこれからの人生を大きく左右していくことになるとはこの時はまだ知る由もなかった………。


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