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【詩集】Shangri-La

白萩の詩

作者: 野鶴善明


 懐かしい人に会いました

 ほんの偶然

 慌ただしい日々の間に

 ぽっかりと時間の空いた

 なにげない昼下がり

 花の店の前に立ち

 色とりどりにならんだ

 季節の花を

 選んでいた時のことです


 あの人はふわりと

 花の笑顔

 そよ風に揺れる

 白萩のようでした

 あの頃

 私が愛した

 笑顔のままでした


  逆さになった砂時計

  透きとおる風の向こうから

  甦る青春の日々

  学び舎の窓際に

  ぽつりと佇むあの人

  グランドの向こうで

  青く光り輝く海

  心地よい潮騒

  自転車で送った

  夕焼けの帰り道

  なにもかもが

  初めての恋


 髪型はすっかり変わり

 落ち着いた大人になりました

 あの頃は

 化粧もしていませんでしたが

 美しい頬紅をつけています

 それでもあの人は

 やはりあの人のままでした

 それがなぜだかうれしくて


 弾む思い出話

 夢咲くほほえみ

 初恋の日々の陽射しが

 ふたりをつつむよう

 あの人は口元を押さえます

 薬指の指輪が

 とても楽しそうに

 きらりと光りました


 それぞれの道を

 確かめあったあと

 あの人は

 花束を抱えて遠ざかります

 贈る言葉は

 くるおしいほどに

 愛し合いながら

 傷つけあった昔

 別れたあの日と

 同じ言葉でした



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― 新着の感想 ―
[一言] 心の奥がきゅうっとなりました。 情景が目の前に見えているようでした。 私、この詩好きです。
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